上野動物園モノレールの代替システム「簡易モノレール」など3案の検討を深度化



東京都建設局は10月19日、「恩賜上野動物園モノレール事業検討委託」の希望制指名競争入札を公告した。昨年2019年11月1日から休止中の上野懸垂線(上野動物園モノレール)について、代替システムの比較検討を行う。

休止中の上野動物園モノレール。【撮影:草町義和】

業務内容は、2019年度の調査で抽出した代替システム候補の3案の検討と情報収集。各案の概算工事費、運営費、維持管理費、施工計画の概略、輸送力、特徴などについて、都民へのアンケート調査(11~12月の実施を想定)も踏まえて検討と情報整理を行う。仕様書によると、この3案のなかには「簡易モノレール」も含まれている。開札は11月12日、委託期間は契約確定の翌日から2021年3月15日まで。

上野動物園モノレールは、動物園の西園と東園を結ぶ全長0.3kmの移動施設として整備された懸垂式モノレール。東京都の建設局が施設を保有し、交通局が管理している。

路面電車に代わる新しい都市交通機関として東京都と日本車輌製造(日本車両)が共同でモノレールを開発し、営業運転を行う実証実験路線として1957年に開業した。鉄道法規に基づくモノレールとしては日本初。

その後、東京都心部の交通機関は地下鉄の整備が進められ、モノレールが整備されることはなかったが、上野動物園モノレールは引き続き運行。これまでに3回、車両の更新が行われた。

4代目となる現在の車両は2001年に導入。2010年代後半には老朽化のため車両の更新時期を迎えたが、交通局と建設局は昨年2019年1月、上野動物園モノレールを同年11日1日付けで休止することを発表。「(4代目の)車両は国内唯一の特殊な車両であり製造に3年程度要する」「電気設備等についても今後、大規模な更新が必要」などとし、現在のモノレール廃止とそれに伴う代替システムの導入も含め検討することを示唆していた。