京津線を走る電車はピストン運用で、びわ湖浜大津に到着した列車は一旦引上げ線に移動した後、ものの数分で折り返し京都方面行きの列車となってホームに据え付けられる。併用軌道・山岳路線・地下鉄線を日に幾度となく往復することになるが、そんな厳しい環境も持ち前の高性能で乗り切ってしまう。一見すると小さくまとまった感じに見える京阪800系だが、技術の粋を集めた傑作車両である。VVVFインバータの甲高い変調音とコンプレッサー音を響かせながら、あたたかい朝日が射し込む大津の坂を、力強く軽快に駆け上っていく。
びわ湖浜大津を出発し、最初の停車駅がここ上栄町。自動車道との併用軌道区間はこのすぐ手前で終わる。ここから京阪山科までが、アップダウンとカーブの険しい山岳路線になる。それにしても、こんな高コストで不思議な路線が今日に至るまで存在し続けていることが不思議でならない。
撮っても乗っても面白いのが京津線の電車である。
―おわり
<参考過去記事>