ーーーーーーーーーー
鈍行のみで九州の全駅を制覇する旅。
昨日までの6日間で長崎、佐賀、宮崎、鹿児島、熊本の5県を制覇しました。
今回使っている旅名人の九州満喫きっぷの残り回数は1回です。
今日中に制覇して九州を脱出しなければ、明日関東にたどり着くことができません。
ーーーーーーーーーー
7日目 2月14日(金)
鶴崎(JR日豊本線) 6:58
前日までの制覇状況がこちら。
残るは大分県、福岡県の内陸路線です。
まずは大分駅に向かいます。
大分(JR久大本線) 7:11/7:24
平日朝の大分駅におはようございます。
駅は通勤、通学客でかなり混雑していました。
これを逃したらこの日の九州制覇は不可能になってしまうので、学生で混雑した車両に身体をねじ込みます。
あー、学生って若いなー。
相変わらず肩身の狭い鈍行遠征魔。
学生は途中の駅で綺麗にいなくなり、気が付けば数人のみの乗客となった列車は、終点の由布院に到着です。
由布院 8:35
新規獲得駅:古国府、南大分、賀来、豊後国分、向之原、鬼瀬、小野屋、天神山、庄内、湯平、南由布、由布院
人生初の由布院。
どうせ観光の時間なんてないんだろと思っていましたが、なんと次の列車まで45分の待ち時間があります。
これは由布院観光という旅情を楽しむしかありません。
珍しく観光です、わくわく。
やってないんかい!!!
知ってた。
9時前から観光地が始動しているわけない。
人っ子一人いない由布院が見られただけで満足さ、ハハハ...。
さよなら、由布院。
由布院(JR久大本線) 9:20
再び久大本線に乗り、久留米方面に向かいます。
久大本線は2017年の九州北部豪雨で鉄橋流出の被害を受け、1年あまり全線で運転ができない状態でいました。
2017年~2018年というと、福岡に毎月のように訪れていた時期であり、久大本線が不通となっていることは記憶に新しいものです。
2018年の7月に全線で復旧をし、ついに不通だった区間を列車で通ることのできる日がやって来ました。
今回の旅では災害による被災路線について数多く触れてきましたが、このように復旧した路線を通ることができるのはやはり嬉しいものです。
そんな路線なのですが、乗客は安定に鈍行遠征魔ただ1人でした。
ちなみにこの列車は2時間ぶりの普通列車であり、次の普通列車は5時間後です。
途中特急ゆふいんの森とすれ違い、格の違いを見せつけられながら、普通列車に揺られて進みます。
~~~~~~~~
このとき乗った久大本線、この路線もまた令和2年7月豪雨で再び橋梁流出という甚大な被害を受け、長期運休を余儀なくされています。
つい2年前にやっと全線再開にたどり着いたばかりなのに、またも被災ということになります。
2016年の熊本地震、2017年の九州北部豪雨、2018年の西日本豪雨、そして今年の7月豪雨。
毎年のように災害が発生し、そのたびに鉄道も被害を受けてきました。
特に九州での被害が重なって起きているようにも感じます。
今年の8月に豊肥本線が再開することで、ようやく大部分の鉄道網が再開する...そのタイミングでの肥薩線、おれんじ鉄道、久大本線の被災。
特に被害の中心は、普段の利用状況が厳しく、赤字となっている路線や区間です。
もう軽々しく復旧を待っていますなど言えませんよね。
今後どのような方法で対応していくのか、そのレベルの話になるのでしょう。
難しい道のりになりそうです。
~~~~~~~~
善導寺(JR久大本線) 11:25/11:35
新規獲得駅:野矢、豊後中村、引治、恵良、豊後森、北山田、杉河内、天ヶ瀬、豊後中川、豊後三芳、日田、光岡、夜明、筑後大石、うきは、筑後吉井、田主丸、筑後草野、善導寺
善導寺駅で折り返します。
久大本線はこの先久留米まで続きますが、以前の遠征で善導寺のお隣、御井駅まで訪れていたので、この駅で久大本線全駅アクセス完了ということになります。
ちょうど10分で折り返し方向の列車が来るという素晴らしい接続。
何気なく撮ったこの写真、九州の好きな風景を詰め合わせた感じがします。
日田方面に戻ります。
日田 12:14
日田駅に戻ってきました。
このあとは夜明から先の日田彦山線に入るわけですが...
ここも災害による不通区間となっています。
夜明駅には日田彦山線の田川後藤寺・小倉方面乗り換えという案内がありました。
しかし、日田彦山線は、2017年の九州北部豪雨で大きな被害を受け、現在も運転再開に至っていません。
この災害の被害の中心は福岡と大分の県境。
その県境を走る路線が日田彦山線でした。
反対側の線路に列車が走らなくなって3年。
大龍ラーメン 日田駅前店
日田彦山線はバス代行輸送が行われています。
そのバスの始発駅はここ日田駅。
もちろん夜明駅からも乗ることはできますが、時間が空くうえ、夜明駅前にはどうやら飲食店のひとつなさそうな雰囲気です。
ということで、日田駅まで戻り、お昼ご飯としたわけです。
はい、旅情。
日田(JR日田彦山線代行バス) 12:52
お昼ご飯を食べてバス停に戻ると、小さなバスが止まっていました。
ところでこの代行バス、不思議なダイヤ設定になっています。
これがバスの運行パターンで、3種類あります。
日田から添田まで行くもの(赤)、日田から筑前岩屋まで行くもの(オレンジ)、彦山から添田まで行くもの(緑)。
今回使う日田駅発は1日8本設定されているのですが、そのうち4本が途中の筑前岩屋駅止まりです(オレンジ)。
それでは終点の筑前岩屋駅で、始発の添田駅方面が出ているのかというとそうではなく、筑前岩屋駅の隣の彦山駅が始発となっています。
さらに不思議なのが、この筑前岩屋駅、日田~添田直通便のほとんどが通過となっていることで、筑前岩屋と彦山の駅間にはバスを通さない魔物でも住んでいるかのようです。
ということで、事実上、日田から添田(赤)へは1日4本のバスということになります。
そんなバスですが、おばあちゃんが5,6人先に乗車していて、運転手さんを含め楽しそうにおしゃべりをしていました。
キャリーバッグを片手にバスに乗車する鈍行遠征魔は相変わらずの場違い感。
おばあちゃんたちに説明した方がよかったのでしょうか。
埼玉から九州まで鈍行で来て、九州の鉄道を鈍行で全部回って今日で6日目って。
なんで?って聞かれるでしょうね。
それはぼくにもわからない。
代行バスの中で大分県を制覇。
ところで、先ほどのバスダイヤの謎は、バスの走行ルートでわかりました。
バスは夜明駅から日田彦山線沿いの国道を北上して大行司駅まで行きます。
筑前岩屋駅へは国道を離れ、県道に入る必要がありますが、筑前岩屋駅より先の県道がどうもかなりの山道になるようで、バスでは通れないようです。
その結果、添田への直通便は、筑前岩屋駅方面の県道へは入らず、そのまま国道を迂回して彦山駅に行くルートになります。
なお、数少ない筑前岩屋駅を経由する直通便は、筑前岩屋駅で折り返して国道へ戻るルートのため、所要時間が長くなるようです。
車内では、日田彦山線の今後についても話されており、運転手さんの口からは「もう鉄道としての復旧は無理」「復旧させるにしろBRTのようになる」といった言葉が発せられていました。
BRTとは簡単に言えばバスです。
元々線路のあった場所にバス専用道を設け、そこにバスを走らせるといったもので、通常のバスよりも所要時間を短縮させ、定時性も確保することができます。
日本では東日本大震災で被災した気仙沼線、大船渡線が代表例です。
今は穏やかなこの川が、あの日は濁流となって押し寄せてきたのでしょう。
バスの走る国道からも、依然として道路が崩落している場所や、橋をかけ直している場所、堤防を直している場所...災害の爪痕を多く見ました。
この時点で表に出ている情報だったかは記憶があいまいですが、その後の情報として、沿線自治体も日田彦山線のBRT化を容認したとのことで、今後は鉄道としての復旧ではなく、バス路線としての復旧を目指すことになりそうです。
現在迂回状態となっている宝珠山~彦山駅間にバス専用道を整備し、その他の区間は一般道を通るといった計画とのこと。
途中の彦山駅。
ここに列車がやって来ることは二度とない。
添田(JR日田彦山線) 14:14/14:36
新規獲得駅:今山、大鶴、宝珠山、大行司、筑前岩屋、彦山、豊前桝田、勧遊舎ひこさん、添田
代行バスを乗り通し、終点の添田駅に到着しました。
日田で一緒に乗ったおばあちゃんのほとんどは途中の駅(停留所)で降りてしまい、添田に着くころには1人を残すのみとなっていました。
今にも列車がやって来そうなままに残されている線路。
代行バス車内からは、雑草の生い茂った寂しい線路の姿を見てきました。
ぼくのような外部の人間が、鉄道での再開を望むことは簡単です。
しかし、鉄道は慈善活動ではありません。
バスの運転手さんも言っていました。
「今こうやってバスを走らせても誰も乗らないもん」
この言葉通り、途中の駅(停留所)から乗ってきた人は誰一人いませんでした。
地方の赤字路線を一から作り直すことは難しい、当たり前です。
日本の公共交通を見直す時期なのでしょうか。
またひとつ、九州から鉄道が姿を消します。
田川後藤寺方面に向かいます。
田川後藤寺(平成筑豊鉄道糸田線) 14:50/15:20
新規獲得駅:西添田、豊前川崎、池尻
田川後藤寺駅で平成筑豊鉄道に乗り換えます。
終点の金田に向かいます。
金田(平成筑豊鉄道伊田線) 15:33/15:39
新規獲得駅:大藪、糸田、松山、豊前大熊、金田
金田駅で伊田線に乗り換えます。
全面広告の車両、これも収益のためなのでしょうか。
地方路線の経営の難しさを痛感する遠征です。
直方方面へ向かいます。
直方(平成筑豊鉄道伊田線) 15:59/16:16
新規獲得駅:人見、赤池、ふれあい生力、市場、中泉、藤棚、あかぢ、南直方御殿口
直方、懐かしいですね。
九州上陸初日に筑豊電気鉄道に乗り、終点の筑豊直方からここ直方まで歩いてきました。
もちろん特にすることはないので、乗ってきた列車に乗り直して折り返します。
九州全駅制覇も残りわずかとなってきました。
九州6日目の日没。
行橋(JR日豊本線) 17:58/18:09
新規獲得駅:上金田、糒、田川市立病院、下伊田、上伊田、勾金、柿下温泉口、内田、赤、油須原、源じいの森、崎山、犀川、東犀川三四郎、新豊津、豊津、今川河童、美夜古泉、令和コスタ行橋
平成筑豊鉄道を乗り通し、行橋駅に到着しました。
日豊本線に乗り換えて小倉に向かいます。
小倉(北九州都市モノレール小倉線) 18:45/18:50
九州に到着して6日目。
いよいよ最後の路線になりました。
小倉から出ているモノレールを完乗すれば、晴れてマスターオブ九州達成です。
終点の企救丘へ向かいます。
企救丘(北九州都市モノレール小倉線) 19:09/19:16
新規獲得駅:平和通、旦過、香春口三萩野、片野、城野、北方、競馬場前、守垣、徳力公団前、徳力嵐山口、志井、企救丘
ついに...ついにこのときが訪れました。
福岡県の全駅制覇を達成。
これにて九州7県、駅メモに登録されている駅全てにアクセス完了です。
いやー、長かった。
まさか本当に鈍行のみで制覇をやってしまうとは。
自分でも恐ろしい。
ところで...
鈍行チャレンジが終わったという実感が全く湧いてこないのはなぜでしょう。
小倉(JR鹿児島本線) 19:36/20:02
それもそのはず。
なんたってこれから帰宅ですもの。
ん、帰宅?
どうやって帰るのかって?
もうそんな分かりきったことを聞いてくる人はいませんね。
鈍行。
さあ、帰ろう。
ぼくはいったい何をしに九州に来たのだろう。
下関(JR山陽本線) 20:16/20:19
これまで7日間、ただひたすら100時間以上列車に揺られていましたが、まだ乗り足りずに山口県を進みます。
もうここまでくると、列車に乗っていない方がおかしな感覚になってしまいますからね。
鈍行遠征は楽しいなぁ。
防府 22:05
まだ列車はこの先へ行きますが、別荘である快活CLUBがある地は防府を過ぎるとしばらくありません。
ということで、少し時間にゆとりがありますが、今日はここで終了とします。
そういえば、この山口県を進んでいる最中、本当に偶然中の偶然、山口県に住むフォロワーさんと列車が同じになりました。
「もしかして下関20:19発に乗ってる?」と連絡がきて、まさかの再会。
鹿児島で買いすぎたスナックブレッドをおすそ分けもしました。(消費期限がこの日までだった)
こういうのが鈍行遠征の良さなのですよ。
その地域の日常に足を踏み入れている感じ、これが良い。
めったにこんなことないだろ。
安定にラストオーダーギリギリに滑り込み入店し、1人やよい軒打ち上げ。
山口県名物しょうが焼き定食。
これぞ旅情。
うまい。
<その8>に続く