わずか5分、されど5分 | たっちゃんの鉄楽切り抜き帳

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「鉄道」を趣味の対象として、さまざまに楽しむ活動を記録するブログです。


 JR東日本は、東北新幹線の盛岡駅と新青森駅の間の最高運転速度を、現在の時速260キロから320キロに引き上げるための工事に着手することを発表した。7年かけて防音壁の強化やトンネル緩衝工事などを行った結果、短縮を見込んでいるこの区間の所要時分は5分だという。
 見方によっては何と効率の悪い投資かと思う向きもあるだろうが、高速鉄道のスピードアップはこういう細かな努力の積み重ねなのだと思う。おそらくは、青函トンネル内でのスピードアップと共に北海道新幹線の札幌延伸を見据えた決断なのだろうが、遠距離になるほど高速鉄道の持つ速達性が発揮出来るし、航空機との競争の点からも必要なことだ。
 何よりも、整備新幹線の法律で縛りをかけられていた、時代にそぐわない制限事項を取り払おうとする経営判断をしたことが素晴らしい。既に法律的な問題をクリアしたのか、これから解決することになるのかは分からないが、50年も前に制定された法律で制約を受けているという事象が、今の日本が抱える多くの問題を象徴している。
 ただ、60キロのスピードアップにより消費する電力もかなりアップすると聞いたことがある。だから今後、他の新幹線でもということではなく、必要な線区を選んで実施されることになるのだろう。例えば、既に圧倒的なシェアをとっている北陸新幹線で実施されることはあるまい。そもそも、E7系は勾配区間対応に重点を置いた設計だから、320キロ運転用にはなっていない。
 JR東日本の全新幹線が通過する上野駅と大宮駅の間の最高速度向上も行われる。こちらは恩恵を受ける列車本数が圧倒的に多いだけに、所要時分の短縮だけでなくダイヤ作成のゆとりという面でも効果がありそうだ。
 将来の360キロ運転を目指したテストも行われているし、日本の新幹線はまだまだ着実に進化を続ける。