KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

etc...

エトセトラ

2020.12.18

京成線の4両編成の今。

D35881.jpg

京成3500形 3524編成・3516編成
2020.11.25/柴又〜京成金町

▲金町線を走る3500形。2本の終日運行が設定されており、4両編成の主戦場になっている

2018年12月ダイヤ修正で大幅な削減が実施された京成線の4両編成。今やすっかり影が薄くなり、見かける機会も少なくなった4両編成の現在の状況を少しばかり整理しておこう。

4両編成の定期運用は金町線と東成田線、芝山鉄道線のみ

まずは2018年12月ダイヤ修正以降、4両編成がどこを走っているか確認しておこう。現在のダイヤで4両編成の定期運用が設定されているのは、金町線と宗吾参道〜芝山千代田(京成本線の末端部と東成田線、芝山鉄道線)のみとなっている。運用数は金町線が2本、宗吾参道〜芝山千代田の区間運用が1本の計3本。それぞれの運用の詳細は後述するが、4両編成はまさに必要最低限を残しているといった状態だ。

Z04001.jpg

京成線 4両編成の運用範囲(2018年12月現在)

▲2018年12月ダイヤ修正以降における4両編成の運用の概況を示す。数字は運行番号。定期運用は太線で示した金町線の2本と宗吾参道〜芝山千代田のみ。不定期列車は主なものを掲載

臨時列車やダイヤが乱れたときなどには上記以外の区間である京成上野や成田空港、押上線や千葉・千原線にも入ることがあるので、定期運用区間外においても停車目標など4両編成の運転に必要な設備は残されている。成田スカイアクセス線は開業以来4両編成の運転実績が1度もない1)

これに対して、4両編成の車両は5本ある。京成3500形3本、3600形1本、芝山鉄道3500形1本である。京成3500形は2両単位で編成を組み換えることが可能だが、ここ数年は3516編成と3524編成、3536編成が4両編成として定着している。3600形は2017年2月より4両編成になった3668編成が該当する。芝山鉄道3500形は2013年4月に京成からリースされた3540編成が京成の4両編成に混ざって走る。

検査による離脱や3500形の編成組み換えで多少の増減はあるが、基本的にはこの4両編成5本で3本の運用を回している。これらは形式や所属の違いにかかわらず、共通運用となっている。

以下、それぞれの運用について少し細かく見ていこう。

金町線71、73運行

4両編成しか対応していない京成金町駅有する金町線は4両編成の主戦場となっており、71運行と73運行の2本の終日運用が設定されている。今や4両編成の終日運用はこの2本のみ。かつては本線や押上線から金町線に直通する列車もあったが、2010年7月の京成高砂駅5番線(金町線専用ホーム)の新設に伴い、運転系統を完全に分離。以降、現在に至るまで4両編成2本が線内をひたすら往復するという体制が続いている。

京成高砂駅5番線入庫で停泊する73運行が翌日の71運行として出庫することから、金町線に入った車両は必ず2日連続で同線を走るような運用が組まれている。ただし、臨時の車両交換や、花火開催時などの増発ダイヤを実施した場合はこの限りではない。

逆説的には、京成は金町線のために4両編成を残しているとも言える。そうであるならば、京成金町駅を6両編成に対応しさえすれば4両編成をなくすことができると考えられるが、これがまたなかなか難しい。京成金町駅のホームのすぐ脇には踏切(柴又第6号踏切)があるし、車止めの先には商店街。それなら高架化だと思って空を見上げれば国道6号の高架橋が、地下化しようにも金町浄水場につながる水道管がそれぞれ邪魔をしていて、まさしく八方塞がりの状態になっている。

東成田線・芝山鉄道線81運行
X70759.jpg

京成3600形 3668編成
2018.6.21/芝山千代田

▲81運行に充当して芝山千代田までやってきた3668編成

宗吾参道〜芝山千代田を走る4両編成が平日に1本のみ、81運行として設定されている。現在のダイヤでは4両編成が京成本線を走る唯一の定期運用となっている。81運行がどれくらい走るかはその時々のダイヤで異なる。2013年10月ダイヤ修正での運用新設当時は1往復のみというさみしい状態だったが、翌2014年11月ダイヤ改正で2往復になる。その後再び1往復に戻るが、2019年10月ダイヤ改正では一挙4往復もするようになった。いずれにせよ午前中には入庫してしまう、なんとも気楽な運用である。

上の写真は81運行に入る3668編成をたまたま捉えたものだが、運用の性質上、芝山鉄道に籍を置く3540編成が充当することが多い。

臨時回送83運行
D35326.jpg

芝山鉄道3500形 3540編成
2010.10.20/京成西船

▲83運行として運転される高砂〜宗吾参道の臨時回送。写真は3540編成が金町線の運用を終えて宗吾車両基地に戻るところ

83運行は京成高砂〜宗吾参道で設定されている臨時回送である。前述のように4両編成の運用範囲は2018年12月ダイヤ修正で金町線と宗吾参道以東のみとなったが、これにより高砂検車区と宗吾車両基地の間で4両編成の定期的な車両のやりとりがなくなってしまった。こうした中、運用上言わば孤立した状態となった金町線の4両編成の送り込みと返却のため、新設された運用である。

京成高砂→宗吾参道が午前中に、宗吾参道→京成高砂が夜間に運転される。運行番号は一見すると定期列車のようだが、不定期列車として設定されており、車両のやりくりの中で必要な時にだけ運転される。

動揺測定S73運行
D23314.jpg

京成3500形 3524編成
2015.2.4/京成臼井〜京成佐倉

▲動揺測定S73運行。4両編成が京成上野や成田空港、押上線、千葉・千原線に入る貴重な機会となっている

変わり種としては、動揺測定のS73運行が4両編成で運転されている。動揺測定については過去の記事でも紹介しているので詳細は省くが、金町線と成田スカイアクセス線を除く京成全線を1日で踏破する業務用の不定期列車である。

現在の行路には金町線が含まれていないので6両編成で運転しても問題なさそうだが、ほかに何か理由があるのか依然として4両編成が使われている。かつては3200形や3300形で運転されていたが、今は専ら3500形更新車がその任に就いている。4両編成が京成上野や成田空港、押上、ちはら台に入るのはよほどのことがない限り動揺測定だけなので、動揺測定は4両編成に貴重な機会を与えてくれている。不定期列車ではあるが、4両編成の花形運用と言えるだろう。

  • 1)京成高砂〜印旛日本医大では北総線列車として実績がある。

関連記事

まだまだ頑張る京成3500形更新車

まだまだ頑張る京成3500形更新車。京成では現在3100形の導入と、3600形と3400形の廃車が進められていることは車両の動きでもお伝えしているとおりである。そんな3600形や3400形を...

まだまだ頑張る京成3500形更新車
京成線 2018年12月8日ダイヤ修正

京成電鉄では、12月8日にダイヤ修正を行う。今回のダイヤ修正について、京成電鉄と直通各社のプレスリリース、および12月7日発売の京成時刻表などを参照しながら、今回のダイヤ修正の内容を見てみよう...

京成線 2018年12月8日ダイヤ修正
京成3500形3532編成 営業運転終了

3500形更新車に初の廃車が発生。京成3000形3039編成・3040編成の導入により、3500形3532編成が営業運転を終了した。廃車とされたのは9月末だった模様だが、9月11日に3039編成...

京成3500形3532編成 営業運転終了
芝山鉄道3500形 京成金町線を走る

京成金町線を走る3500形。一見すると何ら変哲のないごく普通の日常のように映るけれども、よく見たら番号が3540だし、車体の側面には緑色のプレートと成田空港の広告がチラチラ見えとるし...

芝山鉄道3500形 京成金町線を走る
京成3600形3668編成 金町線を走る

金町線に還ってきた、我らがアイドル京成3600形3668編成。2016年度末に中間車両の3608-3601が廃車され、4両編成になった3668編成。4両編成になったということで金町線の運用にも...

京成3600形3668編成 金町線を走る

最新記事

北総7300形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2024年)

今年も春がやってきた。4月21日、北総鉄道が主催する「ほくそう春まつり」の開催に合わせて臨時特急「ほくそう春まつり号」が運転された。昨年、八千代台始発として5年ぶりに運転された当列車だが、今年は...

北総7300形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2024年)
千葉シーサイドバス路線図 2024年4月1日版

当Webサイトでは、2023年3月の「千葉シーサイドバス路線図 2023年3月1日版」と題する記事にて千葉シーサイドバスの路線図を公開していたところであるが、約1年ぶりに改訂版を発行する。千葉...

千葉シーサイドバス路線図 2024年4月1日版
京成グループ 車両の動き(2023年度)

京成グループにおける2023年度の車両の動きをまとめてみよう。まずは京成。ここ数年は列車無線のデジタル化に伴う予備車の存在や2度にわたる脱線事故の影響などでイレギュラーな車両の動きが続いていたが...

京成グループ 車両の動き(2023年度)
北総7500形 「北総1期線開業45周年記念」ヘッドマーク

北総線開業45周年記念。北総鉄道では、3月上旬より7500形おいて「北総1期線開業45周年記念」ヘッドマークの掲出を行っている。表題のとおり北総1期線(新鎌ヶ谷〜小室)の開業45周年を記念した...

北総7500形 「北総1期線開業45周年記念」ヘッドマーク
タイ国鉄 フアランポーン駅の現在

クルンテープ・アピワット中央駅に続いて、かつての中央駅、フワランポーン駅も訪ねてみた。2023年1月にバンコクの中央駅の地位をクルンテープ・アピワット中央駅に譲ったフアランポーン駅。中央駅の移転...

タイ国鉄 フアランポーン駅の現在