時刻表復刻版-戦前・戦中編5レビュー-昭和17年11月号 | 停車場遍路の鉄道雑記帳(副)

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画像・動画を含む鉄道趣味のブログです。ときどき戯言を書いてます。ー[2013年2月9日以前の記事はほとんどの画像が表示されません]ー

第十八巻第十一號(通巻212号)で、サイズは縦208mm、横148mmなのでA5版です。

定価30銭は変わりません。発行元の名称が東亜旅行社になりました。

表紙に「24時制」とあり、時刻が24時間表示になりました。そして単線ですが既に7月に関門トンネルが開通してます。

索引図の次の頁に「鉄道70年の歌」が載ってて(メロディーは知らんけど)詩が戦時特有である。広告のキャッチコピーも然り。

既にミッドウェイ海戦(昭和17年6月)で空母を四隻も沈められてるわけで、以後戦局は悪化するから外地の路線網はピークを過ぎたかも。

戦時のため青函・関釜・稚泊連絡船の時刻は掲載なし。宇高・宮島航路は掲載あり、関門航路はまだ残ってて掲載あり。

付随して大陸への連絡時刻表が無くなった。その他内国航路は掲載が減り、国際航路は掲載が無くなった。航空便も掲載無し。

樺太:民鉄路線だった落合-敷香が樺太庁鉄道に編入された

朝鮮:これまで半島を左右に横断する路線は現韓国側にしか無かったが、現北朝鮮側に一路線(平元線)が開通済み。

本土は以下

本州-九州急行列車連絡時刻表
関門トンネル開通により直通列車運転
特急「ふじ」が東京-長崎で運転:所要23時間半
東京-鹿児島直通急行が二往復(うち一往復は呉線経由)運転、博多行き急行も一往復運転

胆振線:胆振鉄道が喜茂別-伊達紋別を開業したので省線と併せて倶知安-伊達紋別全通済み
羽幌線:南側が築別まで延伸済み
深名線:全通済み
松前線:渡島吉岡まで開通済み
只見線:小出-大白川が開通するも、その先は会津宮下まで未開通
倉吉線:関金まで開通済み
牟岐線:牟岐まで開通済み
日南線:志布志線の延伸区間として志布志-北郷が開業済み、また南宮崎-内海は宮崎鉄道として開通済み

山陽本線の岩国-櫛ケ浜は速達列車が全て現在の岩徳線ルートを通るが普通列車はこの区間のみの運行が多い。海回りは柳井線と呼ばれているが長距・中距離の普通列車でもそちらを経由するものが多い。

関門トンネルを通過する長距離普通列車
東京-八代・長崎一往復、東京→久留米・鹿児島→東京が各一本あり
京都-鹿児島二往復、都城-大阪一往復、京都→長崎・佐世保・出水が各一本、長崎・佐世保→大阪が各一本あり
その他山陽区間-九州の直通も数本あり

関門トンネルを通過する旅客列車が連絡時刻表で示した急行を足しても大した量では無いが、貨物を優先して関門航路を残しているのだろう、門司港-門司の区間列車もあるし。

近鉄の前身の会社名が変わって関西急行鉄道の広告あり、簡略図で大阪・京都・吉野・奈良・宇治山田・名古屋のネットワークが出来上がっている、あと廃止された法隆寺線も描かれている。

営業案内は二頁しかなく、省線の普通運賃は対キロ表の代わりに計算式が載っている。

樺太を除く外地路線(満鉄・朝鮮鉄道局・華北交通・華中鉄道・台湾鉄道部)の営業案内がまとめられて普通運賃は1kmあたりの料金だけが表記されている。

「貯蓄報国」と銘打って、六つの銀行の広告が出ている。また、「銃後の護り、先づ健康」の病院の広告は一頁に減った。

遊山は駄目だが戦勝祈願の寺社参拝や保健療養の温泉行なら広告が出せるようで、絵入の広告が目立つ。