すでに何度か述べた通り、令和2年7月豪雨で肥薩線は広範囲に渡り被災し、2020年11月1日現在も八代~吉松間で運転を見合わせております。
肥薩線で運転を行っていた観光列車(D&S列車)のうち、「かわせみ やませみ」「いさぶろう・しんぺい」については2020年8月より鹿児島本線博多~門司港間で運転を行っていますが、「SL人吉」は他線区での運行は行なわれないまま熊本車両センターで待機の日々が続いていました。
ちょうどそのころ、世間ではアニメ「鬼滅の刃」が大ヒットを記録し、その劇場版となる「無限列車編」が公開されることとなりました。
無限列車編に登場する「無限列車」はSL牽引の列車。そのモデルは大正時代製造の8620形蒸気機関車です。
8620形といえば運休中のSL人吉の機関車、58654と同じ形式。
ということで、運休中のSL人吉の車両を用いて無限列車を再現しようという試みが行なわれることとなりました。
そうして2020年9月24日、突如としてJR九州による「SL鬼滅の刃」が運行されることが発表されました。
注目すべきはその運転区間。
なんと熊本→博多(鹿児島本線経由)。
この区間を以前運行したのは1997年運行の「SL雄大自然くまもと号」。実に23年ぶりのSL運行となります。また、福岡都市圏にSLが乗り入れるのも珍しく、こちらは19年ぶり。
こうなってしまうと鬼滅の刃ファンだけでなく乗り鉄にとっても最優先で乗るべき列車となってしまい…
各運転日の1か月前10時の発売では1秒未満で指定券が売り切れてしまうという近年まれに見る争奪戦が繰り広げられました。
もちろん私も参加したのですが…あえなく撃沈。
ということでせめて外から記録すべく、運行初日の久留米駅を訪れました。
ホーム先端で817系やらキハ185系「ゆふ」やらを撮りながら気長に待ちます。
見物の人がだんだん多くなってきました。
やがて…遠くから特徴的な汽笛が聞こえてきました。
SL鬼滅の刃、入線です!
停車した列車に見物の方がどっと群がっていきます。
35分停車するので、あせらず私も後からついていきました。
電光掲示板にはしっかり「SL鬼滅の刃」の文字。
最後尾にはDE10 1756号機が連結されています。
このDE10が後ろから列車を押していきます。そのおかげで試運転を行なわずにこの運転が実現できました。
2019年に久大本線で運行された団臨「SL湯けむり号」も同じ方式でしたね。
車両はSL人吉のもの。特に内外装に手は加えられていません。
ただ、サボ類は特製のものが差し込んでありました。
車内に指定券を持たない人が入り込まないよう、各ドアでは乗務員が指定券の確認を行っていました。
まるでスーパービュー踊り子のような感じですね(笑)
乗車している方がご厚意で窓に記念乗車証を展示してくださっていました。
竈門炭治郎のデザインが入ったスタンプが押されています。
久留米駅の駅名標と一緒に。
そして…あんまり行きたくはないのですが先頭へ。
まるで何かのラストランかと思うほどの人混み。
ただ、殺伐とした印象は感じられず、皆さん譲り合って写真を撮影していました。
こちらが今回の主役・58654。
SL鬼滅の刃運転に合わせてナンバープレートが「無限」のものに差し替えられています。
撮影の2日前に劇場版を観る機会がありましたが、まさにそれと同じ感じで…雰囲気がよく再現されています。
SLの吐く煙で辺りの風景が一変。
久留米駅では普段見ることができない光景ですね。
マスクしてないと近づくことがままなりません…(笑)
駅の自動放送を聞いてみましたが、やはり「SL鬼滅の刃」のパーツはなく「快速博多行き」と放送されていました。
聞いていると813系でも使われてそうな感じですが、停車駅が少ないのが特徴です。
35分の停車時間はあっという間。
発車時刻がやってきました。
11:58、列車は汽笛を高らかに響かせ、博多へ向け走り出していきました。
今回、約20年ぶりに熊本→博多間を走ったSL58654。
あっさりとこの長大区間を運行することが決まったことに鬼滅の刃の影響の凄まじさを感じますね…
肥薩線の復旧はまだ見通しが立っていません。
来年も別線区での運行が行なわれることを期待したいですね。
(そしてそのときはぜひ乗りたい…)
それでは。
★列車データ
9310レ~9312レ 快速 SL鬼滅の刃 博多行き 熊本(8:35)⑥→久留米(11:23/11:58)⑤→鳥栖(12:09/12:14)①→博多(13:04)③
58654+オハフ50-702+オハ50-701+オハフ50-701+DE10-1756
※11月1日運転
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