【祝】「船場センタービル」が土木遺産認定!地下鉄本町・堺筋本町駅と一体施工

【祝】「船場センタービル」が土木遺産認定!地下鉄本町・堺筋本町駅と一体施工

大阪の本町にある「船場センタービル」。

ここは1970年に地下鉄・高速道路・商業ビルを一体的に施工した建物なのですが、この度 公益社団法人土木学会が毎年選定している「土木学会選奨土木遺産」に認定されました!おめでとうございます!!

受賞対象の構造物名は「ビル・高架道路・地下鉄駅の一体整備(船場センタービル、大阪市道築港深江線、阪神高速道路、Osaka Metro中央線本町駅・堺筋本町駅」だそうです。長い……

 

土木遺産とは?

公益社団法人土木学会が、土木遺産の顕彰を通じて歴史的土木構造物の保存に資することを目的として、平成12年から認定を開始。推薦および一般公募により、年間20件程度を選出しています。

対象となるのは交通(道路、鉄道、港湾、河川、航空、灯標)、防災(治水、防潮、防風)、農林水産業(灌漑、干拓、排水、営林、漁港)、エネルギー(発電、炭田、鉱山)、衛生(上下水道)、産業
(工業用水、造船)、軍事などの用途に使われた広義の土木関連施設で、原則として竣工後
50 年を経過したものが対象となります。

 

これまで「心斎橋駅舎他、御堂筋線の地下駅群」が平成20年度の土木遺産に選出されていますから、今回の土木遺産選定は大阪メトロにとって初、大阪市営地下鉄時代から計算しても12年ぶりになります。

 

建設の経緯

船場センタービルは、中央線の本町~堺筋本町の上に建設されていて、両駅はこのビルの基礎が埋め込まれている関係で非常に幅広いホームとなっています。

 

船場センタービルは、もともとこのあたりにあった繊維系卸売店の移転先として建設されました。

当時の船場は大阪の一等商業地であり「船場ブランド」もあったことから地価か非常に高く、用地買収がなかなか進みませんでした。

しかしながら、地下鉄や高速道路、幹線道路は必ずこの地を通さないとならない……そこで、逆転の発想として生み出されたのが、「道路・地下鉄・商業施設の3つ共をまとめて建設する」というものでした。このアイデアは小林茂喜という方によって生み出されたのだそうです。

 

 

当時の大阪市長であった中馬馨 市長の言が、船場センタービルにある石碑に記されています。

 

大阪港から都心を貫いて東大阪に至る中央大通(都市計画街路築港深江線)の建設は、戦災復興の最重点事業の一つとして鋭意事業が進められてきたが 都心船場地区の貫通は膨大な経費を要するため着手至難な状態にあった。
昭和三十八年四月市長就任直後、これが道路交通上の利便のみならず、都心の再開発を促進する上からも万難を排して早期実現をはかる必要を痛感し 同年六月河野建設大臣を大阪に迎え 太田垣士郎氏杉道助氏ら財界の人たちともに力説 その同意と尽力を得て池田首相をも動かし 幾多曲折を重ねたすえさらに学識経験者の意見をも求めて種々検討した結果 道路中央にビル十棟を建て並べ その屋上を高速高架道路とし西側平面道路下に地下鉄を走らせるという世界にも珍しい設計を決定し 四十年から土地の買収に着手したのである。
その後 本事業を万国博覧会の開催決定とともに その関連事業となり また地元の人々のよき協力によって千数百軒の店舗の立退きも円滑に進み、万国博開会を前に完成をみたことはまことに喜びにたえない。
ここにその経過を述べて記念とする。
昭和四十五年三月
大阪市長 中馬馨

その他

また、今回の選定では

・南海電鉄「大阪狭山市域の南海電鉄煉瓦造暗渠群」
・姫路市営モノレール「姫路市営モノレール遺構群」
・阪急電鉄「阪急電鉄神戸市内線高架橋」

も対象となっています。

 

参考文献

土木学会選奨土木遺産委員会「令和二年度土木学会選奨土木遺産が決まりました

受賞ページ

 




書いた本



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