ベス単風レンズの試写 | gayasan8560のブログ

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趣味の鉄道、街歩きネタを中心としたブログです。鉄道については、主に歴史的視点からの記事が多いです。

第一の前書き

100年以上前、アメリかのコダック社から当時としては小型のカメラが発売されました。洋服のベスト(ヴェスト)のポケットに収まるくらいコンパクトなカメラということで、ヴェスト・ポケット・コダックと名付けられたそのカメラは発売から10数年で180万台が製造されるベストセラーとなりました。ヴェスト・ポケット・コダックは製造時期によって装着されているレンズが異なりますが、比較的初期に製造されたものにはメニスカス72mmという1群2枚構成の単玉レンズが使われており、いわゆるこれが後に「ベス単」として呼ばれるようになるレンズとなります。このレンズは単純な構成のレンズであったため、フード状の絞りを付けることで球面収差を目立たなくなるようにしていました。しかし、日本に輸入されてきたとき、当時の低感度のフィルムに対応しようとフードを外して使う人が現れました。するとどうでしょう!球面収差が逆にソフトフォーカスな描写を生み出しているではないですか! これはこれで雰囲気が出て良いじゃないか、ということになり、続々とフードを外して使う人が増えました。これが「ベス単フード外し」としてその道の人の間では有名な裏技になります。

 

第二の前書き

時は流れ1980年代になると、ベス単フード外しをしたいと思っても、元になるヴェスト・ポケット・コダックが少なくなってきました。さらに、本来は127フィルムという規格に合わせたカメラでしたが、すでにその規格は時代遅れで、世は24×36mm(ライカ判)フィルムの全盛期になっていました。そんなときオリンパスのカメラ技術者であり写真作家でもあった桜井栄一が「ベス単みたいなレンズを作ってくれるメーカーがないものか」と人に話しているの聞き込んだ清原光学の社長が「じゃあ、うちが作りましょう」と申し出てきました。そして桜井栄一指導の下で製作されたレンズが、VK70Rというレンズです。

 

やっと本文

長々と書き綴ってきましたが、要するにVK70Rを入手したので試写してみたよ、というのが今回の記事のテーマになります。

このレンズ、かなりマニアックなニーズにより生まれてだけのことはあり、距離環に数字が書かれていない、絞りリングがレンズ前面にある、といったなかなか癖のある仕上がりになっています。何よりも、諸先輩方のレビューを読ませていただくと、誰もがフォーカスの難しさに言及されています。使いこなすのが難しそうです。恐る恐る試し撮りをしてみました。

 

 

 

入手したレンズはOMマウントのものなので、マウントアダプタを介してニコンZ6に取り付けて撮影しました。

絞りは全て開放(f5)、JPEG撮って出しです。

 

1枚目は見た目で最も合焦しているときのものです。確かにピントは合っているようですが、ソフトフォーカスな感じがイマイチです。

2枚目は、それよりもピント少しずらしてみたものです。だいぶソフトフォーカス感がでてきました。ほんわかした感じですが、拡大するとピントの芯は残っているようです。もう少しピントをずらしても良さそうな感じです。一言でいうと、被写界深度の大きいソフトフォーカスレンズなのですね。ピントの芯をぎりぎり残しつつ、ソフトフォーカス効果の出ている所を狙う、、これを老眼の私が狭いモニター越しに判断するのは、確かに難しそうです。