君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。当面、東北地方太平洋沿岸の訪問をメインにしています。

特急「サフィール踊り子」乗車記

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伊豆の東海岸を行くサフィール踊り子号

8月下旬、今年3月にデビューした特急「サフィール踊り子」に乗車したので乗車記をお届けします。

東京駅・新宿駅から東海道線伊東線伊豆急行線を経由して伊豆急下田駅まで結ぶ特急です。

この区間で定期運行されている特急は、3月まで185系の「踊り子」と251系の「スーパービュー踊り子」の2本立てでした。「踊り子」は中央線から転用されたE257系に順次置き換えられています。一方、ハイデッカーやダブルデッカーの展望が売りの「スーパービュー踊り子」は、3月のダイヤ改正で引退となり、代わって走り出したのが「サフィール踊り子」でした。

展望だけではなく、全車グリーン席もしくはプレミアムグリーン席であり、車内にヌードルバーを設けるなど、スーパービュー踊り子よりもさらにハイグレードなサービスを提供する列車となっています。

毎日運転されているのが1号、2号の1往復(東京~伊豆急下田)で、臨時に3号もしくは5号、4号の1往復が追加で運転されます。3号と5号は始発駅が違い、主に平日に運転される3号は東京発、土曜・休日に運転される5号は新宿発になります。4号は運転日を問わず伊豆急下田→東京の運転です。

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伊豆急下田駅に到着するサフィール踊り子5号。この折り返しの4号に乗車します。

伊豆急下田駅にて

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サフィール踊り子4号は16:30発。発車が近くなると改札が始まります。

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車両の側面には、伊豆の海のような碧を基調としたカラーリングに、洒落たロゴがあしらわれています。

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列車情報の表示は、最近のJR東日本の特急車のパターンとほぼ同様のようです。

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指定を取ったのは、東京方先頭車となる8号車のグリーン席。海側に2列+山側に1列の配置です。

伊豆急下田方先頭車となる1号車のプレミアムグリーン車は、なんと海側に2席+山側に通路という超ゆったりした配置のようです。2号車・3号車には4席ずつのコンパートメント席があり、4号車がヌードルバー、5~8号車が一般のグリーン車になります。

2+1列でも十分ゆったりとした幅がとられており、不満を感じることはないのではないかと思います。E353系E657系グリーン車が2+2列なのと比べると、同じグリーン車とは思えない感じです。

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座席の操作部。座席の形状を好みに合わせて調整できます。

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座席の背面にはよくあるテーブルが。そしてよくある車内案内を見ることができます。

ヌードルの注文方法

サフィール踊り子の大きな特徴は、なんといっても車内で提供されるヌードル。その注文方法を座席背面に備え付けられたシートで確認できます。

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注文には、「サフィールPay」という専用サイトを利用します。

まず乗車情報(列車、乗車駅・下車駅、席番など)を入力。いろいろ見ていると、どうも予約済みの席ではないと注文ができない感じです。

次にメニューを選択。ヌードルをメインに、セットとしていくつかメニューを選ぶことができます。この時は、横浜焼売と、伊豆近海のサザエを具材にした焼きおにぎりが選べたので、焼きおにぎりを選択しました。

また、食べる時間も選択することができます。確か、17:00、17:40、18:20の3つだったと思います。そのうち、17:40を選択しました。

そして、支払い方法としてクレジットカードを登録。QRコードが発行されるので、それをアテンダントに提示すればOK、という形です。

支払い方法は、本来は現金も可能な想定だったようですが、ウイルス感染対策として原則不可になっているようです。

車窓風景

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運転席の前後が全面ガラス張りになっていて、座席からでも遮るものなく前面の眺望を楽しむことができます。

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荷物棚のところにも窓があり、開放的な雰囲気になっています。

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河津到着前。

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車窓に流れる河津の町と伊豆の山並み。山側もそう捨てたものではなく、場所によってはダイナミックな風景を楽しめるのが伊豆のいいところだと思います。

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伊豆稲取付近は、一面に海が広がる伊豆急行随一の車窓。辛うじて大島の島影が見えていました。

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伊豆高原駅で5分ほど停車します。

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対向列車としてやってきたのが、伊豆急行の観光車両「リゾート21」の、名産のキンメダイをモチーフにしたキンメ車両でした。

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伊東で伊豆急行区間は終わり、JR伊東線へ入っていきます。

車内販売とヌードル

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伊豆急行線内で回ってきた車内販売で購入したのがこの2品。左は伊豆産みかんを使用したオレンジジュース。右は富士山をイメージした「富士山パン」です。抹茶味のパンに漉し餡が入っています。雪のようなアイシングには金粉が振ってあり、見た目ユーモラスながらオシャレな一品になっています。

さて、伊東を出ていいかげんうとうとしていると、いつの間にかヌードルの予約時間を過ぎてしまっており、アテンダントの方が座席まで呼びに来てくださいました。

4号車へ移動し、予約した際のQRコードを提示すると席を案内されます。

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ヌードルです。

奇をてらわない醤油ラーメンですが、一つ一つが極上という感じ。一見、スープには油が浮いていてこってりしてそうにも見えるのですが、そんなことはなく、澄み切った心地よい味わいのスープでした。

それでいて、笑顔をデザインした蒲鉾のような遊び心も込められており、食のエンターテインメントとして楽しめる一杯になっていると感じました。

また、サザエの焼きおにぎりは、中にサザエがギッシリ詰め込まれていて、おにぎりが過度に味を主張することなく、サザエの風味とバランスの取れたおにぎりとなっていました。焼きおにぎりにサザエを添えるというよりは、サザエを引き立てる適切な味付けをしたおにぎり、という方が正しいかもしれません。

メニューは今は少し変わっていて、チャーシュー麺が追加されたりセットメニューが変わったりしているようですが、何にしてもサフィール踊り子に乗るからにはぜひ味わっていただきたいです。

だいたい満席で東京へ

ヌードルを食べている最中に熱海を発車。

席に戻る時に5~8号車の様子を見ていると、1人席はすべて埋まり、2人席は必ず1人は座っている状態だったので、コロナ禍の中では健闘していると言えるかと思います。

伊豆急下田を出る時点ではガラガラだったので、熱海までの途中駅で順次乗客を集めていくという形になるようです。

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まとめの感想

車内で食事を提供する列車は数々ありますが、「地元食材をふんだんに採り入れた豪華料理!」というものが多い中で、「ごく普通の醤油ラーメン」というのは控えめな印象を受けます。

しかし、その控えめな、主張しすぎないサービスこそが、このサフィール踊り子の特徴なのかな、と感じました。

観光列車か特急列車か、といえば、特急列車に属する列車でしょう。列車がフルにサービスを提供するのではなく、あくまで乗客が列車の中で思い思いの時を過ごす。そのお手伝いとして、快適な座席、開放感のある車窓、ヌードルという控えめな食事を提供する。そういう列車です。

毎日運転の1号・2号、臨時の3(5)号は日帰りでは利用しづらい時間帯で、どこかで宿泊することを前提にしているように見受けられますが、伊豆急下田発の4号であれば、16:30発、東京着19:20という時間帯なので、日帰りでも十分使えます。

伊豆への旅の新しいスタイルとして、乗る価値がある列車だと思います。