JR北海道では、去る10月14日に、来春のダイヤ見直しの概要を発表し、特急列車の一部減便・減車や普通列車の見直し等を実施することを発表していました。



今般、そのダイヤ見直しのより具体的な実施内容について、JR北海道から発表がありました。

来春のダイヤ見直しについて|JR北海道

概要は以下の通りです。

【特急列車の減便・減車】
・特急「北斗23号・24号」の運転取りやめ、「北斗5号・14号」を閑散期の曜日運休(4・10・11月の水・木曜日運休、年間30日程度)

・特急「北斗」の減車(通常期7両編成→5両編成)

・特急「カムイ」4本を土休日運転

・特急「大雪1号〜4号」を閑散期の曜日運休(4・5・10・11月の火・水・木曜日運休、年間50日程度)

・特急「サロベツ3号・4号」を換算日の曜日運休(4・5・10・11月の火・水・木曜日運休、年間30日程度)

・特急「おおぞら」の減車(通常期6両編成→5両編成)

【札幌圏輸送】
・一部列車の土休日運休、日中から夜間にかけて7本の運転取りやめ

【普通列車】
●H100形電気式気動車を30両新規投入
・室蘭線:
苫小牧〜室蘭間の66本のうち、43本をH100形で運転
東室蘭〜長万部間の20本全てをH100形で運転

・宗谷線:
H100形投入(約11分)と駅廃止(約12分)により、所要時間を短縮
37本のうち34本をH100形で運転し、最大31分(平均13分)の速達化を実現

・石北線:
23本中2本をH100形で運転

●運転本数の見直し
以下の線区で普通列車の運転を一部取りやめ
・函館線(滝川〜旭川間):1本
・留萌線:3本
・根室線:
滝川〜新得間2本、新得〜帯広間3本、帯広〜釧路間1本
・宗谷線:2本
・石北線:1本

【駅の見直し】
●駅の廃止(18駅)

・函館線・・・1駅
(伊納)
・宗谷線・・・12駅
(南比布、北比布、東六線、北剣淵、下士別、北星、南美深、紋穂内、豊清水、安牛、上幌延、徳満)
・石北線・・・4駅
(北日ノ出、将軍山、東雲、生野)
・釧網線・・・1駅
(南斜里)

●2021年度より自治体による維持管理に移行(沿線自治体から費用や人的な支援を提供)
・宗谷線・・・17駅
(蘭留、塩狩、日進、智北、恩根内、天塩川温泉、咲来、筬島、佐久、歌内、問寒別、糠南、雄信内、下沼、兜沼、抜海)
・石北線・・・1駅
(瀬戸瀬)

●駅の無人化
・根室線・・・音別駅


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



冒頭のブログ記事でも10月にご紹介したように、JR北海道では来春のダイヤ改正において、特急列車の減車・減便や、駅の廃止などを含めた、見直しの概要を発表しています。

本日発表された内容は、先に発表されていた概要について、その具体的な内容を発表したものであります。

特急列車等に関しては、既に減便・減車が示されてはいたのですが、その具体的な運休期間について、今回発表がありました。
特に特急「大雪」が全列車曜日運休となりますが、運休となるのは4・5・10・11月と、利用者が少ない期間を中心となること、また週末は減便が行われないことから、「全列車一部運休」と記すと何か大規模な見直しにも聞こえますが、その実態は50日程度の運休日設定ということで、影響を最小限に抑えるための運休設定、ともいえるでしょうか。


むしろ今回の発表で目立ったのは、「H100形の追加投入」でしょうか。
今年3月のダイヤ改正で、函館線・小樽〜長万部間に投入されたH100形ですが、今回の改正では更に室蘭線、宗谷線、石北線にも投入されることとなりました。

特に目立つのが宗谷線で、H100形投入に加え駅の廃止も加わって、平均13分、最大31分の速達化が実現する上に、旭川乗り換えを介した名寄〜札幌間の所要時間も、平均10分(上り)・14分(下り)短縮し、接続列車の変更も併せて札幌での滞在時間の拡大を実現するなど、宗谷線の名寄以南に関しては、大きな改善も見られる内容となっています。

その一方で、駅の廃止については宗谷線で一気に12駅が廃止となるといったように、こちらには大ナタが振られるわけですが、ここにきて、宗谷線に関しては、駅廃止・新車投入による速達化により、鉄道という輸送モードとして持続可能な形態を目指そうとしている姿が見えてくるような感じです。

H100形の投入で一つ気になったのは、室蘭線の苫小牧〜室蘭間の投入に関してです。
この区間は電化区間であることから、老朽車両の置き換えとして、2両編成のワンマン電車を投入することが、JR北海道の中期経営計画で示されていました。


それが今回、この区間に電気式気動車のH100形を投入することとなっていますが、これは中期経営計画が変更となったとみるのか、それともワンマン電車投入までのつなぎと考えるのか、少し判断に迷うところはあります。
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▲東室蘭駅に停車中のキハ141形
今回この区間にH100形が投入されることから、50系客車の改造という異色の経歴を持つキハ141形の今後の動向が気になるところです。

とはいえ、今回の室蘭線へのH100形投入にともない、老朽化が激しいキハ40形は廃車となる一方、この区間で運用されているキハ141形にも何らかの変化がみられることは確かでありましょうから、これまた車両の動向が気になるところです。


ともあれ、H100形がここまで一気に投入されるとは、思いもしませんでしたが、これもキハ40形の老朽化が待ったなしの状況、と考えると単純に喜べるものでもないのですが、一方で、このコロナ禍ではあるものの、車両の置き換えはしっかり行うダイヤ改正、とも見て取ることができるでしょう。



毎年春に実施されるJRグループのダイヤ改正の内容については、前年12月中旬の金曜日に、各社から一斉に発表が行われるのが、ここ近年の姿でありました。
しかし今年は、その毎年恒例の一斉発表ではなく、JR北海道が一足先に発表したのも、減便や駅廃止といった、地域に影響の大きい内容が多かったからなのかも知れません。

新型コロナウイルス感染症の影響により利用者が減少している上に、アフターコロナの「新しい生活様式」の元では利用者が従前のように戻ってくることはないのではないかと考えられます。

それだけに、来春のダイヤ改正では、各社とも厳しい内容が発表されることと思われるだけに、今後発表されるJRグループ他社の内容がどんなものなのか、気になるところですが、発表が行われ次第、順次当ブログでもご紹介できればと思っています。



●関連ニュースサイト:
キハ40が消える区間も JR北海道 新型の電気式気動車「H100形」30両を投入 2021年春 | 乗りものニュース
2021年春ダイヤ見直し JR北海道の特急列車 季節・曜日で一部運休に | 乗りものニュース
JR北海道 18駅を廃止へ 2021年春のダイヤ見直しで | 乗りものニュース
JR北海道が2021年春ダイヤ改正の内容発表、「大雪」全列車が閑散期運休に - 鉄道コム



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