67でポジフィルムを使うとなれば、やっぱり色とりどりの風景を取り入れた写真を撮りたいと思っていた。
紅葉も過ぎた晩秋に鮮やかさを見つけるのは難しいものだが、この日は幸い空の青が澄んでいたので、大きく取り込んだ。狙うは国鉄色をまとったPF型の牽く貨物列車。このあたり一面は水田で、その時期が来れば、人間の知恵と自然の力が織りなす幾何学的で美しい風景を望むことができる。一見枯れきった茶色に見えて、その中では次に向けた準備が人知れず進んでいるに違いない。
同じ場所で定点観測をすると、季節の変化を感じ取ることができて楽しい。この感覚はきっと、量産型の列車を撮るときの楽しみと本質的に同じなのだろう。