その②より
2020年1月4日(土)
18きっぷを握りしめ、天王寺駅から紀勢西線を進んできました。
那智駅で路線バスに乗り換えたら、つづら折りの山道に差し掛かるところで途中下車します。
歩く道は大門坂、世界遺産に登録された熊野古道の一部。
熊野詣で栄えた当時の面影を色濃く今に残す一方、距離が短い初心者向けのコースとして紹介されています。
大門坂の入口から熊野那智大社までは、石段と石畳の道が約600m続きます。
大小の石に躓いて足首を捻らないよう準備体操を終えたら、ゆっくりと坂を上り始めます。
かつて、坂の到着地点に大きな門があったことから名が付いた大門坂。
今では二本の夫婦杉が門柱の如く聳え、その間を抜けると辺りの空気が変わった気がしました。
立ち止まって辺りをよくよく観察すると、苔やキノコがひっそりと生えています。
ちょっぴり薄暗くも、神秘的な空間です。
木の根穴も、何か動物が棲んでいるかなと覗き込みたくなったり。
でも何が潜んでいるのか分からないので、やっぱり怖くなったり。
この不思議な道を、一歩一歩大切に踏みしめながら先へ進みます。
古から続く道、いつの間にかタイムスリップしていてもすぐには気付かないでしょう。
道の両側に茂る200本あまりの杉木立は、樹齢が200〜300年と言われています。
なるほど、江戸時代に生まれた木々なのか。
美しい木立は、よく手入れされているのでしょう。
まるで夜明けか日暮れのごとく、柔らかな陽の光が差し込みますが、時刻はまだ昼過ぎの13時。
日中でも、木漏れ日が入る程度の明るさです。
立ち止まり、大きく息を吸い込むと身体がリセットされた気分。
パワースポットではないでしょうか。
やはり有名な道なので、すれ違う人や追い越す人は多いです。
でもそれが気にならないくらい、自分の世界に入れちゃうんだから不思議。
路線バスで那智山の上まで一気に上ってしまうのも良いですが、是非とも自分の足で歩いていただきたいです。
たぶん半時間も掛からずに、坂の出口に到着しました。
良い運動になりました、大門坂を上るミッションをクリアです。
ただ土産物屋が並ぶ道に出るための急な階段が、不規則な石段で疲弊した足に、最後のトドメをさしてきました(笑
ふらつく足元、昼ご飯がまだだったことに気付き、中途半端な時間でガラガラの食事処に入る。
注文したのは、生マグロと熊野そばのセット。
熊野そばの定義は分かりませんが、真ん中にいる自家製の胡麻豆腐はトロッとして優しい甘さ。
他にもキノコ、里芋、蒲鉾、青菜(なんでトマト?)が入り具沢山です。
生まぐろは、すっきりとした味わい。
セットには、めはり寿司も付いていたのでお腹いっぱいになりました。
しばらく窓の外を眺めて休憩していましたが、眼下に山々が広がり実に景色が良かっです。
さて、重い腰をあげたら熊野那智大社を参拝します。
再びの石段を前に、少し怯んでしまいました。
土産物屋を覗きながら進みます。
長い石段沿いに続く軒先は、金刀比羅宮にどこか似ていると思いました。
那智黒と書かれた看板が多いです。
那智黒と聞くと最初に黒飴が出てきますが、こちらは熊野特産の那智黒石で作られた碁石にちなんでできたお菓子。
店先に並んでいるのは、黒石を彫った置き物が多いですね。
次回は、熊野那智大社を参拝してから那智滝を訪れます。
ではではノシ
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