出来立てホヤホヤの東武鉄道8000系。撮影地は尼崎駅だそうなので、アルナ工機で製造されたものであるのは想像に難しくないのですが、国鉄の車掌車 (有蓋緩急車?) が繋がっていますので、これから甲種輸送されて東京へ向かうのでしょう。

私鉄最多の712両が製造され、2、4、6、8両固定が存在し、伊勢崎線と東上線をメインに、日光線、亀戸線、大師線、野田線、越生線・・と本線の末端区間と一部の支線を除く、東武の殆どの線区で見られた車両です。さらに現在ではその当時は8000系が入線しなかった佐野線、小泉線、桐生線,、宇都宮線・・と運用範囲が拡がりましたが、宇都宮線では昨年、運用が無くなり、小泉線や佐野線、桐生線は8000系から改造された800系と850系が主力になっています。

営業用車両は全て車両更新が行われており、その際に快速用6050系によく似た顔面に整形されまして、小学生当時に “マヌケ” と評していたオリジナル顔は動態保存車の2両のみになっています。

近年、新型車両の導入によって彼方此方で運用離脱が見受けられ、さすがに 「東武と言えば8000系」 の立ち位置が揺らいでいるようです。

 

ところでこの8000系、撮影日が1978年9月9日だそうなんですが、9月9日にロールアウトした8000系が無いんですね。近似値で9月26日に竣工した編成があるんですが、その中でアルナ製は1編成のみ。

 

←池袋                                    寄居→ 

クハ8183-モハ8283-モハ8383-サハ8983-サハ8984-モハ8284-モハ8384-クハ8484

 

この編成が該当するのみです。

どの文献を紐解いても、9月9日竣工の車両が無く、仮に 「撮影日:9月9日説」 が正しいとしたら、実際の竣工日である9月26日までの間、何処で何やってたんだろう? って疑問が生じます。甲種輸送だって、尼崎から森林公園まで1ヶ月近くもかかるとは思わないし、国鉄の線路上に姿を現しているということは、全ての車両が完成したと判断すべきだと思いますので、1両目が9月9日で、2両目が9月十何日で、1両1両その都度完成したら、国鉄線内で全ての車両が完成するまで待機・・というのも現実味が無いし、というか、有り得ないし、何を以て 「竣工日」 とするのでしょうか?

 

もしかすると、そもそも撮影日が間違っているのではないか? というのも十二分に考えられると思います。

「9月9日」 とは言っているけど、本当は9月29日とかで、そうしたら工場からロールアウトしても3日くらいだったら、甲種輸送の準備で3日費やすというのも可能性としてゼロではないし、あとは、東武に到着した日が9月26日という説もありますよね。この日は他に8185F、8187F (以上、富士重工製) 、8189F (東急製) が同時に竣工日として登録されているようなので、そうなると、工場からロールアウトした日が9月26日とするのが正解なのかもしれませんね。でも、ここでは一応、8183Fとして扱いたいと思います。

 

8183Fは森林公園検修区に新製配置され、当初から8両固定として落成しています。8両固定は前年度製造分から登場しており、新たにサハ8900形が興されています。1978年度製造分は、SR無線アンテナを設置するための台座が準備工事として設置されています。

また、ラッシュ時対策で網棚の下に摑み棒をレール方向に取り付けられました。

圧縮空気のドレン湿気を除去するため、CPに除湿装置が追加設置されました。

従来車に設置されていた先頭車のサボ受けが省略されています。

それまでは白地に黒字だった行く先幕が、このグループから行く先は青地に白字、種別は赤地に白字の幕に変更されています。

ATS装置をアナログ式からデジタル式に変更しました。

 

新製配置以来、東上線を離れることはなかったのですが、ワンマン仕様の4両固定を増やす意味合いから、2008年に8両固定を4両固定に分割することになり、中間の付随車が先頭車化改造されて、サハ8983がクハ8483に、サハ8984がクハ8184になりました。重複するんじゃない? と心配したんですが、8両固定に限ってクハ8100形には偶数番号が、クハ8400形に奇数番号がそれぞれ欠番になっていることから重複は避けられました。顔面整形を含む後進工事は2002年に実施された模様です。

現在は、東上線池袋口には姿を見せませんが、小川町以北と越生線を中心に元気な姿を見せています。

 

クリーム1色時代の8000系が懐かしいですね。

 

【画像提供】

い様

【参考文献・引用】

鉄道ピクトリアル No.915 (電気車研究会社 刊)