<ж 44 ж 猫がおもちゃ ж41ж 奥さんには内緒で>
ж 41 ж 交わりがない?
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「おめーよ、栃木と茨城はどっちが都会か知ってっけぇ?」
「そりゃー、栃木に決まってっぺよ」
「ナンデだぁ?」
「そりゃ昔からそうなんだからナンデもなにもねーぺよ」
「おめーな、そんな昔からなんて言ってっから、茨城がつけあがるんだべよ。」
「じゃー、おめーは知ってんけぇ?」
「あたりめーだよ。茨城が東北だという決定的な証拠があんだよ。」
「なんだよ、それ、教えてくれよ。」
「じゃぁ、聞くがよ。宇都宮線の電車は何色だぁ?」
「おぅ、最近は綺麗な電車になったけんど、やっぱ宇都宮線の電車と言えばオレンジと緑だっぺなぁ。」
「じゃ、都会の中の都会、東海道線の電車は何色だぁ?」
「あれもオレンジと緑だったべ。」
「なら、常磐線はどおぅだぃ?」
「あー、しばらく乗ってねからはっきりしねぇが、白と青でなかったかぃ?」
「な、栃木県の電車は東京と同じだけんど、茨城の電車は違うべ。」
「なぁんじゃい、そりゃ。そんなんが証拠かい。」
「いや、まだ続きがあんだよ。まぁ聞けや。」
「おぅ、聞いてやんぺ。」
「おめーはよ、ちょっと昔、宇都宮線がまだ東北本線と呼ばれていた頃の事を覚えてっけ?」
「いや、ずいぶん昔だべ。まだ新幹線が無くて、東京へ行く時は急行や特急をよく使ったっけなや。」
「おめーは特急使ったんけ。なんだって金持ちだなや。」
「いや、そーでもねーんだよ。たいていは急行を使ってたんだけんど、時々なんかくすんだ色の急行が走ってたべ?あれは結構混んでたんでぇ、ならばと特急を使うわけよ。」
「それよ。」
「どれよ。」
「あのくすんだ色の急行はなんだか知ってっけ?」
「なんだって急行だぺよ。」
「いや、ちげーよ。どっから来たかだよ。」
「黒磯の方だぺ?」
「いや確かにそうなんだけんど、あれは仙台とか山形とか盛岡とかの東北から来てんだよ。」
「へぇー、そうなんけ。」
「それとは別にオレンジと緑の急行も走ってたのは覚えてっけ?」
「あー、それはよーぐ知ってる。なすの、とか、日光、とかだべ。一度、なすの、のつもりで乗ったら、わたらせ、で足利の方へ行っちまってよぐよぐの思いをしたことがあるべ。」
「あれは、そんなに混んでなかったぺ。名前の通り、せいぜいが黒磯まで、栃木県止まりの急行よ。じゃ、常磐線の急行は知ってっけ?」
「そんなん知ってるわけねーぺよ。」
「なら教えてやっぺ。常磐線の急行はよ、たいていがそのくすんだ色の電車だったんだべ。」
「じゃ、なにかい。常磐線の急行はみんな東北から来てたんかい?」
「いや、そうでもねぇ。水戸行きもあったべ。
「なら、その水戸行きはオレンジと緑だったんけ?」
「いんや、違う。それもくすんでたべ。」
「でも、たいていって言ったぺ。ならその他は何が走ってたんだぃ?」
「ディーゼルよ。」
「ディーゼルって……。烏山線かい!!」
「まぁ、それはそれで、証拠にはなるんだけんどが、やっぱ問題は水戸行きの急行もくすんだやつだったって事よ。」
「なぁるほど。茨城県内止まりでも東北へ行く電車だったって事が証拠っつー訳け。」
「まぁ、そういう事になるわな。」
「でも、なんだって東北へ行く電車は色が違ってんだぃ?東北は関東とは違うと言いたかったんだぺか?」
「いや、そうじゃね。」
「じゃ、なによ?」
「線路の上に電線があるのは知ってんべ?あれは架線て言うだけんどが、関東と東北ではそこに流れている電気がちげーのよ。」
「東京電力と東北電力だべ。」
「ごじゃっぺ言ってんじゃねーよ。違うっつーのは、関東は直流電気が流れていて、東北は交流電気が流れているっつー事だべ。」
「なーに、同じ電車動かすにも違う電気があるんけ。」
「そーだよ。」
「でもなんで違う電気が流れてるんだぃ?」
「おれもその辺はよく解んねんだけんどが、なんでも交流の方があまり電車が走ってないところに向いてんだと。だから東北へ行く電車は関東地方の直流だけ走ってる電車とは色も違ってるんだべ。」
「でもおれが乗った時はオレンジと緑と違いは解んなかったけんども。」
「おめーは東北へ行った事あっけ?」
「おぅ、農観ツアーで飯坂とか行ったぺ。」
「いやバスじゃなくで電車でよ。」
「電車は東京行く時しか乗んねーかんなー。」
「じゃわかんねーべなー。おれはよく電車で仙台とか行ったから知ってんだけんど、あの電車はなー、黒磯過ぎると変わるのよ。」
「なに?、色?」
「色が変わるわけねーぺよ。音だよ音。黒磯過ぎるとなー、走る時ブゥーンて重低音が加わるのよ。でな、あの音聞くと東北へ来たなーって思う訳よ。」
「じゃなにかい。黒田原も東北かい?あそこらも立派な栃木県だべよ。」
「細けーことは気にすんなって。とにかく音が変んだ。」
「したっけれ、常磐線も音が違うんけ?」
「おぅ、常磐線や水戸線はもっとすげー音がすんだから。」
「どんなよ。」
「ドゴン! 」
「ドゴン? 」
「常磐線なら取手の先、水戸線なら小山を出てすぐな。」
「なんか爆発すんけ?」
「いゃ、そうじゃなくてよ、電気の変わり目、東京と茨城の境、栃木と茨城の境に見えない壁があってよ、そこを突破する時に音がすんのよ。」
「それがドゴン!」
「そうよ、おれはそれを『田舎への突入音』って呼んでんのよ。」
「言いえて妙だなや。こんどおれも聞きにいってみべ。」
「おう、行って来い行って来い。」
「ついでにつくばえくすぷれすつーのも乗ってみんべと思ってんだけんどが。」
「おう。秋葉原と筑波学園都市を結んでるやつな。」
「あの電車も交流け?」
「そぅだよ。あの電車も東京は直流だけんどが、茨城に入った途端田舎の交流だぺ。」
「したら、田舎への突入音聞いて学園都市で遊んでくっぺ」
「あそこは国の研究機関とかあって楽しいぺ。あーっ、柿岡地磁気観測所の公開は4月に終わっちまったっけ。」
「そりゃなんだい?」
「地球の磁気を調べているんだと。だから近くには磁気を乱す直流電車を走らしちゃなんねぇんだと。」
「なんだい、そりゃ。したっけれ茨城の交流と東北はカンケーねーべよ。」
「う~ん、そうかもしんねーなー。」
「筑波学園都市と言い、もしかして茨城の方が進んでんじゃねっけ?」
「だ~から、細けーことは気にすんなって。」
「……」
--第41号(平成21年8月30日)--
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