皆様こんばんは。ブログおよびホームページ管理人の神@北見です。

 

昨日は「Tomixさん製 間違いの多いキハ27を何とかできる??」と題しまして、キハ27床下の模型と実車の違いを直せるかどうか試し、うまくいくことが分かりました。昨日はキサシ180の3つの水タンクのうち1つを使いましたので、本日は残り2つを使って2両の追加改造を行うことにしました。しかしそのまま床下機器だけ直しても面白くないので、折角ですのでもうちょっと弄ってみることにしました。

 

Tomix製のキハ56・キハ27は、キハ56系の中でも比較的少数のロットをモデルにしており、非常に頭の痛い製品です。というかキハ58・28もそうですが、長大編成対応の番台区分になってから外観に変化が見られるような設計変更が毎回行われており、次数毎にどこか外観が違うといった状態でした。これが比較的両数の多い本州型ならともかく、両数の少ない北海道型では1ロットの製造両数が数両しかいませんので、どれを選んでも少数派になってしまいます。

 

製品のキハ56系を買い集めて長大編成を組む際に、まさか同一ロット車のみが連なって10両も組成することはあり得ません。よってちょっと手を加えて別の次数車にしてしまえば一気にバリエーションが増えるでしょう。今回は車体に大きく手を加える必要のない改造を行ってみましたのでご紹介します。

 

まず製品のキハ27の確認です。

 

 

製品のキハ27は、以前からご紹介しているように、

 

・運転席側窓のバランサー点検蓋有り

・機関予熱器新型

・車体中央寄りにある機関冷却水給水口

・通風器8個

・内ばめ式の尾灯

 

から、11次車に該当し車番は113~118です。

 

では、これの前のロットである10次車はどんな形態でしょうか。

 

↑10次車です。

 

11次車を基準として、10次車の相違点は、

 

・通風器が6個

・ジャンパ連結器が旧型のKE53(11次車はKE53A)

・妻面ゴミ箱用出っ張りがない

 

となります。しかし、そもそも模型では11次車にあるはずの妻面ゴミ箱用出っ張りが有りません。よって厳密には11次車の模型には妻面にゴミ箱用出っ張りを追加しなければなりません。お手軽にはプラ板を切って貼れば良いのでしょうが、標識灯掛けと干渉するのでこれをずらさなけれななりません。これが大変面倒なのでそのままにしてあります。またジャンパ連結器の違いは模型では表現できないほどのものですので、無視します。

 

従って、11次車の模型の通風器を6個タイプにすれば10次車になることになります。

 

 

では次に12次車を見てみましょう。

 

↑12次車は、この解像度の側面図ではパッと見11次車との相違点は分かりません。実はこの12次車には私を永遠に悩ますとっても不思議な特徴があります。おそらく過去にキロ29「くつろぎ」(又の名をザキロ)を改造して製作した方は同じ悩みに苛まれたことと思います。それは、この12次車は「通風器の左右が逆」という点です。

 

キハ58系普通車では、11次車から(キハ27 113~、キハ28 415~、キハ56 121~、キハ58 655~)デッキ上に通風器が追加されます。最前位の通風器は、正面向かって側にあり、以降千鳥状に配置されています。しかし、キハ27の12次車(119~124)は何故か最前列の通風器が正面向かって側にあり、以降千鳥状に配置されており11次車と逆です。そこで他形式の12次車(キハ28 438~453、キハ56 125~137、キハ58 734~760)を見てみましたが、各型式とも通常通り最前位は右側です。そして13次車以降も見てみましたが、キハ27についても125~129の最前位は右側です。

 

12次車のキハ27を製造したのは帝国車両であり、その帝国車両は12次車に関してはキロ28とキハ27しか作っていません。よって12次車を製造した帝国車両が何かの手違いで左右逆にしてしまったとしか考えられません。しかし今となっては真相は闇の中です。

 

12次車キハ27の通風器で盛り上がってしまいましたが、このほか11次車と12次車の違いは、12次車から外ばめ式のテールライトになっています。

 

よって結論としては、11次車の模型のテールライトを外ばめ式にし、通風器の左右を逆にすれば12次車になることになります。

 

「通風器の左右を逆にする」って、イラストを描いていると「左右反転」ボタンを押すだけで簡単ですが、模型では…一旦全部埋めて開けなおしではないですか!! 結構面倒くさそうです。

 

では実際に加工に移ってみましょう。

 

↑今回のタネになるキハ27(旧ロット)2両です。旧ロットと言っても新ロットと車体の差異は見られません。

 

↑1両は尾灯が外ばめ式の12次車にしますので、車体をバラします。こうやって見るとTomix製の内ばめ式の表現って、飛び出すぎなんですよね。恐らくテールライトレンズが外ばめ式と共用だからと思いますが…。ちょっとイメージと違いますね。気になる方はこれを削っているみたいです。

 

↑折角の内ばめ式表現のテールライトを削ってしまいます。そして外ばめ式の尾灯を差し込むためφ1.1mmくらいに穴を拡げます。基本タッチアップで済ませ全塗装までしないつもりですので、余計なところを削らないように気を付けて作業します。

 

以前水戸のキハ28 2446(これも外ばめ式)を再現しようとした際は、内ばめ式の前頭部と外ばめ式の前頭部を入れ替えるという方法にチャレンジしましたが、腕の未熟な私は見事に失敗しボツになっています。よって今回は「Tomix製キハ40系のテールライトパーツ」を使用して外ばめ化します。

 

↑こいつです。このまま嵌めるとキハ58系のライトケースが付きませんので、これのテールライトの筒のみを切り出してキハ27の車体に差し込みます。

 

↑こんな感じです。

 

では次に屋根板の加工です。

 

↑元の屋根です。最前位の通風器は、正面向かって右になるように並んでいます。

 

↑1両は通風器6個車(10次車)にしますので、前後デッキ上の通風器のみを埋めます。(奥)

もう1両は通風器の左右を入れ替えますので、一旦全部埋めます。(結構しんどい)

通風器取付穴にプラ棒を突っ込んで埋めます。

 

↑左右を入れ替える方は、一旦屋根をツルツルにします。この際前位側の信号炎管や後位側の手掛けを削らないように気を付けます。そして新しい通風器の位置をケガキます。これは元の通風器の中心線2本を引き、既存の通風器と左右逆の位置にマーキングするだけですので簡単です。

 

↑そして左右入れ替える方には元の通風器を取り付け、裏から接着します。そして塗装準備です。

 

では次に床板の加工です。これは昨日と全く同じです。

 

↑2両分の床板です。それぞれ手前がモデルチェンジ車の床板、奥が元々のキハ27に付いている床板です。ラジエーターの後位側あたりでバッサリ切断し前位側の床板を入れ替えます。

 

↑今日は勢い余って後位側のアルミ製タンクを切除する前に2つの床板を接合してしまいました…。タンクをゴリゴリ切除する際にポキっと折れなければ良いですが…。

 

↑何とか折れずに無事旧タンクを切除しました。

 

↑そしてキサシ180から切り出したFRP製のタンクを貼り付けました。今日は昨日の反省を生かし、旧水タンクを切除した四角い穴をプラ板で埋めてから水タンクを貼り付けました。仕上げは相変わらず適当ですが見えないので良しとしています。

 

写真はありませんが、先ほど付けた外ばめ式テールライトをクリーム色でチョイチョイと筆塗りし、塗装の終わった屋根板を取り付けて完成です。

 

↑左から10次車・11次車(製品のロット)・12次車です。「こんなのよっぽど注意して見ないと気づかないわー」と言われそうです。

 

↑まず参考までに、Tomix製品のロットで基準となる11次車(113~118)です。昨日加工しご紹介したものです。

 

↑まずは10次車(108~112)です。このロットは、上興部駅跡に109が今でも居られますので有名でしょう。床板は上の11次車と同じ加工をしていますが、それに加え当ロットは通風器6個タイプなのでデッキ上の通風器を撤去しています。

 

Tomixのキハ56については、この通風器6個車がモデルで、ユーザー選択式で通風器8個タイプを再現できるようになっています。その際は付属の治具を使って穴を開けて通風器を取り付けるようになっています。このキハ27もなぜそうしなかったのでしょうか? 穴を開けて付けるよりも、撤去する方が10倍以上面倒です。

 

では次に12次車です。

↑12次車(119~124)です。床板の加工は11次車と同じです。それ以外に製品の11次車との差異は、テールライトを外ばめ式に改造していることと、屋根上の通風器の左右を逆にしていることです。ハッキリ言って間違い探しのような車です。編成に入っていても誰も気づかないでしょう。なお、このロットは119~124の6両ですが、このうち122~124はお座敷キロ29に改造されていますので、キハで残っているのは119~121の3両しか居ませんでした。また、当然ですがキロ29を模型化しようとすると通風器の左右を製品と逆にする必要があります。

 

今回は屋根がポイントでしたので、3両並べて上から見てみましょう。

↑左から10次車・11次車(製品のロット)・12次車です。元々の製品では112~118しか該当しませんでしたが、こういった加工をすることにより108~121(122~124はキロ29)まで再現の幅が広がります。

 

↑今回加工した10次車と12次車の側面です。ちゃんと実物通り新型の機関予熱器とFRP製水タンクになっていますね。

 

ということで、たかがキハ27されどキハ27といったところでしょうか。いやいや奥が深いものです。

 

今回は11次車から10次車と12次車を作りましたが、これ以外のロットというと一気にハードルが上がります。

 

10次車の前のロットは一気に飛んで6次車になります。5次車と6次車(101~107)はほぼ同じ形態ですが、製品のロットである11次車との違いは、

 

・機関予熱器は旧型のまま(但し模型は旧型になっているので、加工する手間は省ける)

・水タンクは本来模型のようなアルミ製であるが、実車は大半がFRP製(キサシ180のものと同じ)に交換されている

・通風器は6基(10次車と同じ加工が必要)

・運転席側窓のバランサー点検蓋は本来無いが、製造後比較的すぐに後期車と同じタイプの点検蓋が設置改造されたので、模型の形状から変える必要はない

・機関冷却水給水口の位置が前位側←これが一番面倒くさい!!

 

となっています。機関冷却水給水口位置を変えなければならないので全塗装必須です。切り継ぎテクも必要だし、ハードルが高いですね。

 

また、更にその前のロットの0番台を再現しようとすると、

 

・乗降ドア下部の丸窓を埋めてドア押さえ金を1本追加する

・運転席側窓のバランサー点検蓋が無いので埋める

・床下の水タンクは原形のまま廃車になった車が多いので、模型のままの床板で加工の必要がない

 

となります。キハ58・28の0番台を作る際と同じことをしなければなりません。

 

次に逆に12次車より後の車はどうでしょう?

 

キハ27では12次車の次は1つ飛んで14次車です。12次車と14次車の違いは、

 

・便所窓が横長になった。

・屋根上の通風器は12次車のように左右逆ではなく、通常通り

 

となります。こちらも便所窓の改造が発生しますので、車体の全塗装が必須になってしまいます。

 

ということで、今回加工した10次車~12次車以外は結構ハードルの高い改造になりそうですね。比較的入手容易なキハ28・58ならチャレンジするのですが、キハ27とかなかなか売っていませんからね。失敗したら終わりです。

 

おさらいですが今回は比較的簡単な加工で3タイプのキハ27が再現できました。

 

非冷房車ばかりで単調になりがちなキハ56・27ですが、こういうちょっとした変化のある車を入れると楽しくなりますね。

 

皆様もちょっと手を加えて自分だけの車両を再現してみてはいかがでしょうか。

 

是非私のホームページ

 

http://kami-kitami.sakura.ne.jp/index.html

 

にも各車の解説がありますのでご覧になってください。