皆様こんばんは。ブログおよびホームページ管理人の神@北見です。

 

先日よりキハ58系、特に北海道用キハ27・56のイラスト修正を行っていましたが、この際に気になっていた点を併せて修正することにしました。それは釧路車の「前面補強板のR処理」です。

 

実はこの点は以前から気づいてはいたのですがイラスト修正する程でもないと無視していたのですが、キハ27・56のみで両数も多くなく、しかも現在イラストの見直しをしていることからこの際に併せて修正することにしました。

 

どこが修正ポイント化というと、釧路車の前面補強板は、正面から側面に移る辺りでのタブレットキャッチャーを避ける部分の切り欠きの処理が、直角ではなくRになっています。これは前面だけ見ていても気づかないポイントになります。

 

↑修正前の「誤」の状態の前面補強板の形状。タブレットキャッチャーに干渉する箇所で直角に切り欠かれています。(イラストはキハ56 17)

 

修正後のイラストは、

↑修正後の「正」の状態の前面補強板の形状。タブレットキャッチャーよりもかなり前位寄り(正面窓寄り)で、R状になっています。(イラストは修正後のキハ56 16)

 

実車を見てみますと、

↑キハ56 16の実車です。正面から側面の折れた辺りでR状で補強板が切り欠かれています。

 

これは似たような形状の補強板を使っていた旭川や五稜郭とは異なる処理です。

 

↑キハ53 502の前位側です。これのタネ車はキハ56 15で旭川配置です。こちらの補強板のタブレットキャッチャーの切り欠き処理は、先のイラストの修正前のものと同じです。あとこの顔は北海道では珍しい、正面窓上の水切り撤去車です。

 

釧路車両所で前面補強を施工したキハ56・27の両数は多くはありません。全車前面補強板 Rの処理を修正することといたします。

 

ここで余談ですがキハ56・27の前面補強板の形状についておさらいしてみましょう。

 

北海道は広大であることから4つの鉄道管理局に分かれており、それぞれに車両工場を有していました。苗穂工場・釧路車両センター・旭川車両センター・五稜郭車両センターです。複線電化の函館本線を経て苗穂と隣している旭川車両センターは1984or85年に閉鎖されますが、釧路・函館は苗穂からも遠く、そのまま現在まで存続しています。この4工場で前面補強板の処理は異なっていました。

 

まずは苗穂工場から見てみます。


↑苗穂のキハ56 123です。分かりやすく前面補強板の上部境界線をなぞってみます。

 

↑前面補強板の上辺縁は、正面窓下部と同じ高さにあります。運転席側は強化型ワイパー(WP50)を避ける切り欠きがあります。また、助手席側にもワイパーの付け根を避ける小切り欠きがあります。

ついでに、正面窓下の手すりも更新されたワイパーを避けるため変更されており、左右両方とも長さが短くなっています。本来助手席側は干渉しないため交換の必要は無いと思いますが、部品共用のためか左右とも同じ寸法です。この形状は苗穂特有になります。

 

なおこの前面補強板の形状は何故か遠く離れた後藤工場と同一になります。

↑後藤のキハ58 676です。苗穂と同様補強板の上辺は正面窓下辺と同じ高さにあり、運転席側は強化型ワイパーを避ける切り欠きが、助手席側も従来のワイパーを避ける小切り欠きがあります。なお正面窓下の手すりは、強化型ワイパーが干渉する運転席側のみ長さが縮められています。

 

では次に釧路を見てみましょう。

 

↑いわくつきのキハ53 502後位側です。タネ車は釧路配置のキハ27 2になります。これの前面補強板上辺境界線をなぞると…

 

↑左右とも、上辺は助手席側ワイパーを避けるため、正面窓下辺より40㎜ほど下にあります。運転席側は強化型ワイパーを避ける切り欠きがあります。そして助手席側にも運転席側と同じサイズの切り欠きがあります。助手席側もワイパーを更新する計画があったのか、デザインが左右共用であったのか、良く分かりません。

 

↑分かりやすいため先ほどのキハ56 16を再掲します。

 

なお、キハ56 16を見ると分かりますが、釧路車の正面窓下の手すりは運転席側のみ強化型ワイパーを避けるため縮められていますが助手席側の長さはそのままです。しかし左右とも取り付けの高さはオリジナルより40㎜ほど下にあります。

 

この形状は本州にも見られ、盛岡、土崎、郡山、広島の一部で見られました。広島局には広島と幡生の2工場があり双方で形状が異なりましたが、どちらがどの形状であったのかは不明です。

 

↑郡山施工のキハ58 780

 

↑盛岡施工のキハ58 739

 

↑土崎施工のキハ58 699

 

↑広島or幡生施工のキハ28 2147

 

光の加減と塗装で見づらいですが、釧路車とほぼ同じ形状となります。

 

では次に旭川車両センターを見てみます。

 

↑キハ53 501の前位側です。タネ車は旭川のキハ56 14になります。分かりやすく前面補強板の上部境界線をなぞってみます。

 

↑釧路車に似ていますが、助手席側にはワイパー用の切り欠きはありません。すなわち、左右とも上辺は助手席側ワイパーを避けるため、正面窓下辺より40㎜ほど下にあります。運転席側は強化型ワイパーを避ける切り欠きがありますが助手席側には切り欠きは無く直線のままです。

 

この形状も本州内でも見られ、鷹取・高砂工場施工のものと同じでした。

↑福知山のキハ58 7202で元和歌山の690。旭川車の形状と同じです。

 

では最後に五稜郭車を見てみましょう。

 

↑キハ53 508の後位側で、元キハ27 21(函館)になります。なんだか旭川の前面補強板の形状と同じようにも見えますが…、分かりやすく前面補強板の上部境界線をなぞってみます。

 

↑分かりづらいですが、助手席側ワイパーの根元と離隔を取るためか、R状の小切り欠きがあります。

 

↑ほとんど重箱の隅をつつく間違い探しの状態です。

 

これと同形状のものは他の工場では見たことはありません。基本的には旭川・鷹取・高砂と同じですが五稜郭だけ微妙に手を加えたのですね。

 

ちなみに私は持っていませんがマイクロエース製のキハ58系シリーズでこの補強板を再現しているらしいですが、実際の補強板の厚みは4.5mm or 6.0mm、1/150の模型にすると0.04mm(40μm)で殆ど表現できるレベルではありません。よって模型のものはこの補強板がやたらゴツすぎて、かえって雰囲気を損ねています。40μmって、塗膜の厚み程度の厚さですからね。

 

いかがでしょうか? 前面補強板の形状は北海道以外にも本州にもバリエーションがあります。そしてこの改造が施工された時期とキハ58系の広域転配の時期が重なり、形態の差異のある車があちこちで見られるようになってしまいました。

 

本州用の車両についてはまた別途ご紹介したいと思います。

 

それでは次回もお楽しみに!!

 

是非私のホームページ

 

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にもキハ58系各車の解説がありますのでご覧になってください。