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【烏山線 乗車記】非電化路線を電車が走る! 関東平野のはずれを蓄電池駆動電車が走るのどかなローカル線!

乗車レポート
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烏山線は、栃木県の宝積寺駅と烏山駅を結ぶJR東日本の路線です。栃木県内に閉じるローカル線ですが、架線のない非電化区間を、蓄電池を積んだ「電車」が走る珍しい路線の一つです。そんな烏山線に久々に乗車してきましたので、乗車記をお届けします。

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「烏山線」とは?

烏山線(からすやません)は、JR東日本の路線の一つです。宝積寺(ほうしゃくじ)駅と烏山駅を結ぶ20.4kmの短い路線です。全線が単線・非電化の路線ですが、大半の列車は、東北本線に乗り入れて、宇都宮発着となっています。

起点の宝積寺駅は東北本線の駅で、宇都宮駅から北へ2駅目です。烏山線は、宝積寺駅からほぼ東へ向けて走っています。関東平野の北東端にあたる地域で、途中までは平地が広がりますが、鴻野山(こうのやま)駅から東側は多少起伏のあるところを走ります。

烏山線の列車は、平日は13.5往復(下り14本、上り13本)が運転されていますが、そのうち3往復が宝積寺発着、それ以外は宇都宮駅発着となります。

朝晩はおおむね1時間に1本、日中時間帯は2時間に1本程度の運転本数です。

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日本初の「電車」が走る非電化路線「烏山線」

烏山線を走る蓄電池駆動電車「EV-E301系」
烏山線を走る蓄電池駆動電車「EV-E301系」

烏山線の沿線にはメジャーな観光地が多いわけではなく、地元の人たちが通勤や通学に利用する地味な路線という印象ですが、鉄道ファンの間では有名な路線でもあります。それは、非電化路線にもかかわらず「電車」が走る路線であるためです。

烏山線には、かつてはキハ40系という気動車が走っていましたが、2014年に蓄電池駆動電車「EV-E301系」が1編成投入されました。2017年には烏山線の全ての列車がEV-E301系での運転となりました。

蓄電池駆動電車というのは、車内に蓄電池、要するにバッテリーを備えていて、そのバッテリーに蓄えた電気でモーターを駆動して走る電車です。

EV-E301系電車はパンタグラフから充電する
EV-E301系電車はパンタグラフから充電する

バッテリーに充電する際には、コンセントから充電するわけではなく、ふつうの電車と同じように、パンタグラフから集電します。パンタグラフから集めた電気をバッテリーに蓄えるわけです。

そんな蓄電池駆動電車ですが、現在、烏山線以外には、同じJR東日本の男鹿線(秋田~男鹿)と、JR九州の若松線、福北ゆたか線、香椎線で運転されています。烏山線は直流仕様のEV-E301系ですが、男鹿線とJR九州の電車は交流仕様となっています。JR九州が交流仕様の蓄電池駆動電車「BEC819系」を開発し、JR東日本がほぼ同じ仕様の「EV-E801系」を男鹿線に導入しました。

男鹿線を走る蓄電池電車「EV-E801系」の乗車記は、以下の記事をご覧ください。

【男鹿線 ACCUM 乗車記】 非電化路線を電車で! 車窓の見どころは八郎潟と寒風山!
秋田県にある男鹿半島の南岸を走るのが男鹿線です。長大な八郎潟防潮水門や寒風山の眺めなど車窓の見どころも多い路線ですが、鉄道ファンに注目なのが、「ACCUM」(アキュム)の愛称が付けられた蓄電池電車が走っていることです。架線のない非電化路線を電車で旅することができるのです。【ひさの乗り鉄ブログ】では、秋田~男鹿を走る男鹿線の乗車記をお届けします。

今のところ、蓄電池の容量の関係で長距離の路線では走れないのですが、距離の短い路線を中心に、少しずつ導入されてきています。

ということで、前置きが長くなりましたが、烏山線の乗車記をお届けします。

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烏山線 蓄電池電車ACCUM「EV-E301系」乗車記

2020年11月、烏山線を走る蓄電池電車 ACCUM「EV-E301系」に乗車してきましたので、乗車記をお届けします。

宇都宮駅から烏山線の蓄電池電車「EV-E301系」に乗車!

宇都宮駅9番線から発車する烏山線の電車に乗車!
宇都宮駅9番線から発車する烏山線の電車に乗車!

自宅のある東京から宇都宮線の電車で宇都宮駅にやってきました。宇都宮駅からは、10時34分発の烏山行きの列車に乗車します。

折り返し烏山行きとなる烏山線の電車が宇都宮駅に入線!
折り返し烏山行きとなる烏山線の電車が宇都宮駅に入線!

10時25分過ぎ、宇都宮駅の9番線に、折り返し烏山行きとなる烏山線の列車が入ってきました。

東京方面へは10~15両の列車が頻繁に発車していく宇都宮駅ですが、黒磯方面と日光方面へは4両編成、そして、烏山線の電車は2両編成。宇都宮駅は、首都圏と地方の境目に位置する駅なのです。

上の写真でわかると思いますが、パンタグラフを上げて、架線から集電しています。宝積寺~宇都宮の2駅間は電化区間のため、一般の電車と同じように、パンタグラフから集電しながら走行します。

ドア間の「ACCUM」のロゴが目立つEV-E301系
ドア間の「ACCUM」のロゴが目立つEV-E301系

EV-E301系は3ドアですが、ドアとドアの間には「ACCUM」のロゴが大きく入っています。「ACCUM」(アキュム)というのは、JR東日本の蓄電池駆動電車の愛称です。前述の男鹿線を走る「EV-E801系」にも「ACCUM」のロゴが入っています。

EV-E301系の車内は長いロングシートが並ぶ
EV-E301系の車内は長いロングシートが並ぶ

車内は長い(?)ロングシートが両側に並びます。JR東日本エリアでよく見かけるタイプの車両と同じで、これといって変わったところはありません。

車端部にある大きな箱状の「機器室」
車端部にある大きな箱状の「機器室」

唯一、他の電車と違うところは、車端部にあるこの箱状の物体でしょうか。これはトイレではなく、機器室だそうです。

車端上部には案内に使われる大きな液晶ディスプレイ
車端上部には案内に使われる大きな液晶ディスプレイ

車端上部には、大きな液晶ディスプレイが2枚設置されていて、行先や次の駅の案内等が流れています。これは見やすくてなかなかいいですね。

東北本線を飛ばして宝積寺駅へ

EV-E301系の車端部には「ただいまの電気の流れ」が表示されるディスプレイが設置されています
EV-E301系の車端部には「ただいまの電気の流れ」が表示されるディスプレイが設置されています

車端部には、「ただいまの電気の流れ」が表示されるディスプレイが設置されています。宇都宮駅に停車中は、「架線からの電力を充電しています。」となっていましたので、停車中にバッテリーに充電しているようです。

10時34分、座席が2~3割埋まる程度の乗客を乗せて、宇都宮駅を発車します。蓄電池駆動電車といっても、モーター音などは通常の電車と変わりません。架線から集電した電気でモーターを回すのか、バッテリーの電気でモーターを回すのかの違いでしかありません。

宇都宮駅を発車した列車は、東北本線の線路を快調に飛ばします。岡本駅に停車したあと、烏山線との分岐駅である宝積寺駅へと入っていきます。

宝積寺駅でパンタグラフを下ろして蓄電池での駆動に!
宝積寺駅でパンタグラフを下ろして蓄電池での駆動に!

ポイントをたくさん通過して、宝積寺駅の3番線へ。宝積寺駅では2分の停車時間がありますが、この間に、パンタグラフを下ろして、蓄電池で走るモードへと切り替わります。乗務員が、何やら「充電〇〇%」といったようなことを無線でやり取りしていました。ある程度、充電されていないと発車できないルールになっているのでしょう。

その後、パンタグラフが下りる音がしたあと、ディスプレイを見てみると、「蓄電池で空調・照明を動かしています。」に変わっていました。

一般的に2両編成の電車は、1両が制御電動車(運転台とモーター=動力がある車両)、もう1両が制御付随車(運転台がありモーターがない車両)の構成が多いのですが、EV-E301系は2両とも制御電動車なのだそうです。通常の電車でいえば「クモハ」にあたるのですが、EV-E301系にはそのような表記はないようです。

架線のない烏山線をバッテリーの電力で走行!

宝積寺駅を出ると、東北本線と分かれて、烏山線は東へと針路を取ります。架線のない非電化区間へと入っていきます。

田園風景の向こうに那須の山々が見えてきます
田園風景の向こうに那須の山々が見えてきます

長閑な田園風景が広がっています。進行方向左側の車窓には、田んぼのはるか向こうに特徴的な山々が見えてきました。那須の山々でしょうか。

架線のないローカル線を走る「電車」EV-E301系
架線のないローカル線を走る「電車」EV-E301系

烏山線の前半は関東平野の端っこという感じで、平坦な田園風景が広がりますが、鴻野山駅を出たあたりから、少し起伏のある地形へと入っていきます。その起伏を縫うように、烏山線の線路も曲がりくねってきます。

那珂川の支流「荒川」を渡り開けた地形を走る
那珂川の支流「荒川」を渡り開けた地形を走る

小塙(こばな)駅のあたりは、那珂川の支流の荒川という川が削ったであろう開けた地形が広がっていました。この写真ではわかりませんが、荒川を渡った直後に撮影したものです。

滝駅を出て大きく左へカーブし、那須烏山市の市街地へ
滝駅を出て大きく左へカーブし、那須烏山市の市街地へ

滝(たき)駅を出ると、大きく左側へカーブします。途中、車窓の右側に、那須烏山の名勝「龍門の滝」の上部だけが見えました。残念ながら、道路と川の間にある木に隠されてしまい、流れ落ちているところは見えませんでした。

龍門の滝を過ぎ、再び大きく左へカーブすると、那須烏山市の市街地へと入っていきます。そして、11時22分、定刻通りに終着の烏山駅に到着しました。

剛性の架線で急速充電! 1両分しかない架線が珍しい烏山駅

宇都宮から40分弱で終点の烏山駅に到着
宇都宮から40分弱で終点の烏山駅に到着

烏山駅は、1面1線のみのシンプルな構造の駅です。烏山駅にやってきた列車は、しばらくすると、宝積寺方面への列車となって、折り返していくだけなのです。

1両分だけ架線が設置された烏山駅、到着後にすぐ充電を開始!
1両分だけ架線が設置された烏山駅、到着後にすぐ充電を開始!

烏山駅に到着すると、すぐにパンタグラフを上げて充電を開始します。わずか1両分だけの架線が設置されているのがわかるでしょうか? EV-E301系の電車は、2両編成のうち、烏山側の1両にだけ2個のパンタグラフが設置されています。このパンタグラフがある車両が停車するところにだけ架線が設置されていて、充電できるようになっているのですね。

烏山駅の架線は急速充電に対応した剛性の丈夫なもの
烏山駅の架線は急速充電に対応した剛性の丈夫なもの

別のアングルからみると、この架線、いわゆるケーブルではなく、剛性の丈夫な架線であることがわかります。烏山駅では、急速充電を実施するため、大電流が流れても破損しないように、剛性の架線が使われているのです。

EV-E301系の烏山側の1両分だけ設置された剛体架線
EV-E301系の烏山側の1両分だけ設置された剛体架線

烏山で散策したあと、帰宅時に烏山駅でも撮影しました。少し引いてみると、架線が1両分しかないのがわかるでしょうか?

ホームに貼り付けられた「充電ゾーン」のシール
ホームに貼り付けられた「充電ゾーン」のシール

ホームには、「充電ゾーン」とかかれたシールが貼り付けてあります。列車の先頭部分が、この範囲に入らないと、充電するときにパンタグラフが架線から外れてしまうためでしょう。

線路が行き止まりになっている先に、急速充電用の設備がありました。剛体の架線から、電柱を伝って電線が延びているのもわかります。

烏山駅の端に設置された急速充電のための設備
烏山駅の端に設置された急速充電のための設備

これは、2014年に烏山駅を訪問したときの写真ですが、急速充電のためのDCコンバータと蓄電池の設備のようです。

烏山駅で充電しながら発車を待つ宝積寺行きの列車
烏山駅で充電しながら発車を待つ宝積寺行きの列車

このあと、宝積寺行きの列車で戻りました。発車の直前にパンタグラフを下ろして烏山駅を出発。宝積寺駅に到着したら、すぐにパンタグラフを上げて充電、という感じでした。


以上、「【烏山線 乗車記】非電化路線を電車が走る! 関東平野のはずれを蓄電池駆動電車が走るのどかなローカル線!」でした。車両に搭載したバッテリーで走る珍しい電車ですが、乗ってしまえば普通の電車と何も変わりません。ただ、駅の充電設備や、列車の運行をよく見ていると、なかなか面白いです。烏山線に乗車される際には、本記事でご紹介したところに注目してみてください。

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この記事を書いた人
乗り鉄歴25年!
ひさ

乗り鉄歴25年! 青春18きっぷやフリーきっぷを利用して、関東甲信越、北海道、東北によく乗り鉄に出かけます。このブログでは、これまでの乗り鉄経験を活かして、おすすめの列車や路線、青春18きっぷ活用のノウハウ、お得なきっぷの情報などを掲載しています。

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