WEST EXPRESS銀河のクシェットに乗ってみて | HIDEKYUブログ

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 今日も先日、乗車したWEST EXPRESS銀河について書きます。

 今回はクシェットのお話です。クシェットという言葉は、私、あまり馴染みが無かったので、少し調べてみますと、ヨーロッパなどの鉄道では、夜行寝台列車がまだまだ運転されており、過去の日本と同じように寝台のランクも様々なものがあるそうです。寝台は個室がメインで、昔、日本に存在した開放式B寝台のような寝台は、簡易寝台として、クシェットと呼ばれているそうです。

そんなクシェットが、WEST EXPRESS銀河には設定されています。しかも、この銀河のクシェットは、寝台ではなく、普通車指定席として設定されています。

 

 その昔、日本の国鉄には寝台車が多く運転されていました。いわゆるブルートレインのような全車寝台列車から、寝台車と座席車を連結した列車があり、寝台設備は、やはり高級な設備でした。当時は、今のような安価なビジネスホテルなどなく、宿泊するとなると、そこそこの出費は必要でした。そんな中でしたので、国鉄の寝台車も、そこそこの高い寝台料金でも需要がありました。また、国鉄側もB寝台は3段式寝台車を何両も連ねて、それでも人気の列車のチケットは取れないほどでした。客単価の高い寝台客を3段寝台に詰め込んで、それでいて何本もの寝台列車を走らせていたので、それに関わる乗務員や深夜営業を行う駅員、信号係などの人件費を使っても、採算が取れていたと思われます。それでも赤字でしたが・・・それはまた別の話。しかし、街中の宿泊施設のグレードが上がり、かつ費用面では相対的にロープライスになってくると寝台車のグレードと比較された時に競争にならないほど、寝台料金の高さが目につきます。また、新幹線の延伸などにより、列車の表定速度も相対的に上がり、もはや夜中、夜行列車で移動しなくても、前入りしてホテル泊しても、それでも寝台を利用するより安く済む・・・みたいなパターンが増えてくると、寝台列車の必要性は下がり、利用率は激減していきました。国鉄も必死で努力し、2段寝台化や個室化で対抗しましたが、もはや組織の大きい国鉄では、柔軟な対応が取れなかったんだと思います。需要減により、列車削減、列車が削減されても夜中、1本でも夜行列車が運転されていると対応する駅員や運転関係の係員は、配置せざるを得ず、少ない夜行列車のためにこれらの人件費は減らせません。また、いくら個室にして、高い寝台料金を徴収しても、1列車あたりの乗車人員が個室化に伴い減っているので、全体としては収入が落ちてしまいます。これらの負のスパイラルの中、乗客にも国鉄、JR双方に必要とされない列車となってしまいました。そして現在、サンライズエクスプレスのみが運転されるに至っています。

 長々と書きましたが、個人的には寝台料金が高すぎたことが、一番の要因であったと思います。鉄道でありながら、異業種のホテル業界との競争を強いられ、また、運賃や料金は自由に設定できないなどの足かせが客離れを起こしたものと思われます。そこで注目したいのが、この銀河のクシェットが寝台ではなく、座席扱いだということなのです。ということは、寝台料金が不要、JRも寝台としてのリネンを提供する必要が無く、いわば乗客が勝手に寝ているという解釈で良いのですね。また、乗客の認識も、カプセルホテルやネットカフェで夜を明かすなど、多様化していて、ちゃんと布団に寝ることをしなくても、ただ横になれればイイとなれば、このクシェットは新たな夜行列車としての需要を確保できるのではないかと考えています。

 しかし、乗客一人当たりの占有床面積が大きくなるので、新幹線のように大量の旅客を運ぶことは構造上できないので、即、黒字というわけには行かないまでも、夜行列車で朝、地元の業者が手配する朝食を乗客に提供したり、それこそ夜寝る前に止まった駅で、地元のお酒や肴を提供したりして、線ではなく面の活性化の可能性を秘めているのでは、と期待してしまいます。

 私は、専門家ではないので、これはかなり甘い見通しなのかも知れませんが、今回、銀河に乗車して、沿線の方々のあたたかい歓迎を迎えますと、鉄道って、ただ目の前の利益を確保するだけの産業ではないんだなということを改めて痛感しました。JR西日本の運転する瑞風、銀河ともフル乗車しても、多分、大きな利益など出ないと思いますが、宣伝し、走らせ、沿線の活性化にかんばっている姿を見ますと、コロナなんかに負けずに頑張って欲しいとつくづく思わせてくれた、そんな旅でした。

 

YouTubeでWEST EXPRESS銀河の動画を公開しています。あわせてご覧いただき、お楽しみいただければ幸いでございます。

 

 

 

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