南阿蘇鉄道・高森駅前のC12形蒸気機関車が福岡へ 駅周辺の再整備、駅舎も建替へ



熊本県の高森町は、南阿蘇鉄道高森線の高森駅前で静態保存、展示しているC12形蒸気機関車の241号機を、NPO法人汽車倶楽部(福岡県直方市)に無償譲渡する。同駅とその周辺の再整備に伴うもの。高森駅前から福岡県に移る。

高森駅前に静態保存されているC12 241。【撮影:草町義和】

C12形は、石炭と水を機関車本体に搭載するタンク式の国鉄蒸気機関車。線路の規格が低いローカル線向けに開発された。高森駅前に保存されているC12 241は1940年製。当初は仙台や新潟の路線で運行され、1969年には九州に移り、国鉄時代の高森線も走った。1974年に引退し、その後は高森駅前に設置されて静態保存された。

高森町は現在、高森駅の駅舎建替を含む同駅周辺の再整備を進めている。現在の駅舎は撤去され、新しい駅舎が2022年夏頃にも使用を開始する予定だ。一方、C12 241が設置されている場所は駐車場に変わることから、移設する必要が生じた。

高森駅とその周辺の再整備をイメージした模型。【画像:高森町】
高森駅の現在の駅舎。【撮影:草町義和】

熊本日日新聞の報道によると、移転には約1000万円の費用がかかることから、高森町は撤去も視野に検討。この話を聞いた汽車倶楽部が、移転費用を全額負担して保存することを申し出た。これを受け高森町は、汽車倶楽部とC12 241の無償譲渡契約を締結。10月までにC12 241をいったん解体して移設し、別の蒸気機関車2両と一緒に展示される見込みだ。

汽車倶楽部は実物の鉄道車両の修復や保存、鉄道に関する写真、書籍などの収集、整理を行っているNPO法人。直方市内の同団体敷地内に蒸気機関車2両を静態保存しているほか、福岡県内各地の公園などで静態保存されている蒸気機関車も管理している。