学問ノススメ~37歳からの運転免許・その2~ | 谷口礼子オフィシャルブログ「じゃこのおもしろいこと」
早速ですが、ここでわたしが運転免許を取ろうと思い至った理由を書いてみたいと思います。

実にいくつもの理由がありまして、それが絡み合っていました。

■映像の仕事で困った
ずっと舞台役者として活動してきたわたしに、これまで運転免許は必要ではありませんでした。
お金も時間もない生活だけど、お芝居ができることがとても幸せだったので、お金と時間がかかる運転免許をとりに行く機会もなかったし、運転したいとも思いませんでした。
しかし、3年ほど前から映像のお仕事も少しさせてもらえるようになり、運転をするシーンがあった時、とても困ったことがありました。
運転免許がないということは、運転席に座ったことがないんです。
撮影は「ハンドルを握っているフリ」や「運転席で人を待っているフリ」で構わなかったのですが、運転したことないので、運転する動作や運転席での姿勢があっているのかどうかわからず、緊張してお芝居に集中できないのです。
もちろん、運転できる人に聞いてやってはいるんですが、やったことがないので様になっていないのが自分でわかるし、自分自身がとにかく落ち着かない。
映画やドラマを見ていると、俳優さんが本当に運転しながら撮影しているシーンもありますよね。それを見るたびに、運転は必要なスキルなんじゃないかと思うことが増えました。

■廃線跡を攻めたい。取材にも使える!
鉄道で旅をするのが好きなわたしですが、その中でも「鉄道の廃線」を見ることがとても好きです。そこに鉄道があって、鉄道を中心にした人々の生活があったことを、実際の土地を訪ねながら想像するのがとても好きなのです。
しかしこれには矛盾があり、鉄道の廃線は鉄道では見に行けないのです。廃線になってますから!笑
そこで、免許を持っていないわたしが廃線跡を訪ねるときは、自転車を使うことが多かったです。
鉄道はあまり急な坂を走れないので、廃線跡というのはほとんどなだらかな傾斜しかありません。クルマが通れない道になっていることも多いですから、自転車はとても便利です。
でも、時にはクルマで行くような山道から廃線跡にアクセスしたほうがいい場合や、廃線跡自体が長くて、距離的に問題があることもあります。
草が生い茂ると見えなくなる廃線跡を攻めるのに一番いい時期は、雪が溶けた後の春。クルマで行ったら、凍えないかもしれない!
先輩のオオゼキタクさんがカーシェアを使って廃線跡を攻めまくっているのも目の端にチラついていました。
そして何より、廃線だけじゃなくて通常の取材の時も、必要があればクルマを使えることで選択肢が増えるかもしれない!
演劇の舞台となる土地を身体で知りたいために旅を始めたわたしですが、地方ではバスの本数も限られることがあって、もし車があったら、巡りたい場所を効率的に見ることができるという魅力もありました。
(もちろん、不便な中でバスの乗り継ぎを考えて実行する楽しさもあるので、これはこれからも続けたいです!)

■バスの紀行文を書くときに運転目線の記事が書ける……もしかしたら運転士さんと運転の話ができるかも?!
2013年から、バスジャパンハンドブックの巻末で、バス乗り継ぎ旅の紀行文を書かせていただいています。ある時、編集長の加藤さんから、「谷口さんがもし運転免許を持っていれば運転技術についても書けるし、運転士さんにインタビューすることもできるかもしれませんね」と言われたのが心に残っていました。
確かに、わたしはずっと旅人であり乗客でしたが、運転士さんのお仕事をもっと深く知ることができたら、今後の取材の時に何か新しい発見や感動があるのかもしれない!
そう思いました。

■今が一番若い
最後の理由はこれです。年齢を重ねれば重ねるほど、新しいことを身体で覚えるのには時間が必要になると聞きました。
「今が一番若い」はわたしの好きな言葉のひとつです。
と、ここまで考えると、やらない理由がなくなりました。


そんなわけで、わたしは37歳にして運転免許を取ることにしました。
今はほとんどの普通車がオートマ(AT)ですから、マニュアル(MT)の免許はいらないんじゃないの?という疑問もありましたが、あえてマニュアル車を選んだのは、さらにこんな理由があります。

□昔はマニュアルしかなかった。全員マニュアルで取ってたんだからわたしでも取れるはず。

□うちの天然な母でもとれた。わたしでも取れるはず。

□車好きだった亡くなったおじいちゃんがやってたことを知りたいなぁ。

□軽トラを運転したい!

□バスや大型車はまだマニュアルも多いし!バスの仕事を知るにはやっぱりマニュアル!


申し込んだ教習所は、AT限定免許の最短日数が14日。MT車だと16日。2日しか変わらないなら当然マニュアルだよね、と選んだことを、その後、後悔することになるとは、この時は考えてもいませんでした……。

(つづく)