【東武】東上線専用9000系列が本線へ!9000系9050型9152Fが南栗橋車両管区へ

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東武鉄道で活躍する形式のうち、9000系(9050型を含む)100両については製造以来一貫して東上線のみに配属されていました。

増備車として2編成が製造された9050型のうち、9152Fが16日終車後から18日終車後にかけて、南栗橋車両管区へ回送されています。

9000系として39年目、9050型に限っても26年目にして初の動向となり、東武鉄道や乗り入れ先のファンから驚きの声が上がっています。

10編成なのに4種類!個性が強い9000系

東武鉄道9000系電車は、帝都高速度交通営団(営団地下鉄=現在の東京メトロ)の有楽町線和光市駅延伸に合わせた東武東上線側の直通用車両として、試作車が1981年に登場しました。

試作車は3社に分けられて製造されており、ドア間隔・ドアモーターや行先表示器の位置など、現在まで量産車とは大きく異なる仕様で東上線のファンから人気の熱い編成です。

その後、1987年からは量産車として9102F~9107Fまでの6編成が製造されたほか、1991年には10030型のビートプレス設計を取り入れた9108Fが登場。

更に、有楽町新線(小竹向原駅~新線池袋駅=現在の副都心線の一部)の開業に合わせ、1994年に運用増加分の増備車として、20050型のVVVFインバータ制御設計を取り入れた9050型が2編成製造されています。

2008年の副都心線渋谷駅開業に合わせ、試作車を除く9編成がATO(自動列車制御装置)設置・ワンハンドル化改造を行うとともに、行先表示器のフルカラーLED化・内装の刷新などの大規模なリニューアルが急ピッチで進められています。

このため、リニューアル対象から外れた上に元々個性が強い9101F・6編成の量産車・10030型設計の9108F・20050型設計の9050型と4種類の車両が存在するバラエティー豊かな形式となりました。

初めての本線試運転

9000系製造から50050型登場まで、西新井工場が10両固定編成に非対応だったこと・増解結が日常的だったことなどの都合により、本線系統には10両固定編成の配置どころか、東上線車両の入線歴さえありませんでした。

地下鉄半蔵門線直通開始で乗り入れ先の10両固定編成が走行するようになったほか、自社車両も50050型18編成を投入。更に東上線の車両が検査・リニューアルで時折やってくるなど、様々な変化が生まれました。

しかしながら、東上線固有形式の9000系や50070型・50090型が本線にやってきた前例はなく、50000系の51008Fが本線転属のために本線に入線して話題となったばかりです。

今回の試運転では、7号車となるサハ9452号にデータ測定用のPQ輪軸が装備されており、何らかの測定を目的しているものと考えられます。東上線内ではなく本線で試験する以上、今後も何らかの形で東武本線を走行に期待する声が寄せられています。

定期検査を南栗橋で一元化?

今回の試運転の経緯は定かではありませんが、半蔵門線直通については車体幅の関係から不可能(転用された51008Fは50050型同様の2,770mm・9050型は2,877mm)となっており、転属と考えるのは現実的ではありません。

以前からファンの推測として、川越工場の閉鎖・南栗橋車両管区への一元化が噂されていました。

東武鉄道では、南栗橋車両管区開設以来、本線系統のすべての車両と東上線系統の一部車両の検査を担ってきました。東上線側には同線開業以来稼働を続ける川越工場がありますが、設備・用地などの都合から運行車両全ての検査を行うことが出来ません。

このため、池袋口で8000系が運行されていた頃までは、8000系の検査は秩父鉄道ATS装備の8000系8505F,8506F,8510Fが先導する形で南栗橋まで回送される体制が中心となっていました。

この体制はワンマン対応車のみとなった現在も事業用車両として8506Fが残存して続けられているものの、これだけでは川越工場の容量問題は解決しません。

8000系代替分・ライナー用車両・副都心線直通用として製造された50000系列220両は重要部検査を森林公園検修区内で済ませることとされたほか、この対応は10000系列とトレードする形で本線から転入してきた30000系にも拡大されています。

更にそれでも追いつかない分については、30000系トレードで機関車牽引実績が多くあり、本線でも同一形式が活躍する10000系列の定期検査を南栗橋で行う事例が時折発生していました。

これらの事情から、検査能力が非常に高い南栗橋車両管区での検査の統合することを目指していたのではないかという推測が以前よりありました。30000系の東上線転用も、これを最終目標とした動きだと仮定すれば納得のいくところです。

また、現在川越工場に入場しているのは9101Fですが、こちらは16日に川越工場内にてカバーの掛けられたヘッドマークが装備されていることが複数のファンにより目撃されています。来年9000系が40周年が迎えるためのヘッドマークという可能性こそありますが、8000系50周年が「そんな古い電車にお客様を乗せて申し訳ない」という意向で見送られたこと・森林公園ではなく川越で取り付け作業が行われていることを考えると、川越工場の最終検査施工完了の記念であるかもしれません。

実務面では取り扱いが特殊な9101Fを最後とすることも合理的ですし、粋なことをするのが好きな東武鉄道さんですから、東上線池袋口の歴史を最もよく知る9101Fを選定するのもありえない話ではありません。

川越工場閉鎖が事実であると仮定すると、大半のメンテナンスが簡易な30000系以降の全般検査と、10編成のみとなる9000系・少数派になった10000系列の重要部検査と全般検査の場合に森林公園~寄居~羽生~東武動物公園~南栗橋での回送が見られることが予想されます。

また、今回の試験対象となった9050型以外の9000系についても走行試験・入出場時の本線走行がされる可能性があるほか、東上線のフラッグシップ車両である50090型の本線走行も実現することが考えられます。特に10両固定編成の試運転は北千住駅までの往復が基本ですので、本線系統のファンにとってはなかなか興味深い動きとなるのではないでしょうか。30000系の東上線転用初回以来の珍事となりそうです。

東上線についても、30000系転属回送の途上で解禁(初回は深夜・2回目は分割輸送で3編成目から開始)された、小川町駅~寄居駅間の10両固定編成の日中の自走回送が増えるかもしれません。

ただし、森林公園検修区で済ませられるメニューが増加している可能性も(30000系以降は全般検査も森林公園で施工など)ありますので、9000系列・10000系列の定期検査が南栗橋に移行することが濃厚となった……と捉えるのが現実的でしょうか。

なお、今回試験で使用されている9152Fですが、定期検査は2019年3月に施工済のため、試験終了後すぐに返却の動きもありそうです。

秩父鉄道の石炭貨物縮小・三ヶ尻線の部分廃止など悲しいニュースが続いていましたが、今後は東武鉄道車両回送のための臨時貨物の運行頻度が上がるかもしれません。

今後の動向に注目したいですね。

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