岳南鉄道岳南線は、静岡県富士市の吉原駅と岳南江尾駅を結ぶ全長9.2㎞の地方路線です。
中間には
ジヤトコ前・吉原本町・本吉原・岳南原田・岳南富士岡・須津・比奈・神谷の計8駅が存在します。
このうち昼間も駅員が常駐しているのはJRとの乗換駅である吉原と吉原本町の2駅のみで、
それ以外は平日一部時間帯のみ集札、或いはそもそも駅員が存在しません。
列車は1時間当たり2本をベースとして、画像の7000形、或いは2両の8000形・9000形を使用した
ワンマン運転を実施しています。
これらは何れも京王帝都電鉄の中古車を使用しています。
これだけ聞けばただの1地方鉄道扱いで終わりですが、この路線は意外にも、
枕木のPC化が進行しているところが一つ面白いところ。
最高速度45㎞/hと決して速度は速くない路線ですが、安全に対する意識が感じられました。
*線路はあまりに熱くなりすぎると変形する。これが元で富山地鉄や国鉄などでは
脱線事故が発生している。PC枕木ではその可能性が低減されるので、最近交換を行う所が多い。
ところでなぜ「岳南」なのかが気になったのですが、社名の由来に関しては記載が無かったので
ここからは個人の解釈になります。
静岡県と山梨県を跨ぐ形で日本最高峰の富士山があることは既にご存知のことかと思います。
富士市を含む静岡県は富士山の南側にあります。
そして富士山は「富嶽三十六景」と、「富嶽」の愛称があります。
この「嶽」という漢字は「岳」に置き換えることができます。
つまり、富岳(富士山)の南側を走るから「岳南」の名がついたというのが個人の推測です。
さてこの路線は、2012年まで貨物列車が運行されていました。
末期の時点で2枚目の岳南江尾駅への貨物は廃止されており、1枚目の岳南原田駅を含む
比奈駅までの区間で設定されていました。
というのもこの路線、吉原から比奈にかけては工場が多く立ち並んでおり、
入荷或いは出荷される製品を輸送する手段が必要でした。
何故廃止されたのか、ということについてはここでは触れませんが、
廃止後は広大なヤードは必要ないため、岳南原田の場合は斎場が建てられました。
なお、貨物輸送に必要なのは線路だけでなく、それを動かす動力が要ります。
当たり前ですが、機関車の類を指します。
実際、貨物輸送に使用されていた車両が岳南富士岡駅構内に留置されています。
真ん中の車両は上田電鉄、小田急、名鉄を経て1969年に岳南の車両となったED50形。
1928年に製造され、2015年に廃車。
とはいえ2012年の廃止以降はそれほど動く機会はなかったのでしょう。それでも車籍は
実に87年間持ち続けた車両のようです。
ED40形は松本電気鉄道が1965年に導入した電気機関車で、岳南鉄道には1971年に移籍。
3号機は走行機器の故障で既に廃車となっていますが、2号機に関しては今のところ
あくまで「休車」であり、車籍を有しているようです。
陰に隠れているのはED29形。1927年に豊川鉄道が導入した車両で、
岳南鉄道には1959年に入線。
2015年に廃車となりましたが、現在も解体されることなく留置されています。
そして吉原方にはワムが2両、そして7000形7002号(機器故障で廃車)が留置された状態です。
これらの車両は何もない限り2度と動くことはまずないでしょう、そしてその横を
現役の車両がやってきては去る、ということを繰り返していきます。
そして駅の周囲では工場の煙突から煙が絶えず上がっていきます。
それはまるで陰と陽を見ているかのような感じになるでしょう。
…とまぁ、岳南線は小さい路線でありながら、かなり見どころの多い路線である、
ということが伝わったのであれば幸いです。
ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?
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