「能登はいらんかいね」とステージから歌いかけたのは、歌手の坂本冬美さんである。
「クロ212はいらんかいね」と実際にあちこちに打診したかは知らないが、ネットでは話題になった。

瀬戸大橋線で快速マリンライナーに活躍していたクロ212+213系の置き換えが発表された時である。2003年だったか。
このマリンライナー、人気の列車でグリーン車も連結していたのだが、どうも故障が多かったようである。115系がしばしば代走したりした。213系の足回りが傷んでいるのでは?という噂であった。年式からすれば新しいのだが、海上を渡るため潮風で機器が影響を受けるのだろうか?そうした点を改良した新車を入れるのだろう。

普通車の213系は岡山地区のローカルに転用されるらしい。
問題はクロ212だ。グリーン車はもともと短命である。急行列車の格上げ、格下げを進めてきた国鉄でも、まずグリーン車が外された。
グリーン車は中間車が多い上、組み入れるにもコストがかかり、あまり引き取り手がなかった。

このクロ212にしても転用先は発表されなかった。だからネットでここはどうか?とか議論の対象になる。
スタイルはなかなか魅力的だ。
もし221系が117系の置き換え用として計画されたのであれば、こんなイメージになったかもしれない。117系はもちろん冷房車であり経年からしても置き換え対象ではなかったが。鋼製車なら全体のイメージはこんな感じで、側面や客室は213系タイプになったかもしれない。221系は窓は大きく取られたが、クロほど天井までは及ばなかった。
もっとも窓は紫外線の影響もあって、小さくする傾向になった。新幹線の窓も随分小さくなったが、実際に乗ってみると快適である。

結局、クロ212は営業線では手が挙がらなかったようだ。
ネットでは呉線の観光列車に提案したことがあった。呉線は車窓から海が見える上に、魅力的な街もある。しかし105系のロングシート車が東側では主体だ。ここに快速サンライナーを延長してクロ212+213編成を活用すればどうか?というのである。
結果的にはコストの面で却下になった。
しかし、後にキハ47を改造した瀬戸内マリンビューがデビューしたから、着眼点としては良かったのかもしれない。