工業地帯を駆け抜けるローカル線 岳南電車

製紙工場とかぐや姫伝説所縁のローカル線

 

岳南電車は、東海道線吉原駅から岳南江尾駅までを結ぶローカル鉄道で、富士急グループの子会社です。

 

開業は戦後と静岡の鉄道の中では比較的新しい路線で、かつては製紙工場向けの貨物輸送も行っていましたが、平成24年(2012年)に廃止され、今は旅客輸送メインとなっております。

 

経営が厳しい状況が続きますが、日本夜景遺産に認定されたことなどもあり、観光・地域輸送でどう盛り返すか、注目の路線であります。

 

車両は18mの車両が主力で、40年以上前に製造された9000形も岳南電車の最新形式として活躍しています。

 

故障した電車に変わり親会社の富士急行から譲り受けた車両で、元は京王電鉄旧5000系電車でした。

 

富士急入線時に転換クロスシート装備や大規模な改造が行われたこともあり、車内は快適で、現在でもオールドルーキーとして活躍しています。

 

 

岳南富士岡には車庫があり、検査はここで受け持ちます。

 

車庫には1両編成で運行可能な7000形が留置されていました。

 

元京王井の頭線の3000系中間車で、運転台を取り付け、1両での運行を可能にした形式です。

 

使い勝手がよいことから現在でも主力として、活躍していましたが、1編成が故障で離脱し、2本体制になっています。

 

 

こちらは7000形の2両版である8000形です。

 

元京王井の頭線3000系の中間車を改造した形式で、細かな仕様変更が行われた車両です。

 

特徴として「かぐや姫伝説」に因んだ緑に塗装されたことや、特徴的なイラストが描かれたところなど、岳南電車らしさを出した車両です。

 

基本的にイベント・通勤輸送用に用いられることが多いとか。

 

 

こちらは故障により再起が困難になった7000形、部品の一部を取り外し、今は部品取りとして置かれているそうです。

 

おそらく復帰は難しいと思われます。

 

 

岳南富士岡駅には貨物輸送に使われていた電気機関車が多数留置されており、どの車両も今では大変希少な車両となっております。

 

このED40形は、長野県の松本電鉄(現:アルピコ交通)の車両で、ダム建設などに使われた後に岳南電車に移籍し、長らく主力として使われてきた車両です。

 

貨物廃止後も1両が籍を残している一方、もう1両は故障により貨物廃止前より引退、現在は車両売却に踏み切っているようです。

 

 

ED50形も複雑怪奇な運命をたどった、珍しい私鉄型機関車です。

 

上田温泉電軌(現:上田電鉄)の真田傍陽線の貨物輸送に使われ、しばらくして名古屋鉄道(名鉄)に譲渡され、その後に岳南電車に移籍した機関車で、性能が各々の路線特性に合わないなどの問題から、あまりいい扱いはされなかったですが、岳南電車ではED40の良き相方として運用されたそうです。

 

関東近辺のローカル私鉄では大変めずらしい名鉄ローマン文字を使った車番など、歴史的価値の高い電車です。

 

 

保存された機関車の中には歴史的価値のある魅力的な車両ばかりで、中でもED291は社型国電(国に買収された私鉄車両)の生き残りという希少な車両もあります。

 

ED291型もその一つで、豊川鉄道(現:JR飯田線)の車両で、国鉄買収後も使われたものの、岳南電車に移籍し、貨物輸送に使われたものの、貨物衰退となり動くことはあまりなかったようです。

 

その後も書類上の廃車扱いになるまで、ずっと動くことがなかったとか。

 

歴史的価値のある機関車だけに保存されてほしいところです。

 

 

かつては各地で見ることのできたワム80000です。

 

これは岳南電車所有車両の一部でしょうか、現在でも2両が岳南富士岡駅に留置されています。

 

工業地帯を駆け抜ける岳南電車、一度は乗ってほしい路線です。

 

※新型コロナウイルス感染症の影響により、運用状況が変わっている場合があります。