皆様こんばんは。ブログおよびホームページ管理人の神@北見です。

 

Tomix製キハ58系レビューの続きで、今回は急行「たかやま」を見てみたいと思います。急行「たかやま」も以前ご紹介した「広島色」と同様、旧ロットHGとリニューアル後の2回生産されていますが、リニューアル後の新ロットしか持っていません。よって新ロットのみの製品レビューです。何でもかんでも購入している私がなぜ旧ロットを買わないかは後ほどご説明いたします。

 

↑相変わらず美しいパッケージです。これだけで購入欲がそそります。

 

↑中を開けてみます。4両セットで下部はイラスト付きスリーブとなっていますが…

 

これをめくると

↑増結セット3両もまとめて収納しています。

 

では出してみましょう。

 

↑キハ58が3両、キハ28が2両、キロ28が2両で、急行「たかやま」用に改造された7両全車コンプリートとなったセットです。

 

↑キハ58 3両です。急行「たかやま」用のキハ58は、向日町にいた平窓最終グループである14次車(794~、1000~)から改造されています。種車はキハ58 1028・1050・1052で順に6001~6003になりました。

 

↑後位側です。先の説明通り実車は平窓最終グループ14次車で、便所窓が横長の小窓になっています。模型もちゃんとこのグループを再現しています。さすがです。また、向日町車は国鉄時代より汚物処理装置を取り付けており、当模型でも全車に汚物処理装置パーツが付いています。くどいようですがこのパーツ分売して欲しいです。また、屋根上の水タンクはビード表現の少ないタイプが付いています。また全車黒Hゴム、更に屋根上のクーラー脇の通風器はハーフガラベンになっています。これもちゃんと実車に即しています。

 

次にキハ28を見てみましょう。

 

↑キハ28 2両です。急行「たかやま」用のキハ28は、向日町にいたモデルチェンジ車である3000番台から改造されています。種車はキハ28 3007・3008で順に6001・6002になりました。

 

ちなみにキハ28の顔には1つ押さえるべきポイントがあります。おなじみのイラストで見てみましょう。

 

↑左が6001(元3007)、右が6002(元3008)です。

 

何が違うって、もうお分かりですよね。キハ28 3007を改造したキハ28 6001はタイフォンが寒冷地用のシャッター付きになっています。

 

これは、1970年時点で大阪鉄道管理局管内には1007~1009の3両のキハ28モデルチェンジ車が配置されており、全車向日町配置です。そして1973年には冷房化及び4VK取り付けを行い3007~3009に改造されています。しかしこのうち3007は同年度に宮原へ転属します。宮原の3007は同区が向日町へ集約される1985年3月で宮原から向日町へ転じています。1970年代の宮原時代は、北陸本線の急行「ゆのくに」や中央西線の「ちくま」等の付属編成で寒冷地で使用されたこともあり、タイフォンがシャッター付きに改造されています。宮原ではこのほかにもキハ58へのスノープロウ取り付けなど、寒冷地・豪雪地向けの改造が施工されています。もっとも、この急行「ゆのくに」「ちくま」の基本編成は長野担当のキハ57・キハ58達で、彼らはスノープロウ無し、タイフォンも大半がシャッターを外してスリット式カバーでしたので、宮原のこの改造にどれだけ効果があったか疑問ですが…。

 

ということで、6001のシャッター付きタイフォンは、3007~3009の仲間のうち唯一宮原にいた証となっています。なお、キハ58を含むモデルチェンジ車の暖地向け番台でタイフォンがシャッター式に改造されたのはこの車が唯一となります。

 

 

先ほどの模型では2両ともタイフォンがスリット式カバーになっています。そのためキハ28 6001は本来シャッター式であるのが「正」となります。細かいですが。

 

↑妻面を見てみましょう。汚物処理装置はちゃんと付いており、特にコメントはありません。向日町→京都では乗降ドア下部の丸窓は最後までそのままでしたので、模型の表現で問題ありません。

 

 

続いてキロ28を見てみましょう。

 

↑2両のキロのうち、1両は車体断面が変更された2500番台の改造車、1両は100番台のユニットサッシ車と個性が強いですが、これを的確に模型化しています。

 

↑キロ28 2510を改造したキロ28 6001です。急行色製品のキロ28の塗り替えになります。

 

↑見づらくて恐縮ですが床下にはちゃんとキロ28 2500番台用の汚物処理装置が付いています。

 

キロ28 6001は特に形態上の問題はありません。完璧な仕上がりです。

 

↑キロ28 6002は、キロ28 100番台のユニットサッシ車の改造で、種車はキロ28 2162でした。JR化直後向日町にはこの2162と、車体断面変更車のキロ28 2313、そして2510の3両がいましたが、2313は急行「みささ・みまさか」が廃止になったあと1989年に廃車になっています。なぜ車体断面変更車の2313が廃車になってこの2162が残ったのか非常に疑問です。模型は急行「きのくに」セットで発売されたキロ28ユニットサッシ車の塗り替えであると思われます。ただし実車に即してちゃんと便所下に汚物処理装置が付いています。

 

↑急行「きのくに」セットのキロ28ユニットサッシ車と同様、モデルチェンジ車と同じ床板が付いており、機関予熱器の表現は新型のWH250になっています。しかし、種車のキロ28 2162は10次車で旧型のWH101Aのはずです。キロ28の機関予熱器に関しては新製後も能力増強のためWH101AをWH250に換装した車が極く一部いましたので何とも言えませんが、おそらく旧タイプのままであったと思われます。そのため気になる方は床板を平窓車のものと交換すると良いでしょう。但し平窓車用と交換すると今度は水タンクの表現が違ってしまいます。(実車は6002になった時点では新型のFRPタンク) よって非常に面倒な事になります。

 

非常に細かいところについてはコメントがありますが、全般的に実車に即した専用パーツを使用してとても忠実に再現されていると思います。先ほどのコメントの点なんて気にしないで、当時の編成を思い出しながら楽しめる好製品であると思います。

 

この車両達は後に整備を行っていますので簡単にご紹介いたします。

 

↑乗務員ドアステップは黒で色挿ししています。貫通幌やヘッドマークも取り付けています。ヘッドマークは着脱可能なように、両面テープで固定しています。

 

↑Tomix製品全般に言えますが、平窓車の助手席側床下にある機器箱はキハ58の場合441番以降はありませんので切除します。

 

↑整備前で言うところのコレです。

 

おさらいしますとこれは室内の蛍光灯用の交流を作るための機器箱です。キハ58系の蛍光灯は元々ロータリーインバーター式でしたが、北海道用は昭和37年度本予算(4次車)から、本州用キロは昭和37年度第2次債務(5次車)から、本州用キハは昭和38年度本予算(6次車)からトランジスタ式に変更され、この設計変更の際にこの機器箱がなくなりました。キハ58では441番以降はこの箱がありません。よって切除する方が良いでしょう。なお私は電気に詳しくないので、なぜ蛍光灯がロータリーインバーター式からトランジスタ式に変わるとこの機器箱が無くなるのかまでは良く分かりませんが…。

 

↑キハ58は平窓最終グループの14次車で、後位側タンク脇のデッキ上通風器が残っていました。パーツが付属していますので、少量のゴム系接着剤で取り付けます。なお、前位側デッキ上の通風器は実車では撤去されていますので特に増設をする必要はありません。

 

↑キハ28にも列車無線を載せ、乗務員ドアステップを黒く塗ります。

↑これで増結時6連の編成を組むことができます。キロはお好みでどちらかを選ぶことができます。なんという気の利いたセットでしょうか。

 

なお、昔の鉄道ファンでキロを2両組み込みこの「たかやま」専用車7両がフル編成となり、更に急行色まで増結した長大編成で運用されている写真を見たことがあります。やはり「飛騨高山」というのは人気な観光地なのですね。この列車の存在意義が分かる気がします。会社を跨ぐ列車が減りつつあるこのご時世、いまだに大阪直通のワイドビューひだ号も運転されていますから、一定の需要があるのでしょう。

 

ということで、Tomix製キハ58系急行「たかやま」セットの新ロット品をご紹介しました。

 

ちなみに旧ロット品はというと…実は他の当時の旧ロット塗り替え製品と同じく、基本的に単品の塗り替えになっていました。

 

そのため、

 

1. キハ58は平窓最終グループの便所窓が横長小窓ではなく、通常の正方形に近い形状

2. トイレの汚物処理装置は全車で取り付け無し

3. キロは雨どいが下がった車体断面変更車であるキロ28 6001のみ

4. 増結セットの設定も無し

 

となっており、特に1のポイントが痛いです。他は、屋根上の通風器がちゃんとハーフガラベンになったりはしていましたが…。

 

急行「たかやま」は実車が7両しかなく、新ロットの基本・増結セットでこの7両全車を網羅できるため、わざわざ敢えて旧製品を買う必要が全くありません。そのためさすがの私もこれに手を出すつもりはありません。

 

このようにHG旧ロット製品の時代は車体の基本的な型はそのままで、通風器などの小パーツを工夫しつつ塗り替え品を出すという戦法でしたが、HG新ロットになってからは車体に関しても積極的に新規金型を使用して製品化する傾向が強くなった気がします。特に「グリーン車」への力の入れようは目を見張るものがあります。

 

特に西日本・九州・四国の車両についてはかなりのバリエーションが製品化されている感がありますが、東日本・北海道については少ない気がします。完全に西高東低の状態になっています。今後もTomixさんから様々なバリエーションの製品が出ることを楽しみに待っています。

 

それでは次回もお楽しみに!!

 

是非私のホームページ

 

http://kami-kitami.sakura.ne.jp/index.html

 

にもキハ58系各車の解説がありますのでご覧になってください。