シリーズでお伝えしている「紅葉の木曽路をゆく」。
前回は、浦島太郎ゆかりの地である『寝覚の床』について触れさせていただきました。
最終回の今回は、『赤沢森林鉄道』に乗車したときの記録です。
赤沢森林鉄道
赤沢森林鉄道とは?
木曽森林鉄道の歴史は古く、江戸時代から続く「河川を用いた木材運搬」の近代化を進めるため、アメリカ製蒸気機関車(ボールドウィン)を利用して1916年にスタート。
1960年代の高度経済成長期に最盛期を迎え、森林鉄道の総延長は約500km(東京〜大阪間に匹敵)に上るが、トラック輸送の普及によって1975年に全線廃止。
その後1985年に伊勢神宮の御神木伐採によって総延長1.7kmの区間が使用された事を機に、1987年に総延長1.1kmを観光路線として復活させた区間が『赤沢森林鉄道』で、現在に至っています。
この森林鉄道は『赤沢自然休養林』の一角にあります。
車でアクセスする場合は駐車場利用料¥600が必要。
料金支払いの時に次の列車の発車時刻を係の人が教えてくれます。
ここは森林鉄道の他、森林浴、森林レクリエーションを通じた健康回復・維持・増進活動に効果的な森林セラピー基地でもあり、年間10万人が訪れます。
中にはお土産屋さんやレストランなどの施設もあり、子供からお年寄りまでそれぞれの楽しみ方で1日中過ごすことができそうです。
森林鉄道の入り口は・・・
こ こ だ!
こういう案内板を見ると、なぜかワクワクするのは私だけでしょうか?(笑)
ここから少し先に進むと発券所があります。
つまり森林鉄道の『みどりの窓口』となります。
往復切符のみの発券で運賃は
大人(中学生以上) ¥900
子供(4歳以上) ¥600
となっています。
実はここで発券されるきっぷはもの凄く手が込んでいて鉄道ファン感涙の記念品となる事で有名です。
こ れ だ!
このきっぷは、なんと木曽檜を削り出して作った『木のきっぷ』です!
私は鉄道を利用する時にSuicaなどの交通系ICカードは絶対に使わず、『きっぷ』を使う事にこだわりがあり、「諏訪しなの号」等の臨時列車に乗った時はもちろん、ほとんどの場合必ずきっぷを持ち帰っています。
なので今回のきっぷは今後、「我が家の家宝」として奉られる事になります(笑)
改札を抜けると旅情あふれる待合室があり、森林鉄道が現役だった頃の写真が多く飾られています。
未来にぜひ残したい貴重な鉄道資料。
待合室の向かい側には、森林鉄道が現役だった当時活躍していたボールドウィン号が留置されています。
当時は3両が活躍していて1960年に引退。
2両は故郷のアメリカに戻り、残った最後の1両がこの車両だそうです。
待合室で待つ事約10分。
列車がホームに入線です。
本当はもう少し近くで撮影したかったのですが、他にも乗客がいて迷惑になるのでこの位置で撮影する事にしました。
列車は機関車部を含め6両編成での運転。
特急しなの号の基本編成と同じです。
前から『ひのき』、『さわら』、『ねずこ』、『こうやまき』、『あすなろ』の順で、1番後ろの『あすなろ』号車は身体障がい者用スペースがあります。
当たり前ですが全車両自由席。
今回は平日ということもあって乗車率は30%ほどだった為、先頭車両の最前列がゲットできました。
これは完全素通しの全面展望が楽しめそうです!
特急しなの号の前面展望も凄いですが、この列車はその上をいきます。
しかしながら、列車が発車するまでの待ち時間にいつもワクワクしてしまうのは私だけでしょうか(笑)
特急しなの号など、始発から乗車する際は発車までの待ち時間がこの上なく楽しい。
待つこと5分。
遂に発車!
この列車は、美しい紅葉の中を時速7km/h程の速度でゆったりと進みます。
動画には写っていないですが、河川沿いの走行では川のせせらぎとディーゼル機関車のサウンドが重なって、普通の列車では決して味わえない世界が堪能できます。
ここで先頭の機関車を切り離し、スイッチバックを経由してこれまで最後尾だった車両に機関車を接続します。
今度は『あすなろ』号車が先頭車両。
ちなみにここで下車して、徒歩で発車場まで森林浴を楽しみながら戻ってもOK。
しかし今回は折角なので帰りも乗車します。
『丸山渡停車場』の反対側にはもう一本線路が延びていますが、こちらは使用されておらず30mほどで行き止まりになっていて保線用(?)の車両が留置されています。
折り返しは先頭車両の後列席に乗車。
先程の『丸山渡停車場』で半分くらいの人が降りてしまい車内はガラガラになったので、これなら「3密」回避です。
しかし、そもそも元々素通しの車両なので「換気」は万全ですから要らぬ心配ですね。
行きでは気づきませんでしたが、きちんと『警笛鳴らせ』や『勾配』の標識などが適所に設置されています。
鉄道ファンの心をくすぐる設備。
『丸山渡停車場』から約10分、最初の発車場に到着。
乗車時間は約25分間でしたが、もう3往復くらいしたいのが正直な気持ちでした(笑)
まとめ
今回乗車したこの赤沢森林鉄道ですが、正直な感想として「いつも乗車しているJR等の旅客列車には無い独特の世界観が素晴らしい」の一言に尽きると言えます。
森林鉄道ゆえ、特急列車や新幹線の様な派手さは全くありませんが、アニメや映画の中でしか見たことのないトロッコ列車に乗る経験は、鉄道ファンだけでなく子供達や鉄道ファン以外の方にも、良い思い出になると感じます。
また冬季は運転を行わず、概ね4月下旬〜11月上旬までの約6ヶ月間の行楽シーズンの特定日しか運転されないため乗車難易度はそこそこ高めな点が隠れた特徴。
そして何より、『木曽檜を使った乗車券』を貰えたり、解結作業を見学できるなど、鉄道ファンなら見逃せないポイントとなる所が数多くあります。
この列車。
1度乗ってみる価値はあります。
こちらの走行動画もどうぞ
以上3回に渡ってお伝えした「紅葉の木曽路をゆく」。
この他にも、木曽には数多くの観光スポットや絶景スポットがあり、訪れる人々の心を豊かにしてくれます。
信州屈指の観光地をみなさんも是非訪れてみてはいかがでしょう?
次回予告
今回取り上げたシリーズの番外編として、本編では扱いきれなかった『寝覚の床の人面岩』や赤沢森林鉄道の『鉄道資料館』を見学したときの記録を取り上げていきたいと思います!