皆様こんばんは。ブログおよびホームページ管理人の神@北見です。

 

私のキハ58系の形態調査研究は1995年より始まり、既に25年も経過しています。調査・研究の比較的初期である1996~1997年にその成果が書籍となり、一通り纏めたつもりでした。

 

↑はじめ大学鉄研の会誌にキハ58系の研究結果を書きました。そうしたら反響が大きく…

 

↑RM誌の特集記事に採用していただきました。当時171号の特集レポにもあるように、碓氷峠が廃止の時期でした。なのでてっきり碓氷峠特集が組まれると思っていたら、私のキハ58系調査研究が特集記事になってしまいました…。

 

この記事を書いた当時は既にキハ58系に関しては調査研究し尽くしたつもりで、もうこれ以上メジャーなアイテムは出てこないと思っていました。しかしその後も色々な新たな車両と出会う度に新たな発見がありました。しかも中には今まで思い込んでいた、全く気付かずに素通りしていたことに気づくこともありその際は何とも言えない興奮と言いますか、興味深い・感慨深い気持ちになります。今日は本当に久しぶりにこのような大発見をしてしまいました。今まで何故に気づかなかった!?

 

それは、キハ58系平窓車1位側面 乗降ドア横の手すり長さです。んっ、この点って以前記載したような…。

 

実はこの手すり長さは以前2000年8月20日の記事で、Tomixさんの製品はエラーだと書いていました。そう、そこには思い込みがあったのでした。

 

もう一度この点についておさらい&より深く調査してみます。

 

キハ58系1位側乗降ドア手すりの長さは、1次車が登場した時には下部は乗務員室ドアの下端辺りまで伸びていました。

 

↑1次車のうち最初期のキハ27の手すりです。まず乗務員ドアの手すりは、ドア下端まであります。そしてその横にある乗降ドア脇の手すりも同じ長さです。

 

↑拡大です。乗降ドア横の手すりも乗務員室ドアの手すりも、乗務員室ドア下端まで伸びています。

 

その後、昭和35年度債務以降(但しキハ57は昭和36年度本予算(残))より、「乗務員室ドアの長さをドア下端より90㎜ずつ短くした」という設計変更が、鉄道ピクトリアル誌478号 1987年4月号及び、鉄道ピクトリアル誌2018年3月号別冊「急行型気動車」に記載されています。1次車のうちキハ28とキハ58から乗務員室ドアの手すりが短くなっていることになります。ちなみにこの記載は「乗務員室ドア」についての記載で、1位側乗降ドア横の手すりについては触れられていませんが…。

 

そして前回2020年8月20日の時も、実車を紹介して考察しています。

 

↑高知のキハ28 2002です。こちらも拡大してみます。

 

↑乗務員室ドアの手すりは、設計変更資料のとおりドア下端より90㎜ほど短くなって(上になって)います。そして、乗降ドア脇の手すりは短くなった乗務員室ドアの手すりよりもさらに短く、100㎜ほど上になっています。

 

もうちょっと側面気味の写真で見てみましょう。

 

↑米子のキハ28 2479です。

 

拡大です。明らかに乗降ドア脇の手すりが短いですよね。

 

という事で実車の探求は一件落着。でTomix製の模型を見てみると…

 

↑こちらは前回2020年8月20日の投稿の写真の再掲です。奥からキハ28単品(旧ロット)、同新ロット、キハ28 0番台四国色セット車、キハ28平窓最終次車 のりくらセット車、キハ28 給水口が車体中央付近に写った氷見線セット車 です。このうち比較的最近に金型が起こされたと思われる、「四国色の0番台(2000番台)」と、「のりくらセット」のキハ28は実車写真に即して乗降ドア脇の手すりが短いです。そして他の古い製品は全て乗降ドア脇の手すり長さと乗務員室ドアの手すり長さが同じ、というより乗降ドアの手すりが若干長い(下まで伸びている)状態です。

 

↑ちょっとアップしたものです。四国色及び中央の急行色と、手前の旧高岡色で乗降ドア脇の手すり長さが違いますね。

 

ちなみにTomix製のキハ56・27はどうでしょうか

 

こちらも乗降ドア脇の手すりは長いです。

 

実車を見てみましょう。キハ27の平窓車は早期に廃車になってしまい自分で撮った写真はありませんのでキハ56のみですが…

 

↑やはり乗降ドア脇の手すりの方が短いです。

 

あと、ちなみに前回は比較していませんでしたが、KATOさんの製品(新ロット)はどうかというと…

 

KATOさんの製品は乗降ドア脇の手すりは乗務員室ドアの手すりより短いようです。

 

ということで、Tomixさんのドア脇手すり表現は途中までエラーでした。 というのが前回までの話でした。それで終わりだと思い込んでいました。と こ ろ が …

 

 

↓青森桟橋に保存されていたキハ27 55ですが…

んっつ!?

 

 

↑あれ? 乗降ドア脇の手すりと乗務員ドア手すりが同じ長さじゃん!!

 

これを見た瞬間、凍り付きそうになりました。今まで思い込みのせいで全く気付きませんでした。しかしなぜこの車は手すりが長いの!?

 

まず同じような車がいないか探してみます。キハ27 55がこの状態ですので、他のキハ27も怪しいのでしょうか。

 

↑同じく青森桟橋のキハ27 117ですがこいつも同じで乗降ドア脇の手すりが長いです。

 

↑キハ53 507の後位側ですがタネ車はキハ27 39です。こいつは乗降ドア脇の手すりが短いです。

 

訳が分からなくなってきました。何なのでしょうか? まさか後天的な改造には見えないし…

 

車歴表を確認してみると何か分かるか… あっ!!

 

キハ27はこの39までと104~107が東急車両製で、40から103までと108から124までが帝国車両製です。ひょっとして帝国車両だけが何か違うのでは??

 

そして他の文献や資料を調べたところ、2次車以降のキハ27はやはり13~39までの車は手すりが短く、40から124までのうち、104~107(東急製)以外が手すりが長くなっており乗務員室ドアの手すりと同じ長さになっています。そしてキハ27 125~129は例の塗装を間違えた日車製で、これは手すりが短くなっています。よって、「帝国車両製=乗降ドア脇の手すりが長く乗務員室ドアの手すりと同じ長さ」という仮説を立てました。

 

キハ58系の製造メーカーで帝国車両というと、グリーン車ばかり作っていたイメージがあります。キロ28の0番台、100番台に至っては全車が帝国車両製です。キハの製造両数はあまり多くなく、まとまって製造されたのはこのキハ27くらいです。では少数派の他の形式での帝国車両製を探してみます。本当に「帝国車両製だから手すりが長い」というのは言えるのでしょうか?

 

キハ28 2018 新潟鐵工製。手すりは短いです。ちなみに比較的少数の新潟鐵工製キハ28で、幌枠に切れ込みがありません。

 

↑キハ28 2039 帝国車両製。 あっ、手すりが長い!

 

↑キハ28 2048(5501) 帝国車両製 これも長いですね。

 

↑キハ28 2055 東急車両製 これは短いです。

 

↑キハ28 2088(5504)帝国車両製 これは長いです。

 

↑キハ28 2112 東急車両製 これは短いです。

 

というように、面白いように当たっていきます。やはり帝国車両製のみ長いという仮説はほぼ正しそうです。ただ、0番台ばかり見ていますので、もっと後期車はどうなのでしょうか。

 

キハ28 2345 帝国車両製 長い

 

 

↑キハ28 2446 日本車輌 短い

 

キハ28 2463 新潟鐵工 短い


 

キハ28 2485 日本車輌 短い

 

なるほど、予想通りでしょうか。んっ?? むむむ!!

 

↑キハ28 2353 富士重工 長すぎて乗務員室ドアの手すりよりも下!!

 

↑キハ28 2382 富士重工 同じく長すぎて乗務員室ドアの手すりよりも下!

 

↑キハ28 2385 同じく富士重工 長すぎて乗務員室ドアの手すりよりも下!

 

あかん、、、 これはドツボにはまってしまって寝れなくなってしまう… これは実は本当に今まで気づきませんでした…。つまりまたまた今まで描いたイラスト描き直し!? あぁ… いつになったたホームページのイラスト修正終わるのだろう…。

 

ということでこれ以上はまた次回にいたします。富士重工は完全にノーマークでした。この富士重工の形態がTomixさんの製品と同じなのでは!?!? じゃあTomixさんの製品は富士重限定!? あぁ頭が痛くなってきました。

 

では次回もお楽しみに!!

 

是非私のホームページ

 

http://kami-kitami.sakura.ne.jp/index.html

 

にも各車の解説がありますのでご覧になってください。しかし今回の事実は今発見したばかりなのでイラストには反映されていません…。