皆様こんばんは。ホームページ及びブログ管理人の神@北見です。

 

本日は、Tomixさんからキハ58系JR四国シリーズが発売されました。また同時にKATO新製品のN2000系も届き、まさに四国車両が急激に増えております。来年はTomixさんからキハ185系も出ますし、四国ブームのようであります。

 

今回Tomixさんからは、キハ58系「うわじまセットB」と、「モデルチェンジ車セット」が発売されました。一昨日はKATOさんからキハ58系モデルチェンジ車が発売されておりますし、今週末はキハ屋さんにとっては非常に忙しいことになっています。

 

 

↑今日のお届け品は、偶然ですが四国シリーズとなっております。KATOさんからはN2000系が新発売になり、Tomixさんからはキハ58系のJR四国シリーズの発売です。

 

↑ちなみに今日、KATO製キハ58系モデルチェンジ車を加工中に届いた新製品のお届け品です。非常に忙しいです…。

 

↑今回は「うわじまセットB」と「パノラミックウィンドウセット」となっています。相変わらずブック型ケースのデザインは購入欲をそそるものとなっています。もっとも新製品発表と同時に予約ですのであまり関係ないという話もありますが…。 このご時世、店頭に並んでいるのを見て「これいいなぁ」と思って買う比率というのはいくらくらいなのでしょうか…。すぐ店頭から消えてプレミア状態になってしまいますし…。

 

この製品たちについては若干懸念があり、2020年10月2日の投稿で「11月は各社さんからNゲージキハ58系が発売されますが形態は大丈夫なんでしょうか…」というタイトルでご紹介させて頂きました。先のKATO製キハ58系モデルチェンジ車は私の心配事が的中してしまいましたが、Tomix製はどうでしょうか…。結論から申し上げますと、ほぼ的中です…。

 

まぁ細かい事はさておきとにかく見てみましょう。

 

↑「うわじまセットB」と「パノミク車セット」です。うわじまセットBは、キハ58 400番台で運転席窓バランサー点検蓋が無いロットの車をモデル化、そしてキロ格下げ車は雨どいが下がった最終番台で、側窓がユニットサッシになった車をモデル化しています。キハ65は特徴はありません。「パノミク車セット」はその通りキハ58と28のモデルチェンジ車をモデル化しています。モデルチェンジ車の色変え発売は比較的珍しいです。

 

では「うわじまセットB」から見てみます。

 

↑長大編成対応のキハ58 400番台ですが、運転席窓バランサー点検蓋が無い8次車以前をプロトタイプとしていることになっています。「ことになっています」とわざわざ遠回しな表現にしたのは、訳アリだからです。

 

おさらいですが、長大編成対応のキハ58 400番台は8次車まで(401~548)が運転席窓バランサー点検蓋が無い姿で登場しています。ちなみにこのグループでJR四国に継承されてJR四国色になっているのは、

 

キハ58 423・463・482・506・516・517

 

の6両です。464もいますが、これはJR四国色ではなく「レインボー」塗装となっています。また、423は徳島配置のため急行「土佐」には入りませんので、実質は5両です。

 

そして元々の形態では「400番台で乗降ドア下部の丸窓が有るが、運転席窓バランサー点検蓋が無い」というのが特徴のキハ58 400番台前期車(5~8次車)になっています。Tomixでは急行「アルプス」セットにこれが入っており、時にプレミア状態になる車です。それを今回JR四国色バージョンで発売したというのがポイント、ということになっています。

 

しかし、JR四国では以前2020年10月2日の投稿で懸念を述べた通り、「大半の車で乗降ドア下部の丸窓が埋められている」という事実があります。JRに継承されたキハ28・58(キロ格下げを除く)で、丸窓が付いているのはキハ58 1035の1両しかいません。

 

↑度々登場しますが、キハ58 1014です。このようにキハ58・28の長大編成対応番台以降でも丸窓はキハ58 1035の1両を除いて綺麗さっぱり無くなっています。

 

↑今回Tomixさんはプレミア品で名高い急行「アルプス」に入っているキハ58 400番台前期車をJR四国色にして目玉にしようとしたのでしょうが、実車はこの乗降ドア下部の丸窓はありません。従って実車は既出のキハ58 0番台と同じ形態になってしまっています。今回の製品ではこの点が修正されるか?と期待しましたが、やはり無理でしたか…。

 

↑気を取り直して後位側妻面を見てみます。JR四国ではJR化後間もない徳島区を除き全車で汚物処理装置が装備されており、模型でも同装置が付いています。ただこれは既発売の各種セットでも既に付いているので目新しい点ではありません。あと、やはりドア下部の丸窓に目が行ってしまいます…。

 

やはり予想通りの結果でした。

 

では気を取り直して次を見てみましょう。キロ格下げのキハ28 5200番台です。

 

↑これまたマニアックな車が出てきました。新断面になった最終グループ車をユニットサッシ改造した車です。

 

キロ28の新断面車は2500番台のみならず、2300番台の最終グループも同形態です。2300番台と2500番台の違いは主に床下の寒冷地対策なので、外観上大きな差異はありません。四国向けのキハ28 5200番台になったキロ28車体断面変更車は、

 

キハ28 5217(元宮原の2310)、キハ28 5218(元宮原の2311)、キハ28 5220(元美濃太田の2516)

 

の3両となっています。このうち、5217と5220の2両がユニットサッシになっていました。よってわざわざこの2両しか存在しない車を模型化したことになります。

 

↑後位側です。

 

↑見にくいですが、汚物処理装置が付いています。キロ28の最終増備車は便所が車端へ移され、汚物処理装置の取り付け向き等も他と異なりますが、わざわざ新パーツで再現されています。これは以前発売された「うわじまセット」や急行「たかやま」も同じです。

 

キロ28の車体断面変更車である最終増備車をユニットサッシ化したものは実は既に模型化されており、今年に発売された急行「のりくら」セットに入っていました。この時該当した車はキロ28 2309です。ただ、キロ28 2309は名古屋工場でユニットサッシ化を施工したため、4VK用吸気口が幕板部から腰板部へ移設された異端車でした。そしてTomixさんはそれを見事に模型で再現していました。今回懸念としてはこれと同じ金型を使っているのではないかと…。さあ、結果はどうでしょうか?

 

↑奥は今年の5月に発売された急行「のりくら」セットのキロ28 2309です。さて今回のキロ格下げ車はどういう形態でしょうか?

 

↑おおっつ!! ちゃんと新規金型で違いが再現されている!!!

 

前回発売された急行「のりくら」セットのキロ28 2309は名古屋工場でユニットサッシ化された際に4VKの吸気口が腰板部へ移設されています。これはこの2309に限らず他の車(2103・2126・2201・2302)でも同様です。しかし、今回発売された車体断面変更キロを格下げしたユニットサッシ車では、ちゃんと赤丸の幕板部に吸気口があります。ちゃんと作り分けてくれました。

 

上の「のりくら」用のキロ28は2309の1両のみ該当、下のキハ28 5200は5217と5220の2両しか該当車がいませんが、こんなところはちゃんと再現するようです。

 

ちなみに先ほどキハ58で取り上げた乗降ドア下部の丸窓ですが、この車を含め5217~5220の4両は実車ではそのまま残っていました。これは、丸窓を埋める作業自体は1980年代初旬から始まり中旬には既に終わっていたこと、そもそもキロ28改造の格下げ車は先が短いとされたことなどが考えられます。

 

 

↑うーん、ちゃんと再現されたキロの4VK吸気口がすごい。ただ、床下の水タンクについては、キロ28の車体断面変更車を改造した3両については新型のFRP製には換装されず、原形のFRPタンク(昨日ご紹介したKATOの製品についているタンク)のままとなっています。したがって、よっぽど気になる方はKATOのタンクや他の同種タンクを移植すると良いでしょう。

 

↑キハ28 5220の側面イラストです。

 

なお、ここで疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。キロ28のうち名古屋工場でユニットサッシ化改造を行った車は4VK用吸気口が幕板から腰板へ移設されているということは、元美濃太田区配置のキロ28 2516を改造したこのキハ28 5220も急行「のりくら」セットと同じように腰板部にあるのでは?。なぜ5220は幕板部のままなのでしょうか、名古屋工場の例外なのですか? と。それは、このキロ28 2516は美濃太田時代は1段下降窓で、多度津工場でユニットサッシ化改造を施工されたからでした。美濃太田から高松へ転属後改造待ちで多度津で留置されている写真が残っていますが、この時点では窓は改造されていません。

 

さて、キロ28格下げ車で盛り上がってしまいました。まぁこのセットの目玉ですから。ではそろそろ次の車両に移りましょう。

 

↑キハ65には本当に目ぼしい変化が無く、全セット同じ仕様で特に注目すべきポイントはありません。

 

ということで、今回の「急行うわじまセットB」を見てみました。いつもの注目ポイントのキロ格下げ車に続き、さらなる目玉にしたかったキハ58でしょうが、乗降ドア下部丸窓のためにちょっと微妙な結果になってしまいました。

 

では引き続きキハ58系パノラミックウィンドウ車2両セットを見てみたいと思います。こちらも以前懸念を抱いていましたがどうでしょうか?というか先の「うわじまセットB」でほぼ結果は明らかなのですが…。

 

キハ58系モデルチェンジ車のJR四国色セットです。

 

四国には元々モデルチェンジ車の配置は少なく、キハ58 1135・1136の2両、キハ28 3011~3013の3両の合わせて5両しかいませんでした。キハ58+キハ28でさぞかし仲良く手を繋いで走っていたとおもいきや、じつはキハ58とキハ28は用途が全く異なり、1990年頃の一時期以外は接点のない車たちでした。

 

というのは、キハ28は1970年代後半以降もずっと高松区におり、キハ28+キハ58を組んで急行の増結運用に就いていました。そのため当然汚物処理装置も取り付けられ、6連急行の中間にいつも挟まっていました。この状態は1986年11月のダイヤ改正まで続き、同改正で急行が激減した際にキハ28が急行編成から外れ、一旦3両とも徳島へ移動します。しかし1988年には高知や松山へ再度転属し、1990年頃には3011は回転クロスシート化されて急行「よしの川」の予備となり徳島配置、3012・3013は近郊化され高知へ配置となりますが3012は1993年には廃車となり、3013のみが生き永らえます。

それに対しキハ58 1135は1980年より汚物処理装置が無いまま徳島へ移動し、高徳線の急行で活躍していました。1988年には高知へ転属するも1135は1989年度末であっさり廃車、1136も1992年で廃車となります。よってキハ58とキハ28のモデルチェンジ車にあまり接点はありません。というか特にキハ58のモデルチェンジ車JR四国塗装は早期に廃車になったこともあって非常にレアな車両です。比較的晩年までいたキハ28 3000四国色はともかく、なんでこんなの模型化したの?というくらいです。

 

では製品を見てみましょう。

 

↑超レアなキハ58 1100番台のJR四国色です。私の懸念通り、やはり乗降ドア下部の丸窓は付いたままの製品化です。

 

↑後位側です。むむっ?

 

↑汚物処理タンクが付いてます。

 

キハ58 1100番台は汚物処理装置が付いていないことを理由に1980年に高松を追い出され徳島へ移動しています。そしてそれが理由で長生きしてません。そのため汚物処理装置が付いているのはちょっと違和感です。他の車両から便所流し管パーツをもってきて交換すると良いでしょう。そしてここから捻出された汚物処理装置は他へ転用できます。

 

ではキハ28を見てみましょう。

 

↑キハ28 3000です。コメントはキハ58 1100と同じになります。

 

↑後位側です。Tomix製品はキハ28 3000番台の4VK用吸気口が窓下にあり、これはキハ28 3013までに該当します。JR四国にいたのはキハ28 3011~3013なので、この場合は問題ありません。

 

↑キハ28 3000も床下に汚物処理装置が付いています。キハ28 3000は1986年まで高松で急行運用に就いており同装置を装備しておりましたので問題ありません。

 

↑やはり乗降ドア下部の丸窓が目立ちます。というか非常に違和感です。これが付いたJR四国車は見たことがありませんから。

 

↑赤丸のように、乗降ドア下部の丸窓がありません。これは晩年にそうなった訳ではなく、国鉄時代から既に撤去されていました。ちなみに、四国では1986年11月のダイヤ改正でタブレット閉塞の廃止によりタブレットキャッチャーやドアのタブレット保護柵が撤去されましたが、それに合わせて黒丸で囲んだ中にあったタブレット保護板も無くなりました。これは平窓車はキハ65を含め全車に施工されました。

 

いかがでしょうか。新製時の形態変化はともかく、晩年の形態変化をいちいち全て完成品の模型で再現するなんて不可能でしょうから、このあたりは「気になる方はお好きに改造してください!」という事なのでしょう。 その割にあのキロ28格下げ車へのこだわりはどこからあんなパワーが出るのでしょうか??

 

これでJR四国色のキハ58系は大ファミリーになってきました。これまでに、「うわじまセット」「土佐セット」「うわじまセットB」「よしの川セット」「キハ58 0番台セット」「パノラミックウィンドウ車セット」と発売され、さらにHGリニューアル前の旧ロットでも4両セットが出ています。

 

↑既に22両もいます…。こんなに出す割に末期の近郊化仕様(便洗面所が無く、キハ58の屋根上水タンクも無く、Hゴムが黒で、台車がグレーという仕様)は出ていません。九州色もそうですが、概して最末期の姿は製品化されない傾向にありそうです。と思いきや北陸地区の車両は末期の姿が模型化されるし…。Tomixさんの力の入れどころが良く分かりません。

 

↑こんだけいると、キハ40系も欲しくなってきますが、これに手を出すと引き返しがつかなくなりそうですのでぐっと我慢です。キハ58系だけでもすでに引き返しの付かないことになっている気がしますが…。

 

なお、これで既に3タイプものキロ28格下げ車が製品化されています。

 

左からキロ28 2100番台ユニットサッシ車の格下げ車、真ん中はキロ28車体断面変更車、右は今回発売のキロ28車体断面変更車のうちユニットサッシ車

 

↑既に無くなって久しいキロ28格下げ車に対する並々ならぬパワーを感じます。細かな点までよく再現されています。キハ58のドア下部の丸窓は放置の割に…。

 

今まで3種類のキロ28格下げ車のJR四国色が登場しましたが、他にはバリエーションは無かったのでしょうか? いや、まだまだ変なのは居ます。

 

↑キロ28 100番台の格下げ、原形側窓。意外なことに5204の1両のみ。

 

↑キロ28 100番台の格下げ、ユニットサッシ窓。上で紹介している「うわじまセット」に入っているものです。これは仲間が多く、5209・5210・5212・5213の4両居ます。

 

↑キロ28 100番台のうち便所窓が横長グループの格下げ。原形側窓。5207のみ。

 

↑キロ28 100番台のうち便所窓が横長グループの格下げ。ユニットサッシ窓。5214のみ。

 

↑キロ28 100番台のうち便所窓が横長グループの格下げ。ユニットサッシ窓。4VK吸気口が名古屋工場タイプ。5219のみ。

 

↑キロ28 300番台の格下げ。ユニットサッシ窓。300番台なので屋根上の蛍光灯用小通風器は無し。5216のみ。

 

と、何かよく似ているものの微妙に違うのが沢山います。しかも1両ずつというのが多いです。それこそこんなのを全部再現し始めたらきりがない!?

 

ただ、キハ58の四国色にもまだバリエーションがあって、キハ58平窓車で便所窓が横長になったグループはまだ模型化されていません。これと上記のキロのうちどれかを組み合わせるとまたバリエーションが増え、それこそ「土佐セットB」とか、「あしずりセット」とかで出ると面白いですね。まだまだ今後の展開がありそうなキハ58系JR四国色シリーズです。

 

相変わらず細かなツッコミをいっぱいしてしまいましたが、そもそも完成度の高い製品ですのでバリエーション品もとてもレベルが高くまた美しい出来で仕上がっていると思います。JR四国の車両は製品化に恵まれている傾向にありますので、いろんな車両を並べて楽しめそうです。また、色々手を加える余地はありますので、気になる方は加工を行って自分だけの1両を作成すると良いと思います。

 

さきほどチラッと見えましたが、同時にJR四国のN2000系も今回届いています。KATO製品は基本的に何も手を入れなくてもそのまま走らせられますので、早速JR四国車を並べて楽しみたいです。今月末は本当にキハ屋の私には多忙な週末でした。しかし無事にご紹介ができたと思います。あとはちょっとずつ気になる点に手を加え、また別の機会にご紹介したいと思います。

 

それでは皆様次回もお楽しみに!!

 

是非私のホームページ

 

http://kami-kitami.sakura.ne.jp/index.html

 

にもキハ58系各車の解説がありますのでご覧になってください。