西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

【特急はまかぜ2号乗車記】夜明けの山陰から雪の生野峠を越えて(鳥取6:00⇒神戸9:36)

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今回は2017年1月の週末に鳥取駅南口に近いホテルに前泊し、

鳥取始発の特急はまかぜ2号に乗車した際の乗車記です。

写真は出発前にホテルから写した夜明け前の鳥取駅。


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人影もまばらな早朝6時前の鳥取駅改札口付近。

大阪行の特急はまかぜ2号の発車は6:00です。


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発車時刻まで10分を切って、車両基地のある米子方から「はまかぜ2号」となるキハ189系3両編成が入線。

「はまかぜ号」の車両は1972年登場時にはキハ80系が使われましたが、

1982年の伯備線電化により特急やくも号がキハ181系から振子式電車381系に置き換えられたため、

余剰となったキハ181系に置き換えられました。

その後長らく同系での運転が続き、最後にはキハ181系を使用する唯一の特急列車となっていましたが、

2010年から後継のキハ189系に置き換えられています。

キハ181系を使用する特急が「はまかぜ号」だけになっていたことから、

後継のキハ189系は実質的に「はまかぜ号」専用車両となっています。


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近畿地方に隣接する鳥取県の県都から、大阪へ向かう朝一番の特急列車と言うと旺盛な需要がありそうですが、

1994年に鳥取~姫路のバイパスルートとなる智頭急行線が開通したのちは、

そこを通る特急スーパーはくと号に所要時間の面で大きく水を開けられ、

例えば「はまかぜ2号」の39分後、6:39に鳥取駅を発車する特急「スーパーはくと2号」は、智頭急行ルートを走行中に「はまかぜ2号」を追い越し、

姫路・明石・三ノ宮・大阪の各駅に約40分早着します。


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鳥取からの乗車は3両で5人以下という閑散ぶりでした。

鳥取と姫路~大阪間の速達列車としての使命を20年以上前に終えた「はまかぜ号」は、現在3往復のうち2往復が途中の浜坂折り返しとなっています。

乗車する早朝の上り2号と夜の下り5号のみ鳥取までの運転が継続されているのは、

夜間に車両の点検・整備ができる施設が付近では鳥取にしかないためと思われます。


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今回は神戸までの乗車。

乗車券が4000円、自由席特急券が2380円です。


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鳥取を発車した列車は、まだ暗い山陰本線を淡々と走り6:16岩美、

兵庫県に入り6:30浜坂、6:48香住と停車しますが、

各駅とも乗車は数人で車内は静かなままです。


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城崎温泉手前、東の空が明るくなってきました。


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7:22但馬地方の中枢豊岡駅に到着。

城崎駅付近から日本海岸を離れ円山川沿いを内陸へ進むと、車窓に雪が目だつようになりました。

豊岡では、まとまった乗車があり窓側の席がほぼ埋まりました。

浜坂折り返しの1.3.4.6号が示すように、兵庫県北部但馬地方と姫路や阪神地区を結ぶことが、現在の特急はまかぜ号の使命です。


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豊岡を出ると、国府を通過したのち、7:33江原、7:42八鹿と連続停車しますが、両駅の1日の利用者数はともに3桁にとどまっており「はまかぜ2号」への乗車も少数です。


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7:51和田山に到着。

鳥取から辿ってきた山陰本線とここで別れ播但線に入ります。

「はまかぜ号」は山陽新幹線が岡山まで開通した1972年のダイヤ改正で、

初の播但線経由の特急として誕生しましたが、

当時は東京・名古屋方面から新規開業の山陽新幹線姫路駅で乗り継いで鳥取方面への速達輸送に主眼が置かれ播但線内はノンストップでした。


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播但線に入るとさらに雪が深くなりました。

車窓を流れるのは城崎温泉付近でも線路沿いを流れていた円山川です。


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播但線に入って15分ほど、列車は但馬と播磨を分ける生野峠の登り勾配に挑みます。

生野峠は、現在の特急用ディーゼルカーではエンジン音が少し大きくなる程度ですが、

SL時代には登り勾配で機関士が煙に巻かれて失神し、峠の先の下り坂を暴走したのち脱線転覆という悲劇もあった鉄道の難所の一つです。


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播但線生野峠の車窓は生野駅より南(播磨側)のほうが美しく、

深い山中を右に左にカーブしながら播磨平野へと下っていきます。


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播磨平野へ抜け、8:27寺前を発車すると車窓に雪はほとんど見られなくなりました。

播但線の寺前から南側の区間は1998年に電化され103系電車が活躍する都市近郊区間となっています。

電化と同時に高速化工事も実施され「はまかぜ号」は最高時速110km/hで快調に走ります。


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8:38福崎を発車すると次は姫路。

野里駅手前から姫路市内の高架区間へ。


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8:54鳥取発車から3時間弱で姫路駅に入線。

鳥取~姫路間で見れば鳥取自動車道が全線開通した今、はまかぜ号の所要時間は高速バスと比較しても50分余計にかかっている計算になります。


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姫路駅では播但線ホームに到着。 

5分停車ののち進行方向を変えJR神戸線に入り大阪へ向かいます。

姫路では乗客の半数以上が下車し、

下車が一段落すると車内に残った神戸・大阪方面へ乗り通す乗客は座席を転換させます。


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姫路からは最高時速130km/hの車両性能を遺憾なく発揮しJR神戸線を疾走します。

キハ189系の走行性能は生野峠越えよりも、

新快速など高速運転の列車が頻繁に運転される姫路以東のJR神戸線区間で、

その流れを乱さないという視点で設定されたようです。

姫路の次の停車駅明石をでると進行方向右手には明石海峡を望みます。

はまかぜ号に鳥取から乗り通していると日本海側から瀬戸内海側へやってきたことを実感する風景ですが、

乗車日は寒気の流れ込みがあったのか、姫路では晴れていたのに、

日本海側でみられるような鉛色の空から霙が落ちる真冬らしい天候でした。


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明石海峡、須磨海岸と大都市近郊でありながら日本海側に匹敵する雄大な車窓を眺めるうち、

列車は神戸の市街地に入り神戸到着の車内放送が流れました。


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 9:36神戸駅で下車。

神戸駅は東海道本線の終点、山陽本線の起点で、

歴史的には非常に重要な役割を果たしてきた駅ですが、

「はまかぜ号」が神戸駅に停車するようになったのは、

鳥取への速達輸送の使命を解かれた後のことです。

そして現在その役目を担う特急「スーパーはくと号」は「三ノ宮に停まれば十分」とばかり通過してしまいます。


ブログ掲載を前提としていなかったので写真不足ですが、

雪の日本海側から生野峠を越えて瀬戸内海側へ抜ける冬の「はまかぜ2号」の車窓は、

夜から朝への空の移ろいとともにダイナミックに変化していき、

3時間以上の乗車でも飽きることがありません。

鳥取や但馬の人しか乗れないようなダイヤですが、

鉄道ファンなら前泊してでも一度乗ってみる価値のある列車だと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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