■南阿蘇鉄道
南阿蘇鉄道は、JR豊肥本線の接続駅である、立野駅~高森駅間17.7kmを結ぶローカル鉄道。
2016年の熊本地震の影響で、現在でも立野駅~中松駅間が不通になっているため、中松駅~高森駅間の7.2kmのみで運行を続けています。
 
やってきたのは、高森駅
ここは、熊本駅や熊本空港から快速バス「たかもり」号でのアクセスが便利です。
 

 
現在は南阿蘇鉄道の終着駅ですが、当初はこの先の高千穂から高千穂鉄道を経由して延岡までをつなぐ、九州横断ルートの計画があったのですが、高森トンネルの出水事故などで未成線のままになっています。
 
 

■トロッコ列車
そんな南阿蘇鉄道
現在の区間運行では、需要がないようで、平日には普通列車が1日3往復だけ。
休日には普通列車が1日1往復と、観光客向けのトロッコ列車が4往復しており、トロッコ列車に収入が「頼みの綱」状態です。
 
トロッコ列車は3月~11月の土休日や夏休み期間に運行しています(2020年は12月にも追加運転あり)。
前後にDB16型機関車を連結し、中央に青色のトロッコ車両3両を連結しています。
 
 
機関車が小ぶりなせいか、遊園地の乗り物のようにも見えますね。
 
 
トロッコ列車の客車ですが、中松方の1号車は少し幅広の車体のTORA20001。
2007年製造の新車です。
 
 
トロッコ列車らしいのは2号車と3号車。
こちらは旧国鉄の貨車トラ70000形を改造したトラ700形で、トロッコ列車運行当初の1986(昭和61)年から運行を続けている車両。
 
 
車両間には、「日本国有鉄道」の銘板が残ったままです。
 
 
車端部には、貨車時代の面影を感じることができます。
 
 
■車内
立野⇔高森であったであろう表示が、「中松⇔高森」に修正されている痛々しい表示。
車内に乗り込んでみましょう。
 
 
車内は貨車ではなく、すっかり客車になっています。
ドアはバスのような折れ戸で左右異なる場所に設けられています。
 
 
4名用のボックス席のほか、一部には2名用の席もあるようです。
 
 
4名用の席として、テーブルを見ると中央にも席番が振られています。
南阿蘇鉄道の方にお伺いしたところ、大人であれば4名ボックスとして使うのですが、幼稚園の団体などでは6名ボックスにするとのこと。
 
 
こちらは1号車の車内。
車体が幅広なこともあり、大人基準で、4名用と、6名用のボックス席になります。
 
 
元国鉄貨車の、2・3号車の天井にはJNRマーク付きの扇風機がついています。
これは飾りではなく盛夏時には、現役の扇風機として活躍しているとのことです。
 
 
トロッコ列車ですが、窓を閉めることができるようになっており、寒い時や雨の時には安心の仕様になっています。
 
 
後編 では出発後の車窓をご紹介します。