【あと2編成】阪神電気鉄道5500系未更新車

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「ジェットカー」の愛称で親しまれている阪神5500系。2016年度から5700系に準じた仕様に更新されていますの未更新車があと2編成になりました。

震災復興という大きな使命を受けて生まれた5500系。今回は数少なくなった5500系の未更新車を追います。

「ジェットカー」のイメージを覆した5500系

5500系は1995年に阪神・淡路大震災の普通用電車の代替車としてデビューしました。阪神の普通用電車は「ジェットカー」という愛称で親しまれ、高加減速を特長にしています。5500系も高加減速を踏襲しましたが、乗り心地の改善を図るために加速度、減速度ともに0.5km/h/sずつ落としています。一方、三菱後期GTO-VVVFインバーター制御の採用などにより、従来車と比べて運転時間に差は生まれていません。

車体は8000系後期車とほぼ同じデザインとなり、塗装は36年ぶりに新塗装となりました。上半分は「アレグロブルー」、下半分は「シルキーグレイ」となり、阪神・淡路大震災からの復興への願いが込められています。8000系後期車と比べると塗装があまりにも異なるため、同一のデザインとは思えないほどです。

車内は青色のバケットシートとなり、従来車と比べると乗り心地が大きく改善されました。デビュー当初は扉上にマップ式の案内表示装置が設置されていましたが、現在は撤去されています。

5500系は4両編成9本が製造され、2010年には増備車として5550系1編成が加わりました。5550系は5500系をベースにしつつも、1000系のシステムを採用しています。外観上の違いはシングルアームパンタグラフの採用と種別・行先表示器のLED化です。また現在も5550系は旧塗装のままとなっています。その後の普通用「青胴車」の置き換えは次世代形式の5700系に移行しています。

2016年度から5700系に準じた仕様に更新され、車内外とも大きく変更。また今年6月には更新の上、武庫川線仕様がデビューしました。

2020年12月現在、デビュー当初の未更新車は残り2編成となりました。いずれ未更新車2編成も更新されることでしょう。

デビューしたばかりの5500系を見たときは衝撃の一言。従来の普通車から見られたクリーム色と青色という「青胴車」ではないだけに、阪神電車新時代の幕開けを予感させるものでした。またバケットシートも筆者が知る限り、沿線住民から大好評を得ていました。2020年は5500系にとって次のステージに向かう節目の年になった感はあります。

未更新車の行先方向幕は「梅田」のまま?

5500系未更新車を撮影するために始発駅の高速神戸駅を訪れました。未更新車は5509Fと5517Fの2編成です。「アレグロブルー」と「シルキーグレイ」の組み合わせは今でもさわやかな印象を与えます。

5500系更新車の種別・行先表示機はLEDですが、未更新車は方向幕です。しかも2019年10月に「梅田駅」から「大阪梅田駅」に駅名変更されたにも関わらず、行先方向幕は「梅田」のままでした。ところで5500系には緑色の準急幕も用意されています。もっとも2020年12月現在、阪神本線には「準急」は存在していません。

側面の方向幕も「梅田」のままでした。阪急電鉄はすべての方向幕を「大阪梅田」にしましたが、どうも阪神では方向幕は放置のようです。いずれ更新する際にLEDにするから、このままで良いという判断なのでしょう。

車内の座席はバケット型のロングシートが並んでいます。デビュー時の内装はシンプルですが、リニューアル後は扉間の座席にスタンションポールを設置し内装も5700系と類似した仕様となっています。

車内でもうひとつ注目して欲しいのが車内案内表示器です。先述したとおり、デビュー当初はマップ式の表示器を採用していました。しかし阪神なんば線の開業に伴い、対応が困難に。その結果、現在のような簡素な案内表示器になりました。更新後の車両ではLCD車内案内表示器に取り替わっています。

こちらが更新後の5500系です。塗装が大きく変わり、5700系に近いデザインとなりました。またLED種別・行先表示器も目立ちます。一方、普通系=青系という阪神の伝統は継承されることになりました。ところで5500系のVVVFインバーター制御は独特の変調音をかなでます。更新車も制御危機は変わっていません。

今後の5500系、ジェットカーの動向は?

いずれ未更新車は更新車になり、デビュー当時の姿は消えることになります。阪神普通車を話に移すと、阪神電車は5700系を増備し、1977年デビューの5001系を置き換えます。5001系の引退は2023年度とまだまだ時間はあります。5001系は昭和時代の阪神電車を今に伝える貴重な車両だけに、乗り納めしたいところです。

2023年度以降、阪神普通車は5500系、5700系体制が続くのではないでしょうか。そして高加減速「ジェットカー」の伝統はこれからも引き継がれるものと思います。なお本線5500系の運用は大阪梅田駅~高速神戸駅間の普通が中心です。普通以外の種別につくことはまずありません。

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