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ブルートレインの裏話 遅延すると厄介な列車

以前の記事で、「JR西日本がダイヤ改正で終電を繰り上げるけど、サンライズ出雲・瀬戸の時刻は変えないのか?」について書きました。

ダイヤというものは、一本の列車の時刻をいじれば、それが他の列車にも影響する。サンライズのような長距離特急は、時刻を変えると影響を受ける列車がたくさんあるため、時刻を変えるのは難しいのでは。

そう書きました。

ブルートレインは遅れたときの「運転整理」が大変だった

ところで、この「長距離特急の時刻を変えるのは難しい」は、何もダイヤ改正時に限った話ではありません。日々の列車運行でも起きうることです。

たとえば、一昔前に走っていたブルートレイン

長距離を走るブルートレインは、途中で何かのトラブルに巻き込まれ、遅延する確率がどうしても高くなります。遅れてしまったら、他の列車のスキマを縫って走らせるのですが、これも一種の「時刻を変える」ようなものです。
(専門用語では、こうした処理を「運転整理」と呼びます)

さて、このブルートレイン、遅れたときの処理は苦労することが多かった、という話を聞いたことがあります。

特に大変なのは、遅れブルートレインが朝ラッシュ時間帯に突入してきた場合。もともといっぱい列車を運転している朝ラッシュに、さらに遅れ列車を入れようとするわけですから、これは大変なのです。

遅れのブルートレインが都市圏の朝ラッシュをかき乱す

ブルートレインというと、「九州・北陸・東北を夕方~夜に出発して、翌朝、東京に着く」が一つのパターンでした。

たとえば、朝7時に東京着のブルートレインが30分遅れたとします。その遅れブルートレインを、朝ラッシュの密なダイヤの間を縫って通す……いや、「間を縫って」という表現はぬるいですね。他の列車の間に「ねじ込む」と言った方がいいでしょう。

ダイヤを乱す原因になりかねないのは、容易に想像がつきます。

これは東京エリアに限った話ではなく、京阪や名古屋でも同様。九州発で京阪・名古屋エリアを早朝に通過するブルートレインが、1~2時間遅れていると、朝ラッシュ時間帯に引っ掛かってしまいます。

ついでに言っておくと、機関車+客車で構成されるブルートレインは、電車に比べて加減速性能が劣ります。電車群の中にブルートレインを入れるのは、たとえるなら、ランニングをしている集団の中に、一人だけペースの違う人を混ぜるようなもの。全体の足並みを乱す原因になりかねません。

こういう理由で、ブルートレインが遅れると、いろいろめんどうだったようです。

貨物列車は待避線に入れて「時間調整」が可能

同じ長距離を走る列車でも、貨物列車だと話がだいぶ違います。

貨物列車も、長い道中でトラブルに巻き込まれて遅延する確率は高いです。ただ、ブルートレインと違い、貨物列車は遅延しても手の打ちようがあります。

たとえば、朝ラッシュの列車群を避けるため、適当な駅の待避線に逃がしておいて時間を潰す。朝ラッシュが終わって線路が空いてきたら、おもむろに動かせばOK。

しかし、お客さんを乗せて走るブルートレインでは、待避線で時間潰しなんて真似はできませんよね。多少無理気味でも、朝ラッシュの列車群に突入させなければいけないわけで……。ブルートレインが厄介だったのは、そういう理由です。

【余談】動くに動けなくなった列車を「塩漬け」と呼ぶことも

完全に余談ですが、待避線に入れたまま長時間動けなくなった列車を塩漬けと呼ぶことがあります。自然災害や人身事故でダイヤが乱れた場合、とりあえず待避線に逃がしたものの、ダイヤの調整がつかなくなって、出すに出せなくなることがあります。

「貨物の○○列車がどこどこ駅で塩漬けになっている」みたいな使い方です。

株式売買など投資の世界でも、売らずに長期間保有している(=動かしていない)資産のことを「塩漬け」と呼ぶらしいですが、それと同じようなイメージですね。

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本記事の写真提供 ふみとつさん

本記事内の写真は、ふみとつさんが運営する『快速の部屋』から拝借しました。ありがとうございました(^^)

ふみとつさんも鉄道員だそうで、『快速の部屋』は鉄道関係の記事がしっかりしています。また、10年以上続くブログということもあり、旅行記や撮影記では、すでに姿を消した懐かしの車両が多く見られます。