台湾東部の鉄道「新幹線と同じレール幅」に変更へ 時間や輸送力のほかにもある理由



台湾の国家開発委員会は12月25日、台湾東部の鉄道の複線電化総合計画を承認した。交通部の鉄道局は台湾鉄路管理局が運営する台湾東部の鉄道路線について、2本のレール幅(軌間)を現在の狭軌(1067mm)から標準軌(1435mm)に拡大することも検討している。

台湾東部の花蓮駅で入替作業を行っているディーゼル機関車。【撮影:草町義和】

現地メディアの中時新聞網(中国時報)や聯合新聞網(聯合報)などが伝えた。交通部は西部の高速鉄道の延伸に加え東部の鉄道改良により輸送力の強化を図り、最高速度も現在の130km/hから160km/hに向上し、台湾一周の所要時間を6時間に短縮することを目指している。

鉄道局によると、世界の鉄道の多くは1435mmの標準軌を採用。台湾鉄路が採用している狭軌の鉄道は少ないため、保守や部品類の調達が難しく、車両の購入価格も高いという。標準軌を採用することで、狭軌用より大量生産されている標準軌用の安価な部品類を使えるようになり、コスト低減を狙っている模様だ。とくに輸入車両が多い台湾の鉄道では、コストの低減効果が高いとみられる。

一方で消費者文教基金会交通組の李克聡副座長は、線路の改軌だけでなく車両の全面的な更新が必要などの課題を挙げている。

現在、台湾鉄路が運営する鉄道路線は狭軌の1067mmだが、日本の新幹線に相当する台湾西部の高速鉄道(台湾高速鉄路が運営)は標準軌の1435mm。一部の都市に建設された地下鉄タイプの都市鉄道(MRT)も標準軌を採用している。台湾東部の鉄道路線は、かつての軌間が1067mmよりさらに狭い762mmだったが、1980年代に1067mmに改軌された。

花蓮駅のそばに保存されている昔の車両。【撮影:草町義和】
軌間が762mmだった頃に使われていた寝台車の車内。【撮影:草町義和】

日本の新幹線も標準軌の1435mmを採用しており、JR在来線はおもに1067mm。ただし在来線でも奥羽本線の一部や田沢湖線は東北新幹線との直通運転を行うため、標準軌に改軌された。