大川を別室へ呼んだ五島は直ぐに話し出した。
「野球事業は駄目だ!
あれは全く儲かる所が無い。
野球クラブのままであれば良かったろう。
じゃが、プロ野球となると・・・」
大川は五島の側近ナンバーワンである。
五島の考えは理解している。
だか、敢えて言った。
「会長!
仰る通りです。
しかしながら、野球事業は日本では始まったばかりです。
御判断は今しばらく様子見をお願い致したく・・・」
「俺も色々と考えた。
じゃが、何一つ妙案が浮かばなかった。
それとも何か?
君に妙案でもあるのかな?」
「ありませぬ!」
「ハハハッ
じゃろう?
ならば引くなら今しかない。
このプロ野球、球団経営はグズグズしていると赤字が雪だるま式に増えていくぞ!」
「はい。
このままでは仰る通りになりましょう。
しかし、続けている内に活路も見いだせると・・・」
「ならば、プロ野球も大川君に任せるか?
東映の傘下として」
「え゛!
東映はプロ野球を傘下に出来る程の規模ではありません」
「この際、規模云々は関係ない。
君がそこまで言うならば・・・
思う存分やってみなさい」
大川は東映に続き、プロ野球の再建をもさせられる事になった。
これは、初代パシフィック・リーグ会長職と言う地位にあった事が大きい。
その職に就いていて球団身売り等、面目が立たない。
しかし、そんなメンツより大川はプロ野球というスポーツが大好きだったのである。