心の躍るお誘いを受けたのは、およそ1ヶ月前のことであった。城崎温泉の開湯1300周年を記念して、大阪~城崎温泉で久々に「サロンカーなにわ」が走るというのだが、それを北近畿観光も兼ねて撮りに行こうと言うのである。運転日はギリギリ中間試験直後。これなら、遠出しても大きな支障は無い。試験最終日の夜から車に乗せて頂き、夜通しで新東名→伊勢湾岸→新名神と、日本を代表する大動脈「E1A」をひたすら西へ進んだ。

    早朝のうちに兵庫入りした我々は、まずは目星を付けておいた往路の撮影地にて場所取りを行った。それが済むと、午前中は観光メインの行程をこなす。日本海側に出て、日本三景の一つである天橋立へ向かった。夜通し車で移動をした身体に、天橋立往復5.2kmを歩くというのは、朝の散歩にしてはあまりにも酷なものであった…。それが済むと、今度は海沿いを北上して伊根町へ。有名な「伊根の舟屋」を見学させて頂いた。

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    昼過ぎまで観光をしたところで、いよいよここからが鉄的には本番。早朝に場所取りをしたポイントへ戻り、機材をセッティング。線路脇に伸びる雑草が厄介ではあったが、何とか調整と妥協を行った。途中雨足が強くなることもあったが、根気強く待っていると、大きなディーゼルエンジン音を鳴らしながら、DD51が大きなカーブの向こうから姿を現した。

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9711レ:「城崎温泉開湯1300周年記念『サロンカーなにわ』で行く城崎温泉の旅」往路
DD51 1192+14系欧風客車「サロンカーなにわ」
    雨が降るしっとりとした雰囲気の中、目の前を轟音を立てながら走り去って行った。生憎の天気ではあったものの、初めてサロンカーなにわを目の当たりすることが出来た興奮で、眠気はすっかり吹っ飛んでいたのであった。

    その後、豊岡市内のホテルへ向かいチェックインを済ませ、荷物を一度整理してから再び出陣。城崎温泉にて客扱いを行った後の回送列車を狙いに、国道178号を鳥取方面へ進む。何とか途中で回送列車を追い越すことのできた我々は、佐津駅周辺にて迎え撃つことになった。

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DD51 1192+14系欧風客車「サロンカーなにわ」
    車から降りると既に踏切は鳴っていて、DD51の前照灯の光が段々こちらへ近付いて来るのが見えた。佐津駅付近の橋で、取り敢えず側面を捉えてみることにした。ちょうど真横から連結面を写したカットのみバッシリ止まっていたので、それを掲載させて頂く。

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    ひとまずノルマを達成した我々は、親切にも地元の同業者に教えてもらった撮影地の場所取りを行った後、浜坂まで西進して、山陰名物のカニを頂くことに。山陰の海の幸に舌鼓を打ちつつ、明日の予定を一行で吟味する。ある程度纏まったところで、その後は来た道を東へ戻り、城崎温泉にて一日の疲れを癒したのであった。城崎温泉は、いくつかの外湯を巡る「湯めぐり」が有名であるそうだが、我々はその中で「良縁成就の湯」である「御所の湯」をチョイス。一体何の皮肉……?

②につづく……

撮影地:JR山陰本線 下夜久野~上夜久野 / 竹野~佐津