皆様こんばんは。ブログおよびホームページ管理人の神@北見です。

 

最近はキハ58系モデルチェンジ車の実車紹介を続けいていましたが、久しぶりにキハ58系Nゲージのご紹介をしたいと思います。今回はTomixさんのHG初期製品の急行「よねしろ」セットです。旧ロットで既に生産中止となり長期間経過している製品ですので今更何かを言っても仕方ないのですが、模型と実車の相違を中心に見てみたいと思います。KATOさんは意外と潔く、既存の製品から塗り替えなどでお手軽にバリエーションを増やす際、実車との相違が多い場合は「~タイプ」と付ける傾向が多いです。最近手にした製品では、き「キヤ28 訓練車タイプ2両セット」がありました。

 

↑ちょっと買い過ぎたKATOの「キヤ28訓練車タイプ 2両セット」

 

当セットの車両は実車はエンジンが新潟鐵工製のDMF13HZに換装され機関冷却水給水口が撤去されていますが模型は再現されずDMH17Hエンジンのまま、給水口も付いています。そのようなこともあり「タイプ」と称していると思います。ただ、製品は実車に即して黒Hゴムとなり更に東北地区に多く見られるワイパーまで車体色(赤色)で塗られた姿を再現し、床下のスノープロウは実車に即して単線型が当セットのためにわざわざ用意されるなど、意外と手の込んだ製品でした。

 

しかし、Tomixさんの製品では「タイプ」と称する製品は見た覚えがありません。今回ご紹介する急行「よねしろ」セットは、「タイプ」と称した方が良いのでは?というレベルの製品でした。同じ現象は盛岡赤鬼色セットにも見られます。盛岡赤鬼セットは2月に新製品の「盛岡色」セットが出ますので、その際に合わせてご紹介したいともいます。

 

1990年代以降のJR東日本のキハ58系を再現するのに一番ネックになるのはこの機関換装で、さらに機関冷却水給水口が無くなっているので床下のみならず車体も新規金型にしなければなりません。さらに機関も1種類ではなく新潟鐵工・コマツ・カミンズと3種類あり、これを作り分ける力は無かったのでしょう。中には更新車もおり、これはドアの形状も異なりこれらを製品で作り分けるのはコストパフォーマンスが悪すぎるという事なのだと思います。よって、HGの新ロットになってからはJR東日本の機関換装後を再現した製品は発売されていません。

 

とにかく早速製品を見てみましょう。

 

急行「よねしろ」セットとはっきりと断言しています。

 

キハ58+キハ28+キハ58の3連のようです。

 

↑見方にもよりますが、ベースのアイボリーが緑色味が強いような…。しかし実車の色も緑っぽく見えたりしますので微妙な色合いです。

 

↑キハ28 2157 確かに地色はちょっと緑味がついているような。

 

↑キハ58 23 この光線だとあまり緑味を感じません。

 

↑キハ58 308 やはり余り緑味はありません

 

↑キハ58 1502 ちょっと緑ががっている?

 

しかし、ちょっと模型の色合いは緑味が強いような…。

 

気を取り直して1両ずつ見てみましょう。

 

↑キハ58です。模型もこの光線で見るとそんなに緑っぽく見えませんね。色合いって難しいです。

 

それより製品は当時の単品のキハ58と基本的に同じになっています。よって機関は原形のDMH17Hだし、機関冷却水給水口はあるし、乗降ドアも原形でタブレット保護柵用の窪みやドア下部の丸窓もあるし、さらには400番台車になっているので運転席窓バランサー点検蓋まであります。実車に付いている側窓上の行先方向幕はインレタで再現するようになっており、車両にモールドなどはありません。

 

↑屋根上の水タンクは、カバーのビード表現の少ないものが新調されています。実車のカバーは補修等が繰り返され、このようにビードが無くつるつるになっているものはよく見かけましたが、あまり外観上のインパクトはありません。そこを新調するなら側板の金型を新調してくれと言いたくなってしまいました。

 

↑キハ28です。こちらもキハ58と全く同じツッコミどころが満載になっています。「よねしろ」用ではないですが「月山」用には運転席窓バランサー点検蓋が付いたキハ28 2380は居ますが、この車は元水戸配置車で屋根上のクーラー配置が常磐無線アンテナ対応になっています。

 

↑「よねしろ」「月山」用のキハ28は便所・洗面所が撤去され荷物置きスペースとなっており、後位側の便所窓兼戸袋窓はありませんでしたし、当然臭気抜き窓もありませんでした。床下の便所流し管もありませんでした。

 

ということで、ちょっと実車との相違が多く、「よねしろ(タイプ)」セットにした方が良かったのではという状態です。1990年代にTomixさんから発売されたキハ58系の色変えバリエーションシリーズはどれもツッコミどころ満載になっていました。

 

 

製品のコメントばかりではつまらないので実車についても軽くご説明したいと思います。

 

このJR東日本の急行用車は、機関換装後も残ったキハ58系急行である「月山」と「よねしろ」用に1991年に改造されました。

 

急行「よねしろ」用として

 

キハ28 2047・2157

キハ58 23・54・1502

 

急行「月山」用として

 

キハ28 2174・2318・2380

キハ58 172・266・308・414

 

が用意されました。この改造はアコモ改造と車両更新工事を併設して行われ、車両更新工事は特別保全工事を施工していない車両を対象として行われたため、特保施工から漏れ廃車予定であったガラクタのような車と、特保を受ける順番待ちであった比較的後期車に概ね二分されていました。「よねしろ」用のキハ58はそれが顕著で、JRに継承されたキハ58で最若番の23と、新製年月日ではこれより古い54番、そしてモデルチェンジ車の1502という年の離れた兄弟による構成でした。

 

急行「よねしろ」はその後動きは少なく、2002年の東北新幹線八戸開業と同時のダイヤ改正で名無しの快速へ格下げ、そして2008年のダイヤ改正では大館で系統分離され、それぞれキハ110系と701系の快速列車となり姿を消しました。

 

急行「月山」には1991年10月以降このアコモ改造車が投入され、キハ58+キハ28で運用されましたが、1992年7月の山形新幹線開業の際に快速へ格下げられました。そして1993年には自由席車を一般のキハ28とすることになり小牛田のキハ28と車両交換が行われ、快速月山のアコモ車はキハ58 1両のみとなり東北地域本社色と混色編成となりました。その後もこの状態が長く続きましたが、1997年に飯山線からキハ58が転属し自由席車に組み込まれると、塗装の不揃いを解消するためアコモ改造車も含めて東北地域本社色に塗り替えが進みました。そして1999年12月のダイヤ改正で山形新幹線が新庄まで延伸され、快速「月山」は廃止され消滅しました。

 

先に述べましたが1993年に小牛田に転じた元「月山」用のキハ28は快速「南三陸」の指定席車として活用されるようになり、塗装も「東北地域本社色」へ変更されました。しかしその後は同快速のキハ40系化が進み、晩年は指定席車のキハ28のみがキハ58系、その他はキハ40系という編成が目立ちました。そして2007年のダイヤ改正で全列車キハ110系化されて同車は用途を失い、2009年に廃車されました。

 

この塗装車は元「月山」車については後に東北地域本社色へ変更され長続きしませんでしたが、急行「よねしろ」車は長く活躍しました。

 

なお余談ですが、この急行「よねしろ」用車は必ずキハ58+キハ28+キハ58の3連で運用されるため、キハ28の顔を見るのが非常に困難でした。秋田にはこの「よねしろ」用車としてキハ58 3両とキハ28 2両がいましたので、常にキハ28と58の1両ずつが余っていることになります。よって検査の無い時にはこの2両が多客臨や団体輸送で使用されることがありました。その最たる例は臨時の快速「千秋」で、仙台~秋田間を北上線経由で結んでいました。その他期間限定や特定イベントの臨時列車としてよく駆り出されました。その際はいつもは中間に入っているキハ28が先頭に出ることになり、写真撮影のチャンスでした。

 

↑再掲ですがキハ28 2157を先頭にした臨時列車です。鉄道ダイヤ情報などを注視し、秋田車を使用した臨時列車が運行される時には北見から駆け付けたものでした。

 

 

ということで今回は急行「よねしろ」セットのご紹介でした。Tomix製はHGの新ロットになってからはめっきり減ったJR東日本管内のキハ58系模型化ですが、西日本方面ではキロを中心に1両のみもしくは数の少ない珍車を新規金型で模型化したりしています。このパワーがあればもうちょっと東日本方面の特徴のある車両達を模型化して欲しいと思います。機関換装車とか更新車とか常磐無線対応車とか。

 

では次回もお楽しみに!!

 

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にもキハ58系各車の解説がありますのでご覧になってください。