瀬戸内海の観光高速クルーズ船「SEA SPICA」の乗船記です。
今回は最終回その③。クルーズの様子をお伝えします。
■最初の寄港地
三原港を出港。
マリンガイドと呼ばれるガイドさんが、バスツアーのように景色などを説明してくださいます。
レモン色の橋が見えてくると、日本一のレモン生産地の、瀬戸田港(生口島)に着岸します。
ここでは下船観光はできませんが、途中乗船の方がいらっしゃいます。

生口島には、西の日光とも呼ばれる「耕三寺」などの観光スポットもあって、立ち寄りたいところですが、限られた時間ですので仕方がありません。
瀬戸田港出港の際には、まるでギリシャのようだと言われる真っ白い大理石で作られた「未来心(みらいしん)の丘」を遠目に見ることができます。
その後、右手には「今治造船 広島工場」が見えてきます。

穏やかなクルーズが続きます。
■うさぎと毒ガスの島
船は最初の下船観光地である大久野(おおくの)島へ寄港します。
ここで30分の観光タイムが設けられています。

ここ大久野島といえば、別名をうさぎ島と呼ばれるくらい、うさぎがいることで知られています。
なお、うさぎのエサは、島では売られていません。
SEA SPICAの船内で買うか、三原港のファミリーマートで購入してから来島しましょう。

奈良公園のシカのように、ところ構わずにうさぎがいるものと思っていましたが、そこまで沢山はいませんでしたし、限られた時間ではエサを余らせてしまうのではないかとさえ感じしました。
大久野島のもうひとつの別名は毒ガス島。
戦時中に秘密裏に毒ガス製造が行われていた島で、地図からも消されていた島なのです。
そんな様子は、港から徒歩2分くらいの場所にあり「毒ガス資料館」(150円)で垣間見ることができます。

大崎下島での立ち寄りは60分。
港には地元の方が物産販売などを行っていたりして、地元の方とのふれあいも楽しめます。
大崎下島の停泊中には、船員さんが一生懸命、船を磨いていました。
話かけると、ネイビーブルーの船体なので、潮の汚れが目立つのだそう。
船員さん自身も船が好きなのでしょうし、乗客にきれいな船を楽しんでもらおうという心掛けが素晴らしいですね。
■海の難所
寄港地は2ヶ所のみですが、まだまだ見どころがあります。
船はとびしま海道の安芸灘大橋を通過。
このあたりは、女猫(めのこ)の瀬戸と呼ばれ、潮の流れが激しいところ。
安定の双胴船ですが、少しだけ揺れを感じました。

その先にも、航海の難所として名高い「音戸(おんど)の瀬戸」があります。
最も幅が狭いところで80mしかない場所。

無事に音戸の瀬戸を抜け、船は呉港に入ります。
■呉の軍港めぐり
呉港で下船する方もいらっしゃいますが、その前に軍港めぐりをしてくれます。
呉は横須賀と並び、海上自衛隊の主要基地。
船上からではありますが、艦船を間近で眺められるチャンスです。
護衛艦だけでなく、潜水艦も見ることができました。
呉の軍港めぐりだけの観光船でも1,500円くらいしますので、「SEA SPICA」に乗ればその分もオトクに楽しむことができます。
呉港を出ると、広島までラストスパート。
あたりは夕闇に包まれてきました。
途中、同じカラーリングのフェリー「シーパセオ」(広島~呉~松山)を抜かしたり、すれ違ったりして、グランドプリンス広島の桟橋を経由して、広島港に到着します。
半日で6,000円のクルーズですが、快適な船自体の魅力はもちろん、瀬戸内海の島を効率よく観光することもできて、なかなか楽しいクルーズでした。
年内の運航は先日で終了しています。
冬場はお休みなので、次の運航は春からになります。
詳細は公式HPをご確認ください。