■概要
2020年7月豪雨では、球磨川流域に壊滅的な被害をもたらしましたが、ここ久大本線でも甚大な被害が発生しました。
久大本線の被害は、橋梁の流失、橋桁の傾斜、トンネルや線路内への土砂流入、盛土流出など、その数何と145ヶ所

被害が比較的少なかった、久留米~豊後森間と、庄内~大分間は運転を再開しましたが、豊後森~庄内間は橋梁の流出もあり、復旧には年単位の時間がかかりそう

人気観光地である湯布院へも鉄道ではアクセスできない状態になっています。
そんな現場からお伝えさせて頂きます。
■豊後中村駅
やってきたのは、大分県玖珠郡九重町の豊後中村駅。駅の様子は前回の記事にて。
豊後中村駅から、由布院、大分方面を見ると、下の写真のようにホームのすぐ先で線路が寸断されています


このすぐ先に、橋梁が流失してしまった「第二野上川橋梁」があるからです。
■野上川
駅から歩くこと5分ほどで、第二野上川橋梁が見えてきました。
下の写真の中央を横切る感じで橋梁があったのですが、今では左端に少しだけ残っているだけです


こんなに穏やかそうに見える川が、牙を剥いたのですね。
近くの道路橋の欄干が、水の勢いを物語っています。
下の写真で奥の方が上流になりますが、水位は橋の上まであったことが想像できます。

想像しただけでも恐ろしくなってきます

■近くの住宅
第二野上川橋梁へ近づいてみようと歩いて行くと、被災されたと思われる住宅が見えてきました。

2ヶ月余り前に被災された当時のままの姿を留めており、近寄るのが憚られる感覚になりました。

しかし、第二野上川橋梁に行くにはここを通らないと行けないため、遠巻きに眺めつつ、住人は無事だったのか心配になりました


■第二野上川橋梁
橋梁全体が良く見える場所にやってきました。
左側が由布院・大分方です。
青い橋梁が横切っていたはずですが、左側の一部を残して流失してしまっています。

橋梁のみならず、コンクリート製の橋脚も完全に折れてしまっていています。
水の力って、本当に恐ろしいです。

少し下流には、線路が流されていました。
線路に流木などが絡みついてしまっています。

豊後中村駅方から、対岸を眺めてみます。
川をまっすぐに渡るように、線路が架設されていたはずですが、無惨としか言いようがありません


■復旧の兆しは?
被災から2ヶ月余り。
ほとんど当時の様子を残したままで、復旧に向けてほんの少しだけ準備が始まったような状態です。
豊後中村駅方の線路は撤去され、重機が入れるようになっていました。

過去には2017年7月の九州北部豪雨の際に、同じ久大本線の光岡~日田駅間の花月川橋梁が流されてしまったことがありました。
当初は復旧には3年かかると言われていたものの、国の特別な配慮もあり9ヶ月という驚異的なスピードで復旧しましたが、今回は被災箇所が多数あるだけに、本当に年単位の年月がかかりそうです。
花月川橋梁の流失の記事はこちら。
こちらは流失こそしていませんが、中央の橋脚が割れて傾いてしまっています

これも一度壊してから、建て替えするしかないのでしょうか

1日も早い復興を願ってやみません
