鉄路は西から東から

鉄分多めの日常とお出かけの記録

グッバイあかね、フォーエバーあかね

どうもこんにちは。

 

佐渡汽船が直江津~小木航路で運航している高速カーフェリー「あかね」が、11月15日をもって定期運航を終えました。

 佐渡汽船の小木-直江津航路が冬季運休に入ることに伴い、高速カーフェリー「あかね」が15日、同航路で最後の定期運航を終えた。観光面でのプラス効果が期待されたが、乗り心地の悪さから利用が伸び悩み、同社が売却方針を決定。新潟県佐渡上越両市の市民らが見送る中、就航わずか5年で姿を消した。

――【動画あり】高速カーフェリー「あかね」 最後の定期運航 小木-直江津航路に就航5年 | 社会 | 新潟県内のニュース | 新潟日報モア

https://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20201116581522.html

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小木港停泊中の「あかね」

高速カーフェリー「あかね」は、2015年4月に直江津~小木航路に就航した「双胴船」。オーストラリアのインキャット社製で、その名の通り2つの船をくっつけたような形をしており、船の下部は空洞となっています。

佐渡汽船公式ホームページによると、総トン数5,702トン、最大旅客定員628名を誇り、乗用車91台と大型車7台、または乗用車を152台も搭載できます。最大速力は30ノット(時速約55キロ)。高速旅客船ジェットフォイルの46ノットには及びませんが、新潟~両津航路のカーフェリーが約20ノットなので、その1.5倍の速度で航行することができます。

上越地域への北陸新幹線延伸開業に伴い、利用者の増加と、船のスピードアップで利便性の向上が期待され、鳴り物入りでデビューした新造船でしたが、乗り心地の悪さから利用者数が低迷し、運用コスト高と佐渡汽船の経営不振もあいまって、わずか5年という短い役目を終えることとなりました。

 

昨年5月に私が佐渡へ行った際、この「あかね」を往復で利用しました。

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二等席。座席だがシートベルトはない

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一等席「ときクラス」。列車で言うグリーン車のような存在

「あかね」の船内は座席がズラリと並んでおり、「ときクラス」と名付けられた一等席と、二等席があります。全席指定の座席ですがシートベルトはなく、トイレや売店など、船内を自由に散策できます。

しかし平日ということもあってかお客は少なく、往復ともガラガラでした。

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帰路は雨だった

肝心の揺れについて。往路は晴天、復路は小雨が降ってきて薄ら寒い天気で、波の高さで言えば大したことはなかったはずですが、特に復路は船がゆっくりと揺れているのがよく分かりました。

気分が悪くなるほどではないものの、この天気でこれくらい揺れるなら、本当に海が荒れてきたらどうなるんだろうか? と、いささか心配になったのは確かです。

 

で、実は今年10月にも1泊2日で再び佐渡へ行こうと目論んでいたのですが、

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お船をご用意することができませんでした

あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!)

 

……はい(冷静)。欠航となってしまいました。

折からの悪天候で、直江津~小木航路は前日、前々日と全便欠航が続いていました。旅行当日は朝起きてみたら晴れていたので、ワンチャンあるかなと思ったのですが、ダメでしたね。上記のメールのほか、6時40分ごろに直江津港の事務所から電話が来て、正式に欠航が告げられました。

新潟~両津航路のカーフェリーは動くということだったので、そちらに振り替えるか、旅行の日にちを延期するか、無手数料にてキャンセルするか尋ねられました。しかし上越から新潟まで車で行くとなると、高速道路を飛ばしても2時間近くかかるうえ、その分の費用は自腹。佐渡に渡ると到着はもう夕方で、1~2時間もすれば暗くなるでしょう。

延期しようにも、「あかね」が運航するのは11月15日まで。私の11月の予定はその時点で確定していなかったため、15日までに連休が取れるか定かではなく、キャンセルせざるを得ませんでした。

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無駄になってしまったパンフレット類

ああ。

納車したばかりのスイスポで、秋の佐渡ドライブを楽しむことができたなら、一生の思い出になったはず。ちょうど紅葉は見頃だろうし、「あかね」に愛車を積んで直江津から佐渡へ行けるのはこれが最後かもしれない。おまけに、車両航送となると運賃がクソ高いのですが、それもGoTo適用で安く行けるという千載一遇のチャンスだったのに。

結局、11月の上旬にまとまった休みは取れなかったため、再度申し込んでリベンジすることも叶わず、私の「新車で秋の佐渡ドライブ」は夢と消え、「あかね」は定期運航を終えてしまいました。

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口惜しいので港までは行った。空はこんなにいい天気なのに……

 

さて、直江津~小木航路の任を解かれた「あかね」は、ひとまずは新潟~両津航路にて、ドック入りするカーフェリーの代わりとして運航されるようです。例年ですと年末年始には直江津~小木航路で臨時便が出るようですが、今年はそれもなさそうな雰囲気。ドック入りしたカーフェリーが戻ってきたら、いよいよ売却へ向けた動きが加速するものと思われます。

「あかね」なき後の直江津~小木航路については、現在新潟~両津で運航しているジェットフォイルが充当される模様です。これによって所要時間はさらに短くなることが期待されますが、一方でジェットフォイルでは車両や貨物を運ぶことはできませんので、その際は新潟港または両津港まで行かねばなりません。また、運賃も相当高くなる可能性があり、利用者、そして佐渡島内の経済に与える影響は未知数なところがあります。

自治体が「あかね」売却に同意する条件として、将来的には再びカーフェリーを導入することを求めていますが、コロナ禍まっただ中の今、その「将来」がいったいいつになるのかは誰にも分かりません。