昭和20年3月10日の東京大空襲を経て終戦まであと一月半、なんと紙一枚に両面印刷されただけのものです。縦546mm、横383mmなのでほぼ新聞紙片面です。
第二十一巻第二號(通算236号)と番号が振られています。前の記事の昭和19年12月号が通算235号なので、第二十一巻第一號が無かったことになっているのでは。
昭和19年11月24日以降は東京も空襲を受けてるので、そもそも時刻表発行どころではなかったでしょう。
索引地図は有りません、前の号が外地の路線図が載っていた最後の時刻表だったのです。
見る影もないほど粗末ですが価格は30銭で、広告が無いとはいえ高いですね。そもそもこの時期に時刻表が必要なのは民間人ではない気もします。
とはいえ多くの鉄道路線・航路・バスが運行しているはずですが、掲載されているのは東京付近着発のごくごく一部の省線のみです。なお、~本線の「本」について記載に省略があります。
殆どが主要駅・主要列車のみ掲載です。キロ程ではなく起点駅からの三等運賃が載っています。路線名に続いて、ごく一部気が付いたことを記します。列車はこれ以外にも多くあります。
東海道線(沼津-門司は主要駅のみ)
東京-下関の急行が一往復:所要は24時間超
関門トンネルを通る東京-博多が一往復:所要は33時間超
東北本線(白河-青森は主要駅のみ)
上野-青森が三往復ある、うち一往復は奥羽線経由)
常磐線(水戸-仙台は主要駅のみ)
上野-青森が一往復ある
信越線・上越線(高崎-新潟は主要駅のみ)
上野-信越線-金沢が一往復ある
上野-上越線-新潟が三往復あり、下り一本は秋田行き
総武線
両国発着は三往復ある
房総線(内房を外回り・外房を外回りと表示)
両国発着あり(内外あわせて六往復)
久留里発千葉行きがあるので久留里線も動いている
成田線
佐倉-松岸間は総武線の表に入っている
我孫子-成田は上野直通がメイン
鹿児島線(主要駅・列車のみ)
門司港-鹿児島は三往復ある
長崎線(主要駅・列車のみ)
佐世保行きも掲載
門司港-早岐-長崎が一往復ある
日豊線(主要駅・列車のみ)
門司港-鹿児島が一往復ある
中央線(新宿-塩尻および名古屋・長野連絡)
新宿-長野直通夜行が一往復ある
御殿場線
東京-沼津:直通が一往復ある
伊東線
東京直通は上り一本のみ
載っているのがこれだけですが、長距離列車が走っているということは途中で戦災等で寸断されていないということでしょう。
宮脇俊三氏によれば、米坂線の今泉駅前で玉音放送を聞いた後、列車は何事もなかったかのようにすぐにやってきたそうです。
これにて復刻版[戦前・戦中編]全七号のレビューは終わりです。これまでの六冊の表紙をまとめて画像に撮りました。最初の三冊が異形なのがよく分かります。
ぼかしは図書館のバーコードですが、なんとなく処理したものの必要なかったなと。
本稿のものは紙一枚で(図書館はバインダー的なものに挟んで貸し出してますが)表紙すらないので、さすがに著作権的にまずいため画像は載せません。
引き続き戦後編へ。