東武鉄道がシカに「超音波」で警告 日光・佐野・東上各線の車両で試験



東武鉄道は11月12日、一部の車両に「鹿笛」を試験的に設置すると発表した。シカとの接触事故の防止を図る。

鹿笛が設置される100系電車「スペーシア」。【撮影:草町義和】

鹿笛が設置されるのは、東武鉄道の日光線・佐野線・東上線で運用されている車両の一部。先頭車両の前面下部に、2種類の異なる音量・周波数の超音波を発生させる笛を2個設置する。列車が48km/h以上の速度になると、人には聞こえない超音波を約400m先まで発し、シカに列車の接近を警告する。

鹿笛の導入イメージ。【画像:東武鉄道】
車両に設置される鹿笛。【画像:東武鉄道】

設置車両は次の通り。11月13日から順次設置する。

日光線(20編成):100系・500系・6050形・20400形の一部
佐野線・東上線北部(3編成):8000形の一部

東武鉄道によると、シカとの接触事故は2017年4月~2020年3月の3年間で85件(東武鉄道との相互直通運転を行っている野岩鉄道・会津鉄道を含む)発生している。このうち約8割の67件が東武日光線の新栃木以北で発生。佐野線や東上線の小川町駅以北でも接触事故が起きている。

シカとの接触事故が発生すると、安全確認による運転の一時見合わせが発生するほか、車両の床下設備が破損する恐れもある。東武鉄道は超音波でシカに警告することで線路外への逃走を促し、シカとの接触事故を減らすことができると想定しているという。