中国のフリーゲージトレインが完成 軌間異なる隣接国に直通、台車交換不要で時間短縮



中国の鉄道車両メーカー・中国中車グループの長春工場と唐山工場で国際列車用・高速列車タイプの軌間可変電車(フリーゲージトレイン)が完成し、10月21日に公開された。

中国中車グループが製造したフリーゲージトレイン。【動画:中国新聞社】

新華社通信や中国新聞社などが伝えたところによると、完成したフリーゲージトレインは8両編成の4M4T(モーター付き4両、モーターなし4両)。最高速度は営業運転で400km/h、試験速度では440km/hになる。

2本のレール幅(軌間)は、600mmから1886mmに対応。線路に設置された軌間変換装置を通過することで二つの車輪の間隔が自動的に変化し、異なる軌間を直通できる。軌間変換装置の通過速度は15km/h。1列車につき3分以内で軌間変更を完了する。また、マイナス50度の低温地域から50度の高温地域まで走行でき、世界中の鉄道ネットワークの9割以上に対応するという。

中国の鉄道は、高速鉄道(日本の新幹線に相当)・在来線ともに軌間が1435mmの標準軌でほぼ統一されている。その一方、隣接するロシアやカザフスタンなどの鉄道は1520mmの広軌、ベトナムは「メーターゲージ」と呼ばれる1000mmの狭軌が採用されている。

このため、中国と隣接国を直通する国際列車は現在、国境の駅で車両の台車を交換して直通しているが、この作業には数時間程度の時間がかかる。フリーゲージトレインの導入により、大幅な時間短縮を図ることが可能だ。

中国・カザフスタンを直通する列車は写真のように編成をバラしてジャッキアップし、標準軌用の台車と広軌用の台車を交換している。【撮影:草町義和】

日本でも新幹線(1435mm)と在来線(1067mm)の直通運転を目指してフリーゲージトレインの開発が進められ、1998年に第1次試験車が完成。2014年には第3次試験車による走行試験が始まった。

九州新幹線長崎ルートへの導入が想定されていたが、第3次試験車の高速走行試験で車軸の摩耗などのトラブルが発生。コストも通常の新幹線車両より高く採算性に問題があるとされ、JR九州はフリーゲージトレインの導入を断念した。

一方、大手私鉄の近畿日本鉄道(近鉄)が2018年、フリーゲージトレインの開発を推進すると発表。同社の京都線・橿原線(1435mm)と吉野線(1067mm)の直通運転が考えられている。

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