奥出雲おろち」号の乗車記を全3回でお伝えしています。

前回までの記事はこちら。

■3段式スイッチバック
そもそも、スイッチバックとは山岳路線などで、高度を稼ぎながら、Z字形に山を上り下りする線路。
全国でも、箱根登山鉄道大平台駅、JR九州の立野駅、大畑駅、真幸駅などでしか見られない珍しい光景です。
 
出雲坂根駅で進行方向を変え(=1度目のスイッチバック)、2段目の坂を上り切ってきた場所です。
冬場には雪が多いからでしょう、この場所はスノーシェッドで覆われています。
 
ここでもう一度、進行方向を変えて、3段目の坂(下の写真で左側の線路)に進んでいきます。
 
 
スイッチバック方式での高度の稼ぎ方がわかるのは、3段目のスイッチバックで、先程出発してきた出雲坂根駅がはるか眼下に見えたとき。
 
 
列車はさらに上っていきます。
 
こんな森の中に線路があることすら、もはや信じられなくなってきます👏
 
 
奥出雲おろち」号を除くと、普通列車は1日3往復のみの秘境区間なので、当然と言えば当然です。
 
 
■おろちループ
程なくしてもうひとつの見どころの「おろちループ」へ。
この区間では、列車は今にも停まりそうなスピードまで減速してくれます。
 
ループと言ってもループしているのは線路ではなく、遠くにみえる国道のこと。
列車はスイッチバックで高度を稼ぎましたが、国道はループ橋で高度を稼いでいるのです。
 
 
ヤマタノオロチがとぐろを巻くような姿から「おろちループ」と名付けられ、高低差105mを上っていくのです。
 
 
 
そして、とぐろを巻いたヤマタノオロチの先にあるのは、真っ赤な橋脚が鮮やかな三井野大橋
ヤマタノオロチが火を吹いているように見えるのです🔥
 
 
「奥出雲おろち」号の車窓のクライマックスともいえる、雄大な景色に感動してうちに、三井野原(みいのはら)に到着。
 
 
■三井野原~油木
三井野原駅は、標高727mとJR西日本で最も標高が高い駅です。
名前は聞いたことがありますが、冬場には周辺にははスキー場が開設されます。
 
 
この先で、列車は県境を越えて、島根県から広島県に入ります。
 
三井野原~油木間にはカラマツ林があったりして、「奥出雲おろち」号の撮影スポットとしても知られる場所です。
ベストシーズンには少し早かったかもしれませんが、最前部で前面展望を満喫します。
 
 
持って帰りたいくらい(←犯罪です)の駅名標。
 
 
もはや芸術品です🎨
 

■備後落合駅
奥出雲おろち」号は2時間半の旅を終えて、終点備後落合(びんごおちあい)駅へ滑り込みます。
到着前に右手には使い古された転車台も見ることができます。
 
 
備後落合は芸備線との接続駅なので、それなりに大きな駅だと思ったら大間違い。
駅前には何もなく、きっぷの自動販売機はもとより、飲料の自動販売機さえ見当たらない秘境駅😁
 
 
この駅を発着する列車は、木次線(木次方面)へ3本、芸備線(三次方面)へ5本、(新見方面)へ3本しかありません。
接続も悪いので、「奥出雲おろち」号の乗客は、ほとんどが折り返していくしかない感じです。
 
 
なお復路は、ディーゼル機関車が先頭になるので、トロッコ車両に乗っていると、トンネル内では機関車の排煙が煙たいです。
往路で目いっぱいトロッコ車両を楽しみ、復路は控車でのんびり過ごすのが、楽しみ方としてはよいかもしれません。
 
「奥出雲おろち」号、場所的にも時間的にもなかなか乗りにくいです。
しかし、たっぷり1日かけて乗る、ある意味、贅沢な列車です。
時間を忘れてみたいときに、ゆったりとお楽しみくださいね😉