大阪ミナミと和歌山地区を結ぶ南海電鉄は、私にとって未踏の地だった。「ラピート」や「サザン」といった優等列車の名前くらいは知っているが、それ以外ではどのような列車が走っているのかよくわからない。にも拘らず、その走っている場所が場所なだけに、「乗客のガラが悪そう」とか「落書きの絶えないNY市営地下鉄を彷彿とさせる」など、今にしてみれば大変失礼極まりないイメージを勝手に抱いており、列車はいぶし銀で魅力的だけれど一歩が踏み出せない・・・そんな状態であった。
そして今週末。天気予報では全国各地で青色の傘マークが並ぶ中、ちょうど南海沿線の地域にだけ眩いほどオレンジ色の太陽マークが付けられた。青とオレンジのコントラスト―NANKAIが私を誘っている。これはもう、行くしかないだろう。
久しぶりに大阪環状線に乗り、阪和線に乗り、三国ヶ丘で南海に乗り換えた。三国ヶ丘なんていう駅を使うのも初めてだった。駅舎は最近リニューアルされたばかりなのか新しく、中には成城石井があった。成城石井があるということは、一定の治安が保たれているとみて良さそうだ。安心である。
初めての南海電車に揺られること40分余り。千早口という駅に降り立った。目をつけていたポイントは、ここから徒歩10分もかからない場所にある。
現場に着いてすぐにやってきたのは6200系。側面のコルゲートがとても良い。この編成も落成から39年が経つベテランである。
ほんの少し移動して、なんば方面に向かう列車も。このあたりの稲穂もだいぶ色づいていた。もう彼岸花も咲き始めているし、刈り取り間近といったところ。
―つづく