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2020年9月6日、台風10号が九州南部に接近したため鹿児島空港に拠点がある『日本エアコミューター(JAC)』は鹿児島空港に駐機していた機材を大阪地区の空港(伊丹・関西・但馬)に退避させた。そのため、JAC保有機のうち鹿児島空港で整備中のJA03JCを除くATR42・72全機が兵庫・大阪に集結するという前代未聞の状態なっている。


【ATR72-600:関西国際空港へ】
保有機材(ATR42-600:7機・ATR72-600:2機) のうち、より大型の「ATR72-600(JA06JC・JA08JC)」は退避第1陣として関西国際空港に着陸した。

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JA06JCの関西国際空港アプローチ直前までの航跡図、関西国際空港に日本エアコミューター機が着陸するケースは極めて稀な事態であり、目撃しているであろう関空利用者はびっくりしているのではないだろうか。

【ATR42-600:大阪国際空港・但馬空港へ】
待避第2陣の2機(JA04JC・JA07JC)は大阪国際空港に、退避第3陣の2機(JA02JC・JA09JC)と大阪但馬線を担当していた1機(JA01JC)はコウノトリ但馬空港に着陸した。また、福岡出雲線・出雲隠岐線を担当していた1機(JA05JC)も復路の福岡到着後、大阪国際空港にフェリーされた。

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JA04JC・JA07JCの退避航跡図(JA04JCのもの)
退避第2陣として出発したJA04JC・JA07JCは大阪国際空港に退避、本来の着陸コースである「32L・R」ではなく通称『逆ラン』で使用される「19L・R」のコースで着陸した。

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JA01JC(朝の大阪但馬線担当)の但馬退避航跡図
朝の大阪但馬線で運用されたあと、天草エアライン所属機(JA01AM)も朝の大阪行き(MZ801便)が折返便欠航になったこととJA05JCの大阪退避によるものなのか、JA01JCがコウノトリ但馬空港に回送された。

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JA02JC・JA09JCの航跡図(JA02JCのもの)
退避第3陣として離陸した2機ははじめ、愛知県の中部国際空港に向かうルートで飛行、先に出発したJA09JCは着陸に向けた降下を始めていたが三重県南部沖で急にUターン、神戸上空を降下しながら通り過ぎてコウノトリ但馬空港へと向かった。

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JA05JCの航跡図
最終退避便となったJA05JCは、福岡空港にJC3550便(出雲発福岡行き)として到着後、台風からの退避のため大阪国際空港へ向かった。これにより、JAC所属のATR機は整備中の1機を除き関西空港2機、大阪空港3機、但馬空港3機の退避が完了したことになる。





但馬空港では、SAAB340・ATR42対応駐機場の収容限界(3機)に対して3機のATR42-600が着陸するという開港以来初の事態が発生、大阪空港には天草エアライン所属機も停泊しているため関西圏の空港(伊丹・関西・但馬)に日本籍であるATR機(11機)の約8割(9機)が集結することになった。

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鉄道コム
 




 
【解説:日本エアコミューター】
1983年に「東亜国内航空(当時)」と鹿児島県奄美地方の14市町村(当時)が出資して設立された航空会社で、鹿児島空港を拠点に奄美地方への航空便、距離の短い西日本の航空路線(大阪国際空港〜コウノトリ但馬空港、出雲縁結び空港〜隠岐ジオパーク空港)とその送り込み便の運行を担当している。現在は日本航空の子会社。

【ATR42-600・72-600】
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日本エアコミューター(JAC)・北海道エアシステム(HAC)・天草エアライン(AHX)が導入している「ATR42-600・ATR72-600」は、在来機であるSAAB340、DHC8-100・Q400の置き換えを目的(これによりJACの一部路線ではJ-AIRに移管された路線がある)として導入された。JAC所属のATR42-600のうち、JA05JCは但馬空港の運営を行なっている「但馬空港ターミナル」が購入したものであり『コウノトリ号』の愛称がある。