皆様こんばんは。ブログおよびホームページ管理人の神@北見です。

 

今日は昨日の予告通り、キハ58系平窓車 1位側乗降ドア脇の手すり長さの、メーカー別の相違を検証します。

 

なぜ「平窓車」とわざわざ注記しているいるかというと、この1位側乗降ドア脇の手すりは、モデルチェンジ車にはありません。

 

↑キハ58 1046 1位側の乗降ドア脇に手すりがあります。

 

↑キハ58 1121 1位側乗降ドア脇に手すりはありません。

 

↑ちなみに2位側は、乗降ドアと乗務員ドアが近接しており、ここに乗降ドア用の手すりはありません。

 

なぜ平窓車の1位側だけあるのでしょうかね。意味あるのでしょうか…。

 

まずはキハ27です。

 

 

キハ27は、最後に塗装を間違えた日本車輌以外は、東急車両と帝国車両がほぼ半々です。但し番台の3次車までは東急車両オンリーで、4次車以降の大半は帝国車両です。新潟鐵工製と富士重工製はありません。

 

↑キハ53 502の後位側で元キハ27 2です。東急車両製ですが1次車なので手すりは長いです。

 

↑キハ53 507の後位側で元キハ27 39です。3次車の東急車両製で、手すりは短いです。

 

↑キハ27 56 4次車の帝国車両製で、手すりは長いですが乗務員室ドアの手すりより若干上です。

 

↑キハ27 117 11次車の帝国車両製で、手すりは長いですが乗務員室ドアの手すりより若干上です。

 

キハ27は昨日ご紹介した通りです。2次車以降の東急車両製は手すりが短く、帝国車両製は手すりが長い(乗務員室ドアの手すりより若干上)です。なお、私自身で撮影した写真はありませんが、日本車両製の125~129も手すりが短いです。

 

キハ56を検証してみます。

 

↑キハ56の平窓車は見事に全車新潟鐵工製です。よってメーカー別の差異はありません。

 

若番車は晩年までキハ53が残っていましたが、なぜか1位側手すりが写っている写真は全く撮っていません…。というか、昔撮っているのは顔の写真ばかりなんですよね…。あっても2位側ばかり。あぁ昔に戻りたい…。

 

↑昔撮っていた写真はことごとく正面ばかり…。これでは側面の情報は何も分かりません…。そもそもの始まりはこの「顔が全部ちがうキハ53」というところからスタートしていますから、側面にまではまだ気が回っていませんでした。

 

というわけで比較的後期車しか写真がありません

↑上からキハ56 118、129、138です。全て新潟鐵工製で、手すりに差異はありません。

 

他にも書籍やインターネット上の写真を見ましたが、2次車以降の車は全て手すりの形状は同じです。

 

次はキハ57です。

 

↑1次車のみ日車製と富士重製に分かれていますが、1次車は乗務員室ドア手すりが長く、乗降ドア脇の手すりも長いため差異はありません。2次車以降は日車製しかなく、0番台最後である4次車で製造は終わっています。よって、2次車以降の差異もありません。キハ57は廃車時期が早いので、実車の写真は撮影できていません。

 

ではキハ28です。

 

↑各メーカーとも製造実績がありますが、富士重工製は少ないです。また日車は3次車の3両を製造した以外は、大半が11次車以降の製造です。キハ28は1次車から乗務員室ドア脇の手すりが短くなっており、これに伴い1位側乗降ドア脇の手すりも短くなっています。つまり2次車以降と同じ形態になります。

 

まずは新潟鐵工製から。

 

↑上から2018(3次車)、2199(4次車)、2364(9次車)、2463(13次車)です。全て手すりは短いです。

 

続いて日本車輛製です。

 

↑上から2434(11次車)、2446(12次車)、2450(12次車)、2479(13次車)です。こちらも手すりは短く各車相違はありません。

 

続いて東急車両製です。東急車両はキハ28のメーカーでは最多の144両を製造しましたが、6次車まで(ラストは328)しか製造していません。

 

↑上から2002(1次車)、2055(3次車)、2112(3次車)、2183(4次車)です。こちらも手すりは短く各車相違はありません。

 

次に帝国車両製です。帝国車両は中期車を中心に111両を製造しましたが、こちらも10次車まで(ラストは414)しか製造されていません。

 

↑上から2039(3次車)、2088(3次車)、2341(7次車)、2411(10次車)です。こちらは手すりが長く、その下端は乗務員室ドア手すり下端より若干上になっています。

 

では最後に富士重工製を見てみます。富士重工製は17両しかおらず、全体の約4%という少数派です。

 

↑上から2353(8次車)、2382(9次車)、2385(9次車)です。手すりは長く、帝国車両製よりもさらに下まで、すなわち乗務員室ドア手すり下端よりも若干下まで伸びています。キハ27・56 1次車に近い状態になっています。

 

最後にキハ58を見てみます。

 

↑キハ58では東急・帝車製が少なく、新潟・日車・富士重が多くなっています。このように形式別に製造メーカーに偏りがあります。

 

まずは新潟鐵工製です。

 

↑上から292(4次車)、446(6次車)、768(13次車)、1046(14次車)です。手すりは短く各車相違はありません。

 

では次に日車製を見てみます。

↑上から144(3次車)、308(4次車)、690(11次車)、797(14次車)です。こちらも手すりは短く各車相違はありません。

 

続いて東急車両製です。東急車両製は2次・5次・6次車の41両しかいません。

↑上から425(5次車)、463(6次車)です。こちらも手すりは短く各車相違はありません。

 

続いて帝国車両製です。こちらも中期車を中心に54両しかいません。

 

上から569(9次車)、719(11次車)です。こちらは手すりが長く、その下端は乗務員室ドア手すり下端より若干上になっています。

 

では最後に富士重工製をみてみます。富士重工では初期車から後期車まで比較的多く、195両が製造されました。

↑上から259(4次車)、473(6次車)、640(10次車)、1017(14次車)、1022(14次車)です。手すりは長く、帝国車両製よりもさらに下まで、すなわち乗務員室ドア手すり下端よりも若干下まで伸びています。キハ27・56 1次車に近い状態になっています。

 

ということで、この手すりと製造メーカの相関性が確認できました。ここでは私自身が撮った写真のみを容量の関係で抽出してアップしましたが、他の写真や書籍などを見ても今のところ例外はいません。非常に強力なメーカー判定ポイントとなりました。しかし、1位側側面が見えていないと分からないというのが難点です。私が過去に撮った写真では60~70%が2位側の写真でした…。2位側には運転席窓バランサー点検蓋があり、当時はこちらの面の方が重要であると考えていたのでしょう。なお、これが適用されるのは、平窓車のうち乗務員室ドア手すりが短くなった1次車のキハ58・28以降になります。モデルチェンジ車およびキハ27・56・57の1次車は該当しません。

 

ということで、纏めますと、

Aタイプ

 

↑乗降ドア脇の手すりが乗務員室ドア手すりよりも短いもの=新潟鐵工・日本車輌・東急車両

 

Bタイプ

↑乗降ドア脇の手すり長さが乗務員室ドア手すりとほとんど同じだが若干短いもの=帝国車両

 

Cタイプ

↑乗降ドア脇の手すり長さが乗務員室ドア手すりより下に若干長いもの=富士重工

 

となりました。ではキハ27・56・57の1次車(これらは初期車で乗務員室ドア手すりとともに乗務員室ドア下端まで伸びている)を除く平窓車のうち、上記のA・B・Cタイプの割合を見てみましょう。

 

 

以上のような結果になりました。手すりの短いタイプが圧倒的に多いことが分かります。また、手すりの長いBタイプやCタイプは、製造されたロットに偏りがあるため、車両の分布や形態には注意が必要であるといえるでしょう。

 

ということで、Tomixさんの大多数の模型は、この富士重工製のタイプ(先の分類のCタイプ)に該当するようです。つまりTomixさんの模型は間違ってはいないことになります。ただ、キハ58にはこの形態の車がそこそこまとまった数量いますが、キハ27・56・57はゼロ、キハ28もわずか17両しかいません。

 

なぜにこのグループを模型化してしまったのでしょうかね。この写真のように急行色キハ58の溜り場で人気であった米子地区にもいましたから、たまたまモデルにした車がこのタイプであったのでしょう。しかし実は非常に少数派のグループであったのでした。ハッキリ言ってこんなポイント気にしない人は気にしないのでしょうし、私ですら25年間気づきもしませんでした。しかし、知ってしまったからにはどうしようか非常に悩ましいです。まぁ無視するしかないですが。

 

ということで、キハ58系の形態は非常に奥深いことが分かりました。また今回は数少ないメーカーを判別するポイントとなりました。この手すりのポイントでは、「新潟鐵工・日本車輌・東急車両」が同じ長さなのでこれらを区別は出来ませんが、「新潟鐵工」については、正面の幌枠の切れ込みの有無(新潟鐵工だけは切れ込みが無い)ことから区別が出来ます。

 

 

↑以前ご紹介した幌枠の切れ込み。切れ込みが無い車は「新潟鐵工」製。

 

よって、この2点をチェックすれば、平窓車は「日本車輌」と「東急車両」以外は全て区別できることになります。これは今後、新しい車両や、番号不明な車両を見つけた時、番号を推測する大きな助けとなることになるでしょう。しかし正面の幌枠は、幌が付いていると確認できないし、手すりは、2位側では判別できないという致命的な問題がありますが…。

 

↑幌枠の切れ込みは、幌が付いていると分かりません…

 

↑乗降ドア脇の手すりも、2位側にはありませんのでこちら側からは判別できません。

 

ということで、今まで描いてきたイラストの一部描き直し(帝国車両と富士重工製造車の手すり長さを変えなければならない)が決定的となりました。すでに以前から色々な点の直しを始めていましたが、直しの途中で新たな修正点が出てきて、既に訳が分からなくなってきつつありますので、もう一度1から見直してゆくことにします。

 

相変わらずキハ58系は奥が深い車両でした。

 

是非私のホームページ

 

http://kami-kitami.sakura.ne.jp/index.html

 

にも各車の解説がありますのでご覧になってください。