我が家の205系は、昨日入線したTOMIXの0番台山手線のほかに、2018年に入線したKATOの5000番台武蔵野線が在籍しています。KATOの205系は1987年に発売され、それから30年以上もの間、基本設計はそのままに様々なバリエーションが発売されてきました。今日はそんなロングセラー商品のKATOの205系と、最新のTOMIXの205系を比較してみようと思います。

 

 

前面から見てみましょう。

最も差を感じるのはスカート周りですね。KATOはジャンパ栓受けやスカート支柱の表現が無く、スカート内部がスカスカで寂しいです。スカートの取り付け位置自体もTOMIXと比べて垂れ下がっており、顎が外れたような表情に見えます。

ライトケースはKATOはただの円筒形ですが、TOMIXはヒンジまで再現されています。

フロントマスクの額縁はKATOは厚く、そのせいでフロントガラスの天地寸法が圧縮され、行先表示・運番表示の上のスペースが狭くなっています。

 

TOMIXは額縁上辺のスリットがモールドされ、運転台内部にはコンソールがあります。スカートの曲率も両者で異なります。

 

前照灯の点灯状態。どちらもパワーユニットのダイヤルを半分くらい回した状態ですが、電球を使用しているKATOは驚くほど暗いです。KATOは前面表示は非点灯です。

 

尾灯は前照灯ほどの明るさの違いは感じませんが、やはりKATOのほうが暗いです。サードパーティのLED基板が販売されているので、これを装着するとよさそうです。

 

ライトユニットの比較です。KATOは電球なので遮光ケースが大きく室内スペースをかなり占領していますが、TOMIXはチップLEDなのでコンパクトにまとめられています。

 

側面を見てみましょう。TOMIXは幕板、吹寄板、腰板のステンレスの質感の違いを再現していますが、KATOは単色です。新系列電車ではTOMIXが単色表現でKATOが塗分けているというパターンが多いですが、205系では逆転しています。乗務員扉とドア枠はいずれもホットスタンプです。

車体標記はTOMIXはインレタでの再現ですが、KATOは印刷済みで所属標記やエンド標記まで再現されていて、標記類の充実度はKATOが優れています。

乗務員扉横には昇降ステップがあり、一番上のステップは幕板の帯と被っています。TOMIXはこの部分の帯の印刷が途切れていてステップがシルバーになっていますが、KATOは塗りつぶされています。

ビードや窓枠、ドア枠のモールドはいずれもシャープで、甲乙つけがたいです。

 

KATOのクハ204はクハ205を流用しているためドアコックの位置が同じですが、TOMIXは作り分けています。こういうところの作り分けをするか否かというのは、時代の差を感じる部分です。

また、先頭車・中間車ともにTOMIXのほうが1mmほど全長が長いです。

 

屋上機器を見てみましょう。クーラーは各部の寸法やメッシュの細かさが異なり、塗装の質感はKATOのほうがギラギラしています。個人的には、形状はTOMIXのほうが好みですが塗装はKATOのほうが好みです。

 

ドアコックと並んで時代の差を感じるのがベンチレーター。KATOは屋根と一体成型で断面がのっぺらぼうになっていますが、TOMIXは別パーツのため立体的に再現されています。しかし欲を言うと、せっかく別パーツにするなら屋根と違う色に塗り分けてほしかったなと思います。

 

パンタグラフと配管、妻面の比較。パンタグラフの枠組みはKATOが細く実感的ですが、舟体はTOMIXほうが細かくモールドされています。配管類にはそれほど大きな違いはありませんが、TOMIXのほうが配管止めや鍵外し線の表現が繊細なように感じます。妻面に目を向けると、KATOは幌枠が無いのが残念。

 

台車の比較。上が付随台車のTR235、下が動力台車のDT50です。KATOは台車枠と空気バネの間に実車にはない板状の構造物があり全体的にごつい印象ですが、TOMIXはスマートに作られていてこちらのほうが実車に近いように思います。

床下機器は、KATOはVVVF搭載のモハ205を除いて他車の流用なので、比較はしません。

 

以上、205系の2社比較でした。TOMIXは最新製品だけあって細部まで徹底的にこだわり抜いて作られており、KATOと比べると30年以上の時代の差を感じる部分が多くありました。KATOは流用品の床下機器や屋根一体のベンチレーターなど、現在の水準で見ると大雑把に思える箇所が多いです。しかしボディのモールドのシャープさは高いクオリティを保っており、あちこちディテールアップを加えていけば最新製品にも見劣りしないものになると思います。