大井川鉄道のSL専務車掌に初の「おにいさん」「おねえさん」 高齢化で若手配属



大井川鉄道は10月22日、20代男性と30代女性の社員をSL列車の乗務員「SL専務車掌」として配属したと発表した。それぞれ「SLおにいさん」「SLおねえさん」を名乗る。

大井川鉄道のSL列車「かわね路」。【撮影:草町義和】

二人とも大井川鉄道のSL列車が走る静岡県島田市出身。「SLおにいさん」の久保川真守さん(24歳)は2019年に入社し、新金谷駅の駅員になった。「SLおねえさん」の上村詩恵さん(34歳)は2016年、井川線の車掌として入社。2018年に大井川本線の車掌に転じ、SL列車に乗務している。二人とも今年2020年9月16日より新金谷駅の駅員を兼任しながら、SL専務車掌の道を歩み出した。

SL専務車掌はドアの開閉や検札などを行う車掌とは異なり、車内で客のもてなしにあたる乗務員。1976年のSL列車の運転開始以来、これまでに10人のSL専務車掌が配属されている。

大井川鉄道によると、SL専務車掌は従来、定年後の再就職者を雇用するケースがほとんどだった。「SLおじさん」「SLおばさん」と呼ばれ、軽妙なトークや手品、ハーモニカ演奏など、一人ひとりが個性や特技を活かした接客を行ってきた。

近年はSL専務車掌の高齢化が進み、今年2020年7月時点の平均年齢は72歳に達していた。今年は二人の「SLおじさん」「SLおばさん」が引退したことから、二人の若手社員をSL専務車掌として配属した。

SL専務車掌として配属された「SLおにいさん」(左)と「SLおねえさん」(右)。【画像:大井川鉄道】

若手人材をSL専務車掌として起用するのは、これが初めて。二人は現在、「トーク術を磨いたりハーモニカ練習をしたりと、自分なりのおもてなしのスタイルを探して奮闘中」という。