天プラ9600の改造 その4 細管式給水加熱器 | 鉄道省半田鉄道局

鉄道省半田鉄道局

1/80鉄道模型(Jゲージ)工作記事を中心に、鉄道と身の回りの出来事を書いてゆきます。
​(平成26年11月8日Yahooで開設、令和元年6月22日こちらに移転しました)

正月2日は、箱根駅伝を見聞きしながら、天ぷら改造の69646号機が、細管式給水加熱器装備だと分って、取付が可能かどうか、検討してみました。まずは創価大学の往路初優勝、おめでとうございます。

図面は、クラーケンさんのblog「一枚の図面から」に、9600形の細管式改造の図が載っています。

その図によれば、シリンダからの排気管は、ランボードのすぐ上に立ち上がって、ランボードのボイラ脇に沿って後方に伸び、エアタンクの段差の後部で、直下に曲がってランボードを突き抜け、キャブ裾の内部をくぐって、テンダのデッキ下に伸びています。

細管式改造の写真、クラーケンさんのblogでは、59607号機L側が掲載されていましたが、背後にトキ900が移っていて、CABにOFF-LIMITの記載も無いので戦後の写真だと思います。テンダ前部の熱交換器の蓋は残っているものの、シリンダ排気管が見えないし、本来シリンダ排気管に合流すべきコンプレッサ排気が普通型になっているので、この写真は加熱器撤去後だと思います。

で、更にないか探したら西尾さんのライカ判写真集に、2例がありました。39603と29646です。一見すると住山式と見間違えますが、煙突後部の油水分離箱がありません。戦前のS11年3月配置表でともに亀山の所属で、「テス細浄」の記号が振ってあるので、細管式です。他は電気前照灯付き、速度計付き、缶水洗浄装置ということもわかります。給水ポンプは図面通りR側キャブ前の乱ボード下に吊っていますが、シリンダ排気管は大胆にボイラ上部を走って後方に伸びています。39603は供出で大陸に渡ってしまい、後年の写真はありません。なお後の写真の2両目の貨車はタ600形でもハーストネルソン製のわが国最初のタンク車です。珊瑚のエッチング板にあるやつです。

もう一例ありました。タクトワン発行の形式写真集で、これもS11年3月配置表で同じく「テス細浄※」なので細管式。39603と同じく亀山所属です。こちらも排気管が同様にボイラ上部を這っています。そりゃあ、図面だったら既存配管に干渉しないように線を描けば終わりだが、工場での改造や、機関庫でのメンテ考えたら、この方が実際的と納得できます。ただし亀山(大鉄局)所属なら鷹取工場施工と思われますが、一方、プロトタイプの69646は木曽福島(名鉄局)所属で浜松工場施工? C51給水加熱器の配管同様、同じプラクティスとは限りません。それに発電機の方が後付けなので、上の写真に見るように発電機はボイラ頂部に直角に取り付けられていて、排気管に干渉しないようになっています。天ぷらオリジナル(普通)では排気管が干渉するので、同じ細管式に改造しようと思うと、発電機の移設の問題も出て来ます。また、ボイラを跨ぐ梯子も、排気管を逃げるよう、いかり肩のようになっています。これの改造は大変だなあ。

別の例を見つけました。西尾さんライカ判写真集Ⅵ、59626、新鶴見所属機です。これは同じ細管式ながら、排気管がエアタンク上に這っており、立ち上がり部がはっきり見えます。これは、設計図面通りの施工で、これは大宮工場でしょう。C51でも東鉄局、大鉄局、名鉄局で個性があり、名鉄局の96は、結局確証がありません。すでに保有しているの9684も戦前は細管式ですが、これは59626と同じ東鉄局仕様で確定できるので、天プラも同じ仕様で作るのも愚である、と言えばそうです。細管式は親中、否、真鍮の珊瑚製9684でやろう。そこで細管式ではない、キャブ(2枚窓)、テンダ(6-13形)、ランボード(中央2段、高)が同一仕様のものを改めて探します。

これがなかなかない。自分の撮った下手写真で2枚見つかりました。左は直方の49678、右は高萩(支)の9657です。49678は冷却管の処理が気味悪いな。やめ。9657がよさそうです。幸い、反対側の写真もヤフオクに出品中で姿が確認できました。9657はだるまやに形式入ナンバーもあります。この機関車は昭和6年以降、青森→大館→長岡→鹿児島と移ってから南延岡、出水、直方、若松と九州内でたらいまわしに遭っており、戦後平・高萩支区に移ってからは安定したようです。テンダは振り替えでしょうね。いやらしいのは、煙室戸周りの手すりが下が切れていることと、コンプレッサのマフラーが煙突直後に付いていること、暖房管くらいです。油ポンプなど細かい部分を気にしても最大公約数の完成品の流用だから、自ずと限度があります。79668だっていいのですが、この2枚窓のキャブも振替だよなあ。

考証するから悩んでしまうのですが、言わば病気の様なもので、死ななきゃ治らない、です。9684の改造の下調べにもなったので良しとしよう。

イメージ 4  イメージ 5  イメージ 6